第三章
玄関で固まっていた私に1人の男の子が近づいてくる。
「シェリーちゃん さっきからずっと突っ立ってどうしたの?」
そう可愛く首をかしげながら声をかけてきてくれたのは、近所に住む6歳の男の子
名はリアム・オーランド
キラキラと光るプラチナブランドの髪 綺麗な翠色の瞳をした可愛い男の子だ
「えーとね 桶に水汲もうとしたんだけどイクティスが飛んでたから綺麗だなって。」
イクティスとは、目の前を飛んでいる熱帯魚みたいな魚の事で、まさか目の前の光景に眩暈がして、ぼけっと立ってましたと馬鹿正直に言えるわけがない
「そっかー暖かくなってきたからね 水汲みなら手伝うよー」
「良いの?リアム君ありがとう」
そう言って一緒に近くの川まで歩くと、同じように桶に水を汲んでる人がちらほら居たので、元気よく「おはようございます!」と挨拶を交わすと「ママのお手伝い?小さいのに偉いね―。」など声をかける人もいれば、笑いながら「おはよう。」と言いながら水汲みが終わったのか、その場を後にする人もいた。
「水は冷たいから」とリアムが桶から水を汲んでくれた
その水が入った桶を持とうとしたが、水が入った桶は意外に重く、ふらふらしながら桶から水が零れていた。それを傍で見ていたリアムが、少し笑いながら私の代わりに桶を持ってくれた。
「桶 僕が持つよー」
「うう・・・ありがとう」
結局リアムに全部任せた自分が情けなくなり、うなだれながらお礼を言うと彼は「気にしないで良いよー」と笑いながら家まで桶を持ってきてくれた。
(私1人だったら…家につくまでの間に水をぶちまけていたな…)遠い目をしながらそう思うとリアムが手伝ってくれたのは本当にありがたかった。
零すと悪いからとリアムが桶を玄関の中に置いてくれた。
私が「本当にありがとう後で、何かお礼するね。」とリアムに言ったら何故か少しだけ驚いた顔をしたが、すぐに「僕がしたかっただけだから」と照れ笑いしながら「それじゃまたね!」と手を振って帰って行った。
長い髪を一つに結び、ボロボロの布を水につけて絞る。
水が思った以上に冷たかったが、家を綺麗にするためだと思い我慢した。
家の中を拭いては、ボロボロの布は、すぐに黒くなったり埃まみれになったり桶の水もすぐに汚くなって
余程汚かったんだと改めて思った。
拭き掃除をしている所にママが驚いた顔をして、家の中に入ってきた。
周りを見渡して私を見つけると「シェリーが家をの中掃除してくれてたの?具合は大丈夫なの?」そう言って未だ驚きながらも私が、今朝うずくまっていたのを思い出したのか心配してくれていた。
「もう大丈夫だよー家の中綺麗になったー?」そう言う私にママは近づいて、そっと頭を撫でながら優しそうに笑顔を浮かべて「シェリーが良くなったらよかったわ。けど無理はしないでね。家の中も綺麗にしてくれてありがとうね!」とママが言った。
なんだか恥ずかしくなった私は頭を優しく撫でるママに「くすぐったい―」と子供らしく笑う
ママは「シェリーが頑張ってくれてるしママもお昼作り頑張るわね!」と言って台所に向かって行った。
私は大事な何かを忘れているような気がしたが、元気に「うん!」とだけ言って再度床掃除をしていた。
ようやく主人公が喋って少しだけ物語が進んでいきました
まだまだ拙いところがありますが、のんびり物語を進めていきたいと思います←
そしてこのような小説をご覧になってくれた皆様ブクマまでしてくれた人本当にありがとうございます!