壁
最近私が登る壁は、
その前より高くなって
手すりも凹みも凸もない
のっぺらぼうの板になっていく。
どんなに登ろうとしても
そののっぺらぼうの壁は
私に登る方法を与えず
かといって低くなってくれるわけでもなく
登れずもがく私を嘲るように
一分、一秒ごとに
高くなっていく。
よく見ると
そののっぺらぼうに見える壁には
様々な人の顔が
刷り込んであるように見える。
それは学校の先生であったり
家族であったり
「友達」であったり
それはもう一つとして同じ顔はないが
共通していることは
その顔たちがみんな
私を見下ろし、
嘲り笑っていることだ。
私はその悪夢のような壁から逃れようと
走り、逃げようとする。
なのにその壁は
こういう時ばかり腕を生やし
私を引き戻し
嫌がる私の目の前に
薄ら笑う顔たちの前に
晒すようにぶら下げる。
十分に晒されたら
壁は私をさらに持ち上げ
壁の向こう側にある
さらに高い壁を見せてから
私を地面に叩きつけるのだ。