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僕
帰る場所なんてない。ふらふらと歩く。ただ今日は珍しく感情が少し揺らいでいた。今しがた聞いた話に動揺している。
自分が置かれている状況を僕はまだ完全に把握していない。自分の中でおそらくという事を事実として積み上げているだけに過ぎない。
『決めるのは君次第だ』
あの老紳士の言葉が頭にこびりついて離れない。
決めるのは僕自身。
あの夜、老紳士に連れられ聞かされた一連の僕にまつわる話は、一聴しただけでは到底信じられない内容だった。しかし信じざるを得ない自分がいる。信じないといけない事実がある。もう既に普通では考えられない事態が起きているのだから。
今の自分ではいまいち感情が上り切らない。でも本当ならもっと激情に駆られるべきなのだろう。だが今はもう分からない。ただ事実だけが目の前に寝そべっている。
『なるだけ望む形にする。何よりこちらの不手際だ』
老紳士の言葉は落ち着いて理路整然としていたが、どうやら事態はかなりまずい状況らしかった。それを修正する為であれば何でもするというのが彼らの方針だと言う。
僕は選ぶ事が出来る。
全てを元に戻す事も、全てを壊す事も。
――どうするのが一番なんだろう。
決めかねる僕に、老紳士は言った。
『参考になるなら見せよう。君の答えの手助けになるなら』
答えは、僕の中にある。




