土師 修斗 二
暗い部屋の天井を見つめる。カチ、カチ、と断続的に秒針の音が静かに刻まれる。
サッカーも終わり、受験勉強を始めて、もう本番も間もない。
ふいに三年間を頭の中で振り返った。
――楽しかったな。
素直に出てきた感想だった。サッカー部では斗真とのコンビがはまり、常にレギュラーの座でチームを勝利に導いた。部活のメンバー、クラスメイトと遊んだ日々。ほどほどにハメを外し、不良じみた行為もやってきた。
いい時間だった。普通の高校生としては上出来な青春だった。
――これで良かったのかな。
そんな俺の、俺達の学生生活が一瞬にして崩壊する出来事が起きた。
夏休み前。あの日、俺達に一度最悪が訪れた。
終わった。あの瞬間、俺達の未来は一瞬で絶望に塗り潰された。
――それがまさかな。
俺はあの夜の記憶を呼び起こす。
『馬鹿げた話だ』
あの夜の出来事を話すと皆がそう口にした。そう思うのも無理はなかった。俺だってそうだった。自分で言っていて、やっぱり頭がおかしくなったのかと不安になりかけた。
だが事実、その馬鹿げた話は現実になっている。
全てを無に出来るなら。全てを元に戻せるなら。
神のイタズラのような最後の希望に、縋りつく他なかった。
全てが無にはならなかった。
全てが元には戻らなかった。
けど、歪でも良かった。
歪でも俺達の未来が保証されるなら、それで十分だった。




