長野県の迷信(フィクションであることにご承知下さい)
Day.2(前編)
まだ朝日が姿を見せない朝4時。人狼ゲームに参加した大原は、旅籠屋の書斎の本を漁っていた。
「なるほど。やはり人狼は伝説だと考えられていたのか。だとすると、やっぱり・・」
書斎の扉が開き、誰かが入ってきた。
「大原くん、おはよう。本を読むのは好きかい?」
明らかに軽蔑したような言葉だ。大原は落ち着き払っているが、それでも相手は冷静だった。
「僕のお爺さんの秘密を知りたいのかい?」
ささやくように話しかける相手に、大原は咄嗟に反論した。
「人狼を知りたい。この川上村の伝説。なんか文句あるか?」
すると、相手は謎の小瓶を取り出し、床に置いた。
「君もあいつらと同じなんだね。まあせいぜい頑張りたまえ。」
大原は急に眠気を覚え、床に倒れ込んだ。たが、相手の話を途中までは聞いていた。なので、床にペンが落ちていることに気づき、とっさに床に文字を書き込んでいった。
「まだ大原の姿を見かけないけど、一体何処にいるのかな。」
いち早く大原がロビーに姿を見せないことに気づき、大原を探そうとした。
「俺だったら、ここにいるけど。何騒いでんだ?」
突然大原が姿を現したことに、一同は戸惑いを隠せない。
「大原!お前何してたんだよ。三十分位待ったんだぞ。何処にいたんだ?」
同僚の三峰が大原を攻める。
「いや、ちょっと寝坊しちゃって・・。」
この言葉を聞いた瞬間、三峰にある考えが走った。
「さてはオメー、大原じゃないんだな?」
大原はこれを聞いた瞬間、ドキッとした。
「え、俺って・・大原だけど。何?人違いだとか?そんなことある理由ないさ。」
「何が『大原だけど?』だ。いつもの大原は、そんな言葉遣いをしないぞ。」
今にも二人が喧嘩を始めそうな険悪ムードが漂う中、神海が両手を打ち鳴らした。
「はい、ストップ。そんな喧嘩は人狼を駆逐してからにしようね。」
神海のオーラに、二人は渋々頷き、喧嘩をやめた。
「さあ、人狼探しを始めようか。」
神海の一言で、全員の目が真剣になり、処刑会議が始まった。