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第4話 エルフの少女達




少女達の目の前に現れたメレアは、2人に何かの魔法を使用した。


その証拠として2人の少女から恐怖というか、自己の意思が消えた様に見える。


おそらく魅了系か支配系統の魔法を使用したのだろう。


この世界には、自らに宿る魔力を利用して現象を引き起こす魔法と武術を極め編み出す武技と呼ばれる力が存在する。


どちらが優れているかは、一概には言えないが、どちらも地球生まれ地球育ちの俺からすれば魅力的な力だ。


そして、魔法の中の魅了や支配系統にはその名の通り発動に成功すれば、相手を自分の意のままに操る事も出来る程に強力なものまで存在する。


ただし、俺に魅了や支配は効果がない。


俺はダンジョンマスターの権限を使い地上から王の間まで通じる門を作った。



〈迷宮門〉

ダンジョンマスターの権限によりダンジョン内の場所を繋げる門を作る。

ダンジョンマスター、サブマスター以外の者も移動出来る。



そして、数分後目の前にはメレアの魔法から解放されたビジョンで見たときよりも遥かに恐怖に染まった少女2人が王の間で腰を抜かしていた。


確かに、この場には統治者達もいるから恐怖のあまり腰を抜かしてもしょうがないか。


……あれ、俺だけを見てない?しかも、泣いてない!?


あれか!アンデッドだから恐いのか!?


もし、それだけの理由で少女2人に恐がられているとしたら、……流石の俺でもショックだ。


それに、これじゃ結局話にならない。


面倒だが、スキルを使う事にする。


(〝惰眠の旋律(ヒュプノス)〟)

「はぁ~」


本来の能力は、強力な催眠誘導だ。


しかし、今回は相手の恐怖の感覚を鈍らせる程度まで威力を制限した。つまり、リラックス効果がある魔法だ。


そのおかげで相変わらず震えているが、さっきよりはまともに話が出来る状態にまで回復した。


「……俺の言葉が分かるか?」


「……あ、はいぃ!」


恐怖は抑え込んでもこれが限界か。


声裏返ってるし……。


優しく語りかけたつもりなのに此処まで恐がられるとは……予想以上にアンデッドとはこの世界の住人から恐れられているのだろう。


あーもう早く終わらせるか。


「早速だが、ここは私の敷地だ。つまり君達は侵入者」


ダンジョンマスターがこの世界でどの位置にあるか分からない。だから、言葉には気おつけた方が良いな。


「本来なら殺しても良いのだが、君達にも事情がある様に見えた。だから、もし君達の事情が俺の納得出来るものなら……今回の事は不問にしても良い」


これで俺が無闇に命を奪う化け物ではないという証明が出来た。

そして、ついでに自分達の事情を話さざるおえない状況にした。


少女が話し出すのを待つ間、2人の姿を良く確認する。


……似ているな、姉妹か。


1人は金髪翠眼の少女。顔は整っており、目も大きく笑えばさぞ美しいのだろう、と思う。そして、エルフ特有の身体なのか抵抗の少ないスラリとした身体。それでいて色白で無駄な肉が付いていない。


もう1人は、長命種と言われているエルフ族である事を踏まえても幼い。しかし、姉と同じで整った顔立ちをしている。


それにしても、2人とも擦り傷だらけだな。


……ん?幼い少女の方は俺の事をジーっと見ている。


……俺の顔に何か付いてるか?


自分の顔に触れてみようとした時に、姉のエルフが話し出したので止める。


「……私達は元々東の森の方で暮らしていたのです。最近では、居場所を追われたドワーフ達も住む様になり村も大きくなりました」


これって長くなるやつだな。


「ドワーフもエルフと同じ妖精の民の呼ばれる種族ですので特に問題が起きる事はありませんでした」


「……」


「しかし、住人が増えればそれだけ食糧が必要になります。ドワーフ達は狩りが苦手なので、私達エルフが行いました。しかし、当然近場で獲れる獲物にも限りがあるので範囲を広げました。そうしている内に、……この〝霧の領域〟の付近まで来てしまったのです」


俺のダンジョンがある場所は〝霧の領域〟って言われているのか。


だが、ここら辺の魔物は厄介だぞ?大丈夫だったのか?


「〝霧の領域〟の魔物は強く厄介で、エルフ達にも少なくない被害がでました。それでも、この領域は食べ物が豊富なので狩りを続けていたのですが、今日は人間に会ったのです。

人間達は武装しており、急に襲いかかって来ました。私達は霧の中に逃げました。必死に走って走って走って、きづいたら貴方様の城の前にいました」


少女の話の中で気になる点が幾つかあった。


「幾つか質問するぞ?」


「はい」


「ドワーフ達が居場所を追われた理由は何だ?」


「人間に村を焼かれたそうです」


「次に、森で人間を見たのは今日が初めてか?」


「はい……でも、最近森の中に魔物ではない気配があると大人達が言っていました」


「武装していた人間達の人数と装備はどうだった?」


「人数は3人、装備は同じ鎧を着てました」


俺は今聞いた事を頭の中で纏める。


・人間に居場所を追われたドワーフ

・森の中の怪しい気配

・武装した人間

・人間からの襲撃

・複数で、同じ鎧


…………あ、分かった。

おそらく人間達がしようとしている事が分かっだが、俺の予想が正解ならもう手遅れかもな。


だとしたら、この2人はどうする?

殺されると分かっていて霧の外に返すのか?


俺は地球にいた頃から人間としての情が薄いと思っていたが、案外俺もお人好しなのかもな。


「話は分かった。それで、君達はどうする?」

「旦那様、此処ははっきり言った方がよろしいかと」


一度メレアと目を視線を合わせる。


俺は一度溜め息を吐く。


「……おそらく、君達の住んでいた村は既に無くなっている」


「え?それって、……どういう事ですか?」

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