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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第ニ章・二部 入学と新たな挑戦
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シュア

「……はぁ。で、それはいつぐらいに起こるのかしら?」

「う~ん、だいたい今年の10月くらいかな。もし来てくれるって言うなら、学校関係の休学処理はこっちでやっておくわ。あ、アリーちゃんはもう大会で優勝してるし、そっちはしなくてもいいわね」

「10月なら、ベイも不要よ」

「へ~~。つまり、ベイ君は今年優勝するってわけね」

「負ける要素がないわね」


 正直、俺に勝てる奴がいたら、そいつはかなりやばい奴だと思うんだが。そんな奴がいるとは思えないし。大丈夫だろう。多分……。


「ふ~ん。まぁ、ベイ君は私に勝ってるからね。優勝ぐらい楽にしてもらわないと困るわね」

「お姉さまに、こいつが!?」

「ええ。そうよ、シュアちゃん。軽く、あしらわれちゃった」

「こんな奴に、そんなことが出来るはずありません!!!!しかも、お姉さまは王国の騎士団で特殊部隊を任されるほどの実力!!そんなお姉さまが負けるなんて!!!!」

「う~ん、でも本当なの。軽い遊び程度だったけど」

「……大丈夫です、お姉さま!!お姉さまが本気でやれば、こんなやつ。お姉さまの足元にも及びません!!」



 シュアは、俺を鋭く睨みつけてくる。怖い。いや、さっきからずっと睨まれてたようなもんだけど、今は、更に鋭い目つきで見られている。まるで、憎しみでもこもっているかのような目だ。俺、そこまでのことしたかな?


「無理ね。あなた達が、いくら本気を出そうが、2人でかかろうがベイは倒せないわ」


 きっぱりアリーは、シュアとシアに向けてそう言い放つ。 ……アリーさん、それって煽りになるのでは? やめて下さいよ。シュアの目つきがきつくなる。


「……へぇ」

「そんなことが、あるはずがない!!!!」


 アリーの言葉に、反発の声を上げるシュアに対し、シアは何故か微笑んでいる。 ……なんだろう。穏やかな笑みに見えるのに、薄ら寒いものを感じる。俺の方を変な目で見てくるし。あれは、どういう目だ? 品定めでもされているかのような気分だ。


「……やっぱり、ベイ君って面白いわね。アリーちゃんに、そうまで言わせるなんて。よっぽど信頼されてるのね」

「当然。私の夫よ?まぁ、そんな力がなくても、ベイを愛しているけど」

「ヒュ~~!!羨ましい発言ね!!」

「お姉さま!!これだけ言われて、黙ってるんですか!!」

「う~~ん、そうね~。でも、私が軽くあしらわれたのは事実だから」


 シアが、俺とシュアを見比べる。


「じゃあ、こうしましょう!!シュアちゃんが、ベイ君と練習試合をする。それで、はっきりさせましょう!!」

「え~~」

「いいでしょう。望むところです!!」


 シュアは、俺に向かって敵意を向ける。


「……ベイの相手にもならないわよ?」

「それならそれで、シュアちゃんにベイ君の凄さが分かっていい。と、いうことで。ねぇ、ベイ君。それでいいわよね?」

「え?いや、なんでそうなるんですか?」

「だって、アリーちゃんがそこまで言うんだもの。本当にしろ、嘘にしろ、その実力を見せてもらわないと。私はいいにしても、シュアちゃんの収まりがつかないわ」

「叩きのめしてあげます!!!!」


 なんで、シュアはそんなに乗り気なんだ。 ……これは、相手をするしかないのか。


「よし、決定!!では、闘技場を借りに行きましょう!!」

「……はぁ、ベイ、相手をしてあげて。言っても分からないなら、こうするしか無いわ」


 う~ん、アリーがそう言うなら、やるしか無いか。俺は、シュアに睨まれながら、闘技場に移動した。



「よ~し、ここなら大丈夫だから。二人共、思いっきり戦っていいわよ」


 闘技場をあっさり借りれるあたり、流石、生徒会長というところだろうか。個人的には、戦う話が流れて欲しかったが。仕方ないので、中央でシュアと向き合う。


「……覚悟するのね」

「……」


 やたら、シュアは俺に向かって敵意を向けてくるが、本当になんでだろうな。特に、何かした覚えは無いんだが。


「あれ、ベイ君は腰の剣を抜かないの?」

「ベイが抜くわけないでしょう。シュアごときに」


 ……アリーさん、その言葉でシュアの俺を見る目つきが更に鋭くなったんで、やめてもらえませんか。そろそろ目を閉じる勢いで鋭いんですけど。


「う~ん、じゃあ、このまま始めってっことで!!」

「死ね!!!!」


 適当な開始の合図とともに、シュアが魔法を撃ってくる。いや、死ねって。確実に、さっきのアリーの煽りが効いてるな。聖属性の魔法の弾丸を10発、同時に展開して、俺に向かって撃ってくる。これ、まともに食らったらマジで死ぬやつだな。


「……」


 正直に言うとめんどくさい。俺が聖属性を使って相殺すれば楽だが、普通は聖属性魔法なんて、大抵の人間は使えない。仕方ないので、土魔法の弾丸を作り、撃ち当て合って消す。


「無詠唱くらいは、出来るみたいね!!」


 シュアが、剣を振りかぶり、切りかかってくる。適当な威力の魔法の弾丸を撃って牽制するが、器用に避けて、止まってくれそうにない。しかも、剣で魔法をいなしている。結構強いな。


「シュアちゃんは、いろんな家の人の技を見て練習してたからね。あれぐらいだったら出来るのよねぇ」

「サルバノ家の技かしら?便利なものね」


 う~ん、確かに、あのいなしは厄介だ。まともに魔法が当てられそうにない。そうこうしている間に、シュアに接近された。


「剣を抜かなかったこと、後悔するといいわ!!」


 シュアが、俺を袈裟懸けに切ろうとする。一步下がって避けるが、シュアも逃すまいと連続で切りかかってくる。……ふむ。


「あ、シュアちゃん、後ろ!!」

「……えっ」


 シュアの剣を躱し、俺はシュアの後ろで魔法を発動させた。後ろから、雷の弾丸がシュア目掛けて、射出される。


「ちっ!!」


 慌てて、剣で魔法をいなそうとするシュアだが、雷の弾丸はいなされる直前で2つに分裂させた。片方はいなされたが、もう片方はそのままシュアに命中した。


「うああぁぁぁぁぁ!!!!

「シュアちゃん!!!!」

「うっ、小細工を……」


 普通なら、魔法は放って終わりだが。集中していれば、ある程度操作できる。皆と訓練している時には、普通に5、6個に分裂するときもあるので、これぐらい普通じゃないか?と思ったが、そうでもないらしい。俺は、少し怯んでいるシュアに近づき。


「くっ、この!!」


 俺目掛けて、剣を振りぬいてくるシュアの手首を掴んで、投げた。


「うわあ!!」


 そのまま、シュアは地面にぶつかる。手首を拘束したまま。俺は、シュアの首前に手を構えて、いつでもとどめをさせる状態にした。喉を潰すとか、絞めるとかそんな感じかな。まぁ、実際にはやらないけど。


「う~ん、そこまで!!ベイ君の勝ち!!」


 シアの勝利判定の声が響く。俺は、急いでシュアの拘束を解いて離れた。


「……くっ」


 シュアは、悔しそう俯いている。少しして立ち上がると、俺の方を向いて。


「……悔しいですが、少し強いのは認めてあげますよ」


 と、言った。素直なところもあるんだなぁ。


「でも、本気で戦えば、あなたなんて、お姉さまの足元にも及びませんからね!!」

「え、ああ、どうだろう?」

「及ばないんです!!」


 う~ん、戦ったことで、シュアの態度が少し柔らかくなった気がする。ほんの少しだけどな。



 



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