振られた日は家族が増えた日
読んで下さい!!
よろしくお願いしまぁぁぁす!
ガチャッ―――
歩き始めて五分ほどで着いた。
「さぁ、上がって」
古賀さんは、一瞬玄関を跨ぐのを躊躇したように見えたが、すぐに靴を脱ぎ、丁寧に整える。
「お、お邪魔します」
さっきも冗談であったように、古賀さんも年頃だ。恋人でもない男の家に上がるのを躊躇う気持ちも分かる。
僕が、安心させてあげないといけない。
「古賀さん。・・・えーとっ、今思ったんだけど・・・荷物、それだけ?」
見れば、学校のカバンに一つ小さなリュックサックのみだ。
「あ~、うん」
「そ、そうなんだ」
「・・・大丈夫?」
「・・・・・・まずいかも」
「だ、だよねー」
「どうしよう?これ…」
いきなり微妙な空気が流れた。
あ~、え~、・・・・・・はあ。
「あ、あとで考えよっかー」
「そ、そうしよう」
・・・・・・第一問題発生
しかし、僕たちは、選択を未来の自分たちに託した。これは――そう、想定の範囲だよ・・・・・・フフッ、け、決して、思考放棄ではないと言っておこう。
「・・・・・・まず、親に挨拶しようか?」
「・・・・・・」
無言で頷く、古賀さん。
どこか、緊張しているようだ。
うーん。期待?しているようで悪いけど、うちの親は古賀さんが想像しているような大人じゃないのだけど…。
まあ、いいか。
会ってみればわかるけど、どういう反応をするのだろう。とは僕自身も気になる。
やはり、からかわれるのだろうか?・・・って、なんか、いじめっ子に呼び出されたみたいだなあ。
・・・経験あるけど…
「あんまり緊張しなくていいよ。」
「・・・頑張る、よ」
そう言っているけれど、顔は硬いままだ。
ただ、どうでもいいけれど、そんな顔一つも美しいと思ってしまった。
「・・・準備はいい?」
となりで、深い呼吸をしているのが分かった。それから、
「うん」
古賀さんの返事を聞くと、リビングのドアノブに手をかけた。
カチャッ―――
僕が先に入る。
「あ、真也。遅かったじゃないか」
キーボードを打ちながら、僕に気づいた父さんが言う。
「まあー、いつもにしてはね」
「お邪魔します。」
後から古賀さんが入ってきた。
「おーう。ゆっくりしていっ……えっ?」
一瞬で空気が変わったのが分かった。
父さんは、僕と古賀さんを交互に見ながら腰を抜かしていた。
戸惑っている。いや、それも当然か。
僕は、女の子を家に上げたことは今まで一度もない。それどころか、男の子だって……
ゴホンッ、しっかり了承の意を取り付けないといけない。
頑張ろう。
「・・・父さん、話があるのだけど。」
「お、おう。な、な、何でも話そうぜ。俺たち、親子だ、だしな?」
さっきのクールさ一転して、変なことを言っている。
あと、何で疑問形なのさ。あんたが産んだんだろ。
「そう言ってもらえると、話が早い。じゃあ、早速――――」
と、言いかけたところで、ガチャンと音がして、「ま、待った―」が掛かった。
夜なのに、かまわず叫んだ人物は、母さんだ。
「私抜きで楽しい話とは、感心しませんねえ。真也」
「・・・あ、うん。どうせ話すことになるからちょうどいいよ。」
買い物袋を肩に担いだまま、父さんの隣に座る。それに続いて僕も。
ダイニングに全員が腰掛けた時。
「「スウ―、ハア」」
僕と父さんの呼吸が重なる。
そして、それを合図に緊急家族会議が始まった。
先攻は、母さん。
「で、えーとっ、真也の彼女さん?」
「ゴホッ、ゴホッ、ゴフッ」
「だ、大丈夫?」
「う、うん?全然。」
いきなりの爆弾発言で、何も飲んでいないのにむせてしまった。
「古賀さんはー、彼女じゃないよ。」
「あら、そうなの。残ねーん。」
「残ねーん」じゃねえよ。
僕、今日振られたばっかなの。わかる?とは言えず、押し黙るしかない。
心の傷が開きそうで、というか、閉ざし切れていなかったけれど!
なんか、早々に話がつまずきそうな気がしてならない。
「あの、話を始めるよ?」
「どうぞ」
母さんは、興奮した色を隠さないままにやにやとしている。横にいる父さんもだ。
はあ、まったく。何を勘違いしているのだか…
こっちは、大真面目だというのに。
僕は、隣に視線を向ける。
「古賀さん、できれば…」
古賀さんは、最後まで言い切らなかった言葉を理解してか、頷く。
古賀さんの表情は、目は、真剣そのものだった。
どうでしょうか?
続きが気になってもらえれば、幸いです。