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鬼がいる町  作者: SIN


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兄弟喧嘩 7

 体育祭本番。

 雨が降るかも知れない、なんて心配が一切不要な程の快晴の下で、真原色の青シャツを着た俺とレオを見てノブユキが笑っている。

 それもその筈で、周りの青組の面々は皆普段使いが出来そうな感じの抑えた色味だったからだ。

「目立って良いやろ?」

 と、俺とレオはこうなるだろうと思っていたから、目立っている自分達を寧ろ誇ることにしたんだ。

 1人じゃあ恥ずかしかったかも知れないけど、2人なら怖いことなんかない。

「えー、それなら俺も真っ青にしたかったなー」

「真っ青じゃなくて」

「真原色」

 競技が始まれば、出番の多い俺とレオは走りっぱなしで、逆にノブユキはあまり出場しないからグランドにある僅かな日陰から俺達を優雅に応援していた。

 始めは1人2種目って感じだったんだけど、欠席者やら都合よく出番直前に腹を壊す人がいたりと色々あり、何故だかそれでも勝ちたいって気持ちが先行し、結局運動神経の良い人が代理で競技に参加することになる。

 俺は別にそれでも良いんだけど、見てるだけの人は楽しいのだろうか?

 いや、でも俺だって赤組には勝ちたいからね。

 ゆぅちゃんのクラスが赤組なんだよ。

 赤色のハチマキを頭に巻いたゆぅちゃんも、きっとクラスでは運動神経の良い方なんだろう、出番が多い。

 こうしてぼんやり2年生による借り物競争の様子を眺めていると、1人の女生徒が俺の方にやってきた。

「あの、借り物で、小宮先輩を借りて良いですか?」

 とのこと。

 まさか、学年が違うのに借り出されるとは思ってなかったんだけど、同じ青組だから良いのかな?

「モリヤいってらー」

 と、レオに背を押されて走り出してみれば、前方にゆぅちゃんが三角コーンを持ち難そうに抱え込みながら走っていた。

「……」

 女の子の足ではゆぅちゃんには追い付けない。

 でも、借り出された俺が一緒にいる訳だから、ここでこの子がゆぅちゃんよりも後にゴールをすれば、それは俺も負けたってことになるんじゃないか?

 後々このことを引き合いに出されて、借り物競争はれっきとした勝負だーとか、俺が勝ったーとか言われると面倒なことになりかねない。

 なら、勝てば良い。

 どうやって?

 女の子を、担いで走る!

「モリヤー!持ち方もっと考えたげてー!」

 考えろって言われても、横抱きじゃあ人を追い抜く時に足が当たったら危ないし、第一速く走れない。

 おんぶにするとその、女の子の太腿辺りをガッツリと触ることになってしまうし、女の子は大きく足を開くことになるから恥ずかしいでしょ。

 ポーズ的にも、担ぎ上げた方が良いし第一走りやすい。

「しっかり捕まっててね」

 声を掛けたら、後はゴールに向かって走るだけだ。

「キャァァァァァァァ!!」

 こうして無事にゆぅちゃんを追い抜いてゴールした後、なんか色んな人に写真を撮られた。

 そんなに真原色は珍しいのだろうか?

 着てるのが俺とレオだけだからな……それに結構な数の競技に出ているし、一種のマスコットにされたかな?

 楽しんでもらえるなら別に良いけどね。

「ゴメンね、ビックリさせて。お腹とか喉は痛くない?」

 女の子は大丈夫だと微笑み、若干フラフラとしながら自分の陣地に戻って行った。

 そういえば、どんな内容で俺が借り出されることになったのか……いや、ネガティブな言葉で呼ばれていたら知るだけ損だし、ここは”足の速そうな先輩”だとしておこうかな。

 午前の競技が終わって教室に戻ると、弁当を食べている人や昼休憩後にある応援合戦に向けて最後の振り付けの確認をしている人、最後の思い出作りにと動画撮影をしている人もいた。

「モリヤのことだから、弁当持って弟クンの所に行くかと思った」

「それ俺も思った。借り物競争の時もてっきり負けてやるんじゃないかってさ」

 レオもノブユキも俺をなんだと思ってるんだか……あ、ブラコンか。

 しかし1年後にある勝負に完勝するためには、今後どんな勝負事であろうともゆぅちゃんに負けるわけにはいかないんだ。

 それと同時に、俺を従者にしやすいようにある程度の距離も取らなきゃならない。

 嫌われ過ぎず、好かれ過ぎず……難しいな……。

「ゆぅちゃんは赤組だからね、正々堂々と戦うことにしたんだよ」

 それはなにも体育祭に限った話しではなくて、勝負という勝負全てに勝利するつもりでいるし、俺を従者としてしっかり扱える位強くなってもらなわきゃならない。

 従者になるには1度死んでから霊体か妖体になって、そこから術者となるゆぅちゃんが契約しないと駄目なんだ。

 子供のころからユウトの従者になれと教育を受け続けてきたから、霊体か妖体になった後ゆぅちゃんを攻撃するようなことはないと思うんだけど、死んだ後にしっかりと意識があるかどうかなんてのは、死んだことがないから分からない。

 母は俺をゆぅちゃんの従者にするんだという明確な使命と、強い執念を持って現世に留まっているけど、似たような思いを持っていた筈の妹は俺の傍にはいない。

 俺に対してではなく、門下生の1人と新田ハヤテに対して殺意を抱いていたから、新田家に行った可能性がある。

「高校卒業前に、ブラコン卒業したんだな……感慨深いわ~」

 だからブラコンだったことは1回もないんだーって、もういくら説明したところで信じてもらえそうにないな。

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