愚か者
体感にして、数時間が経った。
相も変わらず、膝を抱えてふさぎ込んではいたものの、涙も止まって大分気持ちは落ち着いてきたと…思う。
胸の甚みも、だんだんと引いてきたが気を抜くと、すぐにまたじわじわと痛み出す。チクリと刺されるような痛みに加え、抉るような辛みを伴う。
泣き晴らしたせいか、少しお腹かが空いた。
ふと、時間が気になる。
制服のポケットから取り出したスマホを無造作にロックを解除する。
八時、か。
それから通信アプリに届いたメールに目を落とす。
…やはり、古賀さんからの連絡はない。
それも当然なのだけど、まだ帰ってきていないことを考えるとどうにも気になってしまう。
時間も時間だ。
一旦、公園や古賀さんがよく立ち寄る場所にでも探しに行こうかと思ったが、今の僕が古賀さんに会ってもいいものかどうか…それが、意志を妨げる。
邪念とでもいうものだろうか。
結局、考えがまとまらない。
その時、ガチャリと階下から鍵の開く音が響いた。
僕や母さんの都合もあり、いつも家に居られるわけもないので、古賀さんには予備のカギを渡していた。
僕は、真っ先に反応し、立ち上がってドアノブに手をかけたところでハッと我に返る。
「……」
家には僕以外誰もいない。
だから、両親のどちらかが帰ってきた、そう思うことにした。
僕は、ドアノブから手を離す。
「はぁ」
何度ため息をついた事だろう。
どうしたって…すぐには気持ちは切り替えられない。…けど、きっかけがあれば別だ、別だった。
…でも、あの日そのきっかけをくれた人は古賀さんだった。
今度は誰に迷惑をかけたんだ?
古賀さんだ。
…救いようがないの一言に尽きる。
僕はきっと、古賀さんを家に招き入れる事で救世主にでもなった気になっていたんだろう。…それでもいざまたこの状況に陥ってみれば、どちらが救われていたかなんて、今になって気づかされたなんて、愚かだと言うか…ただの高慢だとしか言葉が出てこない。
誰かにきっかけを求めることは間違っている。
自分で起こしたことだから。
もう、幼くないんだ。
自分の行動には責任を持たないといけない。
誰が傷つけて、誰が傷つけられたのかをはき違えるな。
誰かに救われることは間違っている。
救われるのなら、古賀さんであるべきだ。
僕にはその価値はない。
だって、…自信がないと言いつつも自分自身にでも酔っていたのか?
…違う。
古賀さんに助けてもらったことを忘れたのか?
いいや、違う。
感謝していた。感謝していて…それ以上を彼女に求めた。
足りなかった。
…満足できなかった。
今までの環境や古賀さんのやさしさに付け込んで…………
無意識にでも、そう思って行動していた自分が居て、それが古賀さんをどれだけ追い詰めたのかは計り知れない。
古賀さんは優しい。
…それを踏みにじった僕は最低だ。
知ってる、…理解したくないほど知ってる。知りすぎている。だけど目を逸らしちゃだめだ。
どの口が言っているんだ。…わかっている。
開き直るつもりはない。
ただ、本当の意味での自信って何なのだろう。
僕は、唇をきつくかんだ。何かを思い出すために。
更新が遅れました。
少し、自信がなくなってしまっていたので…すいません。
どうでしょうか?
感想,アドバイス等ありましたら、よろしくお願いします。




