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誕生

〜洞窟〜

暗い。

地面は緑色の何かに覆われてしめってる。

天井からポタポタと水が滴り落ちる音がする。

視界の端に緑の何かが見える。

なんだこれ 、あっ俺の手か。

俺の手⁉︎動かすこともできるし握れる 、やっぱり俺の手だ。

力を入れて立って周りを見渡してみると同じような緑の物がたくさん動いていた。

よく見ると自分と同じような形で、変な顔だ。

自分は緑で似たようなやつがいっぱいいた。

自分ももしかしたらあんな顔をしているかもしれないと思うと悲しくなって来た。



状況が把握できず混乱していると、周りにいた奴が大きくなったらなるような奴が出て来た。

「 ギギッ、ギャキャッ」(お前ら起きて、ついて来い!)

そう言って大きい奴が叫ぶ。

すると、周りの奴がノソノソ起き出した。

まるで何かの宗教のようだ。

俺もなんだか従わなきゃいけない気分になった。

外部から無理やり命令に従わられているような異質な感じがする。

でもなんか従わされるのは悔しいので心の中で大きいやつをデブとよぶことにした。

デブが洞窟の外らしき方にに出て行った。

周りの奴らももひょこひょこと合わせて付いていく。

なんか可愛い。

やっぱり嘘なんか気持ち悪い。

てか俺もその一部なんですけどね。


デブに付いて行ってみると外はまさに森の中って感じだった。

樹海って感じだ。

迷ったら帰ってからなさそう。

出て来た方を振り返ってみてみると丘の中腹にいくつかの穴がぽっかり空いていてそこから俺らは出て来たようだった。

全員が穴からぴょこぴょこ出て来たところでデブが突然に

「貴様らにはここから出て行ってもらう。」

と言い放った。


ん?

今なんて言った?

出て行ってもらう?…


えー!いきなり家ロストした。

まだここどこなのかとかもわかってないのに!

保護下から放り出されたら死しかないよ!

あれっそもそもここって現実だよな?

あれ、頬をつねったら痛いぞ?

ということは現実か。

はっはっはっ…いや笑えねーよ!

動揺を隠せず脳内でひとり芝居などしてオロオロしていると、デブが


「だだし、力がないまま自然に放り出すほど俺もそこまで鬼畜じゃない。だから3日間この森で生き延びることができたらコロニーの一員にしてやる」


そこまで言ってデブは穴へ戻って行った。

残された俺らはしばらくギーギー騒いでいたが何かに気づいたように一匹一匹と森の中へ消えていった。

呆然としてたら取り残された。

あれっ? そうか、この瞬間から生存競争は始まっているのか⁉︎

この周りの動物やきのみは急がないと同族に食べ尽くされて死んじゃうじゃん⁉︎

いやそんなにないから大丈夫か。

でも待てよこれってもしかして強い奴を選別するためにやっているのか?

そうすれば辻褄があう。

何故弱そうなまさに生まれたてのような俺たちを自然へ放り出すのか。

強くなれそうにないやつを仲間にするよりも、少しでも最初の段階で選別したほうがいいに決まっている。

であればもしかしたら獲物とか木の実とかある程度最初に減らしているかもしれない。

流石にそこまで鬼畜ではないと思うがないとは言い切れない。

死の影が俺の頭にちらつき 怖くなったので移動しようとした時、座り込んでいる奴が見えた。

あいつどうしたんだろう?何やってんのかなとりあえず話しかけてみよう。

でもなぁコミュ症だし何話せばいいかわかんないな。

とりあえず優しく優しく行こう。


「なにをやってんだよ?」


俺のバカ〜もっと優しくだよ!

あんかありそうなやつにそんな高圧的じゃダメじゃん!

俺が後悔しながらも話しかけてみるとそいつは首を振るばかりで何も答えなかった。

なんだ?怖がっちゃったのかな?なんかこのまま無視され続けると心がポッキリ折れそうだから傷が浅いうちに行こ。

そう思い、木ノ実や獲物を改めて探しに行こうとすると後ろから視線を感じる。

振り返ってみるとあいつがこっちをじっと見ていた。

なんだ?

なんでこっちみてる?

てかあいつ女か、俺に惚れちゃったのかな?

よく見てみるとなんか可愛いな、小動物みたい。


それからしばらくして、 少し日が落ちてきた森の一角で二匹の緑が歩いていた。

そうだよ、連れて来ちゃったんだよ、なんか文句あるか。

あんな目で見つめたら意地でも連れてかざるを得ないだろ。

わかってくれ。

なんか後ろからひょこひょこ付いてくるのを見ると楽しんだ。

これはもう病みつきだ癖になりそう。

そんなバカなことを考えつつ俺は喋らない彼女と歩いている間生きるため食料を調達するある作戦を建てた。

それはシンプルにおとり作戦。

単純に俺が獲物と戦っている間に背後から落ちていた木の棒でぶすっとさすというありふれたものだ。

実は歩いている中でわかったのだが、俺たちは獲物より弱い。

見てしまったのだ仲間が弾丸のようなスピードで突っ込んで来たイノシシのような奴に同族が弾き飛ばされるのを。

しかもそいつは俺らの中でも割と大めだった。

そいつが無理なら俺は到底無理だ。

にらみ合っただけでKOかもしてない。

そんな中で正面から戦ったら負けるだけで2人に待っているのは死だ。

そんなこんなで俺が囮をやるという前提でおとり作戦を提案した。

彼女はとても不安そうな目で見て来たが頑張って説得した結果最終的には頷いて同意してくれた。

だか見栄を張ったもののめちゃくちゃ怖い。

なんせぶつかられたら一発ノックアウトだしね。

だからここまでに何個か深い穴を掘って木の棒や何かを目印にしてそこに落とすように誘導しつつチャンスがあればぐさっとやるというチキン作戦にした。


木ノ実を拾って食べつつ徘徊していると例の仲間がやわれているのが見えたイノシシ型の奴がのそのそ歩いているのがみえた。

やるしかねぇ。

彼女には作戦実行と伝えちょっと興奮しながら近づく。

音を立てずに慎重にそろそろ移動して追跡していたいたその時、急に奴がこちらを向き突進して来た。

(ヤバッ)

虚を突かれた俺は呆気なく奴にはじき飛ばされた。

なんで?

いつバレた?

音とかほとんどたてず気配とか消したのに。

俺は無様に地面をゴロゴロ転がった。

攻撃をもろに受けた俺は足や手から液体のような何かが出ている。

まずい、動けない。

殺される。

ああここで終わりか短かったなまだ5時間くらいしか生きてないや。

生まれ変わったらたらふくご飯がたべたいなー。

私が死んだら来世はグルメ家になりたい。

そんなことを思って身構えていたのだが奴は俺にとどめを刺すことなく、隠れて背後から奇襲しようとしていた彼女の方へ向きを変えた。

ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!

彼女が殺される!

そう考えたら俺の中で何かが入る音を感じた。

今までとは比べ物にならないくらい力が流れ込むのを感じた。

体からはでちゃいけない量の液体が出てるのにもかかわらず体は今まで以上の速さで動く。

すごいスピードで奴に接近した俺は背後から奴に棒を突き刺した。

奴は瀕死の俺からの攻撃は流石に予想していなかったようで急所らしきところに深く刺さった。

苦悶の声を上げのたうちまわる。

奴は暫く死なず棒を振りおとそうとしていたがゆっくりと白目をむいて倒れた。

やった!

なんだやれば俺もできるじゃん最初からやればよかった。

そう思っていると急に視界が霞んで来た。

そして意識がブラックアウトしていくのを感じた。

落ちる直前に見たのは彼女の泣きそうな顔だった。














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