Episode.10 初めての評価課題①
5月の終わりにしては、気温が高い今日。
今日は3年生の初めての評価課題の日だ。
直前まで上級生の指導が入るグループ、円陣を組むグループなど、評価課題の重要性が見て取れる。
シルバーの5年生、美咲は、プリントをひらひらさせながら由梨に話しかけた。
「あーあ、運がいいんだか、悪いんだか。」
「昼ごはんの前にドッジ終わるのは良い〜!」
由梨の返事がいつもより明るい声だ。
今日の由梨は一段と楽しそうなのは、先日行われた評価課題で、一位を獲得したからだ。
作文が得意な由梨にとって、作文オンリーの今回の評価課題は、ほぼ間違いなく一位を取れるものだった。
去年の夏休みの読書感想文だって、全国のコンクールで入選したくらいだ。
そんな由梨に対して、美咲はプリントを見せつけて言った。
「調子いいみたいなら、その頭使って考えてよ。このハンデをどうすべきか!」
「はいは〜い。」
由梨は、プリントをぱっと取ると、その場にしゃがみ込んでそれをじっと見た。
美咲はその横に体育座りをすると、ほらね、と由梨に言った。
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第一回 5月 3年評価課題
下記の日程で行う。
5年生が主体となって3年生をリードすること。
金剛 白金 金 銀 銅
10:40〜11:20 面 意 ド ド 〇
11:30〜12:10 〇 面 意 ド ド
12:10〜12:40 昼食休憩
12:50〜13:30 ド 〇 面 意 ド
13:40〜14:20 ド ド 〇 面 意
14:30〜15:10 意 ド ド 〇 面
※面…面接 意…意見文
ド…ドッジボール 〇…フリー
〇面接(担当:若月・齋藤)
場所:6年教室
・1人5分程度。名簿順に行う。
・控室は5年教室。
〇意見文(担当:辻本)
場所:4年教室
・二題を30分で書く。
・筆記用具を持参する。
〇ドッジボール(担当:豊田)
場所:小ホール
・5分×3試合 (休憩:試合間に各3分)
・指定時間の前後5分で着替えをする。
☆時間厳守でお願いします。
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「見てよ、フリーが最後にあるの。」
「もったいないねぇ!」
「でしょ?」
由梨は、プリントとしばらくにらめっこをして言った。
「んー、えーっと、昼食を早めに切り上げて、フリーの時間に食べてもらうのは?」
「あー、んー…先生に聞いてみる。」
美咲はすくっと立ち上がり、どこかへ駆けて行ってしまった。
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小ホールでは、いよいよドッジボールの試合が始まろうとしていた。
(これで…評価が決まるんだ……!)
花織はうんと緊張していた。
小ホールの奥には、対戦相手のゴールドが___そこにはもちろん、智佳子の姿もあった。
(最初が智佳子ちゃんのチームか…)
不安と高揚感が入り混じる。
花織はボールとぎゅっと抱え込んだ。
「かっちゃーん!練習しよ!」
「うん!」
花織はボールを愛姫に投げた。
この短期間でシルバーの同級生とも打ち解け、互いにニックネームまでつけ合った。
もとは森 愛姫が、佐藤花織と伊藤かおりの呼び分けをするためにと提案したのだ。
しかし、どうせなら、ということで今では6人全員がニックネームで呼び合っている。
「整列してくださーい」
先生が呼んだ。
ゴールドとシルバーの3年生がぞろぞろと移動し、向かい合って並ぶ。
カーテンの隙間からまぶしい陽の光が入り、小ホールの床でゆらいでいる。
「よろしくお願いします!」
花織たち3年生の、はじめての評価課題がいよいよ始まった。
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「さて、始まったねえ。」
外から小ホールを覗いているのは、6年の沙夜
そしてもう1人、ゴールドの6年、百瀬 実李だ。
実李は帽子を被り直すと、顔だけ沙夜の方を向いた。
「相変わらずだね、沙夜のやり方は。」
「実李もね。」
実李は、目を逸らしてため息をついた。
「沙夜のことは嫌いじゃないけど、私はやっぱ賛成できない、かな、沙夜のやり方には。」
「でもほら、みんな楽しそうじゃん。」
「あの子たちはクラスで1人選ばれた子だよ?シンシアに向いてるって、先生の、大人の推薦で。サポートもしてもらえないで4年に上がれないのって、そんな…」
「楽しんで終わり、で満足な子……いや、むしろそっちが好ましい子もいるから。」
沙夜は、終始 実李と一切目を合わせずに話していた。
暖かい風が、沙夜の柔らかい髪をなびかせる。
ビーっという音がホールに響いた。
沙夜がぽつりと声を発した。
「あ、負けてる、シルバー。」
「初戦はこっちの勝ちか。でも結構な接戦だった。」
「うん………次、取れれば。」
「どうかな。」
沙夜の期待に応えるように、花織たちシルバーは残り2試合で勝利を勝ち取った。
続くブロンズとの試合では2敗1引き分けと振るわなかったものの、最後まで健闘した。
3年生の試合への態度を、沙夜をはじめとする上級生は高く評価したのだった。




