土師 修斗(はぜ しゅうと)一
コンビニから出てくると、木崎がこちらにひょいっと小さな箱を投げた。
「サンキュ」
受け取ったタバコの箱を早速開けて火をつける。
「うまいの?」
横にいた木崎が何とはなしに聞いてくる。その顔に特に興味があるようには見えなかった。
「吸ってみるか?」
「うん」
俺は自分が今しがた吸っていたタバコをそのまま木崎に手渡した。木崎は見よう見まねで煙草を口に咥え、すぅっと煙を吸い込んだ。吸い込んだ煙をどうしていいか分からず、困惑したような顔をしながら、ぼわっと煙を吐き出した。まるで様になってない不格好さに思わず笑いが漏れた。
「似合わねえな」
「分かってたけどね」
不思議なもんだ。こいつとこんなふうに喋る事なんて考えた事もなかった。
「しかし見事なもんだ。お前にしか出来ない芸当だよ」
「達成感も何もないけどね」
だろうなと思いながら、木崎から再び煙草を受け取る。
「嬉しいとか、楽しいとか、そんなのもねえんだよな?」
「あると言えばあるけど、だいぶ薄い」
「それっておもしろくねえな」
「どうかな。でも」
「ん?」
「多分、前よりはマシなんじゃないかな」
胸の奥がちくりとした。木崎の言葉に悪意があるかどうかは読めない。
――どういう感覚なんだろうな。
反省や後悔よりも興味の方が大きかった。
木崎昇という人間の存在は、前にも増してとても興味深かった。
――前とはえらい違いだ。
「帰るか」
――おもしろいっちゃおもしろいけど、なんかなあ……。
ただ今は今で面白いが、どうも自分が求める面白いとは違っていた。
――こいつ、すっかり変わっちまったな。




