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苺のケーキ
空飛ぶメリーゴーランドは、静かなお城へと向かった。
大きなテーブルにアンティーク調の椅子。装飾が入った綺麗なお皿達。天井のシャンデリアがキラキラと二人を照らした。
女の子の目の前には、白いクリームに赤い苺。
「お口を開けてご覧?」
フォークに乗った一口大のケーキは、女の子の口へと運ばれる。ふわふわ柔らかくてしっとりと甘いそれは、口の中でとろりとほどけた。
儚く溶ける様はまるで雪のよう。思わず、女の子は顔をほころばせた。
「美味しい?」
ピエロは頬杖を付き、楽しそうに脚をぶらつかせた。
「さて、ここで問題」
女の子は不思議そうな顔でピエロを見上げる。
「この瞬間のために、頑張ってぐるぐる混ぜたり泡立てたりするんだ。たくさんの時間をかけて。どうしてだと思う?」
女の子は少し考えてから、首を横に振った。
「大切な人がいるからだよ」
ピエロは目を弓のように細め、にっこりと微笑んだ。