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第一章

 目を開けると見知らぬ天井 ぼんやりとした意識の中で、徐々に意識が戻ってくる。


(ああ・・そうだ確かトラックが突っ込んできて…それからどうなったんだろう…)


少し古臭そうな硬いベッドに横たわっているらしく、木の天井が見える。


どうやら此処は病院ではなさそうだ…


(…私はあの事故で、本当に生きているのだろうか?)


死んでいても可笑しくはない・・あの事故の後なら体が悲鳴を上げているはずだ


それなのに目覚めたばかりのせいか頭がぼーっとするぐらいで不思議と身体の何処も痛くない


ならこの場所はあの世だろうか?到底そうには見えないけれど


このままただ横になって寝ている訳にもいかないだろう


まだ頭がぼーっとする中 左手で頭を押さえながらゆっくりと上半身を起こす


そこで部屋を見渡そうとした際に姿見を見て固まった


《こ れ は い っ た い ど う い う こ と で し ょ う か ?》


どうみても日本人の黒髪茶色い瞳ではなく


透きとおった白い肌に腰まで長く伸びた紺桔梗の髪

パッチリとした二重

藤色の大きな瞳をした4歳ぐらいの女の子が鏡の中で私を見ていた


唖然とした表情で少しばかり開いた口を鏡の中のその子も同じ表情で口を開けていた


私が引きつりながら笑えば鏡の子も同じように引きつりながら笑って見せる。


想定外の事が起こり過ぎて声も出ず頭が痛くなりうずくまっていると


ノックもなしにドアが開く音がしたので、視線を向けると誰かが入ってくる。


「もう朝だから起きなさいって・・うずくまってどうしたの具合悪い?朝ごはん食べれるかしら?」と心配そうに入ってくる人がいた。


その人を見た途端ノイズと映像が頭の中に一気に流れ込んできた


「ううん、大丈夫 朝ごはん食べれるよママ。」


《ママ》と呼んだその人は、ほっとした様子で「そう?でも顔色も悪いし・・ご飯用意しとくから食べたらまた横になってなさい。」そう言ってドアを閉めた後階段を下りる音がした。


どうやら私はあの事故で死んだあと《この子》シェリー・ハーストとして生まれ変わり日々を過ごして居たようだ。


そして何かの拍子で前世というものを思い出した。


記憶が一気に流れ込んで来たためか先程よりも頭痛はするが、多少の不安はなくなっていた


自分自身のこと 見知らぬ場所からそれが、自分の家である事を思い出したからである。


それからゆっくりとベッドから降りて服に着替える。


色々とやりたい事調べたい事もあるが・・・部屋をちらりと見渡すと


天井には蜘蛛の巣が張ってあり、所々に隙間風が入りその風で小さな埃が舞っているのだ。埃・砂・小石などもある。兎に角汚い…。このまま生活するにしてもこの環境をまず整えなければいけないだろう。


とりあえず家の掃除をしようと思った。


着替えが終わり、階段を降りてリビングに行くと母が先ほど言ったようにご飯の用意をしてくれていた。


椅子に座り手を合わせて「いただきます。」といって、朝食を食べる。


焦げたシチューと焦げたパンにミルクが用意してあり、この時初めてママは料理が苦手だと知ったのは言うまでもない。

話にでてきた

紺桔梗こんききょうとは簡単に言えば濃い青紫

藤色は藤の花からきた色名で別名 若紫とも言われております。

淡い青みのある紫色の事です


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