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序1 気づかないからこその“宝物”
世界は、皮肉と隠喩でいっぱいだ。
欲しいと思わない人間の下には当たり前に、それがある。
欲しいと思う人間の傍には当たり前のように、それはいない。
『彼女』は独りだった。
両親の思い出はあるけれど、今は傍にいない。
義父の思い出はあるけれど、今は傍にいない。
義兄は生きているけれど、傍にはいない。
契約した精霊達は、傍にいるけれど、それでも少し違う。
その少しが大きくて。
少女は寂しかった。
言えないけれど、寂しかった。
だけど、同じ年の子に混ざることもできない。
生徒に甘えるわけにもいかない。
他にも理由はあったけど、少女は、古い古い《特殊》な精霊を呼び出そうとする。
そこから、物語は始まる。
それは、《過去》の《彼女》の贖罪。
それは、《過去》の《彼女》からの贈物。
それは、《過去》の《彼女》からの懺悔。