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僕
この世界で想像し得る事は全て現実になり得る。そんな言葉を耳にした。荒唐無稽な言葉のように思えるが、そうでもないのかもしれない。
実際、ずっとずっと昔には絶望的だと思われていた病が、いまや簡単に治るようになったり。離れた世界の人同士と繋がる為に、海を必ず越えなければならなかったものが、ネットという世界を通して簡単に繋がれるようになったり。
いろんな不可能がこの世界では可能になっている。今不可能な事でも、未来では可能になっているかもしれない。
未来。
僕に未来はあるのだろうか。
僕のこの先には、何があるのだろうか。
「見つけた」
唐突に後ろから声がした。
しゃがれていて、自分より遥かに歳をとった聞いた事のない声だった。
僕は振り向く。
暗い夜道だったせいで、影の中に人型の影がいる程度にしか認識できない。でも間違いなく、そこには誰かがいた。
「少しいいかな?」
乱暴な声音とは裏腹に、口調は紳士のような気品を感じさせた。
「はい」
僕の時間がいつまであるかは分からない。でも別に、そこに未練たらしいものは一切ない。
人はいずれ終わる。今ここで彼に時間を取られた所で支障はない。
でもどこかで、僕の未来に繋がる鍵が見つからないか、心の隅で僅かに残った感情で、僕は求めているのかもしれない。




