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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第ニ章・二部 入学と新たな挑戦
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理由

「……ベ、ベイ。回復魔法を……」

「はいはい」


 俺は、転移魔法でアリーの近くに移動した。また、地面には大きなえぐれができている。凄まじい威力の爆発が起こったことが、その光景から容易に想像できた。


「(マスター。今回は、人の集まりが早いみたいですね)」

「(まぁ、二回目だからな)」


 俺は、素早く魔法で地形を戻すと、アリーを抱えて自分達の部屋まで転移した。


「よし。これで大丈夫だろう。あとは、アリーの回復だな」

「う~ん、苦労をかけるわね、ベイ」

「いいって。アリーのためなら、このぐらいなんともないさ」


 俺は、アリーに回復魔法をかける。いつものように、素早くアリーが回復していった。


「う~ん!!やっぱり、疲れた時はベイの回復魔法に限るわね!!……おっと、ストップ!!それ以上すると、ベイを丸一日離したくなくなるわ!!……まぁ、いつも抱きしめたいとは思ってるけど。……身体の制御がより効かなくなるわね」

「分かった。このぐらいでやめておくよ」

「ええ、助かったわ、ベイ。……昼休憩おわりまでは、まだ時間がありそうね」

「ああ。で、アリー。また失敗したの?」

「う~ん、一応、成功したんだけど。撃ったら魔力切れで、音消すまではいけなかったわね」

「なるほど」

「次は、威力を押さえてやるから、大丈夫よ。心配かけてごめんね、ベイ」

「うん。気をつけてね、アリー」


 その後、アリーと少し雑談をしてから、俺は学校に戻った。



「……先程も言ったように、魔法陣を使う際はよく確認を行ってから使いましょう。間違った効果が出ては事故のもとです。入念な確認を怠らないこと。今日は、これを覚えて下さいね。……ふむ、いい時間ですね。では、今日の授業はこれでおわります」


 今日、最後の授業がおわった。よし、帰るか。そう思い、俺は席を立つが。


「1年のベイ・アルフェルト君。生徒会室まで来て下さい。繰り返します。1年のベイ・アルフェルト君、生徒会室まで来て下さい」


 ……風魔法で声を増幅しての、校内呼び出しか。しかも、生徒会室。……嫌な予感しかしない。だが、行かなきゃダメなんだろうな。取り敢えず俺は、帰り支度をして、足取り重く生徒会室に向かった。


「やあ、ベイ君。また会ったわね」


 俺が、生徒会室をノックして入ると、そこには3人の人物がいた。シア・ゲインハルトと、シュア・ゲインハルト。そして、アリーの3人だ。


「アリーも、呼び出されたの?」

「ええ、わざわざこの姉が部屋まで来てね。で、どんな用があるっていうの?」

「まぁまぁ、そんなに焦らないで。お茶も、お菓子もあるわよ」


 シュアがお茶を入れ、俺達のもとに持ってくる。俺に渡す時だけ、すっごい睨まれた。な、何故。


「さぁさぁ、立ってないで、そこに座って」

「……研究もあるし、手短にしてもらえると助かるのだけど」

「あら、どんな研究かしら?」

「言う必要は無いわ」

「連れないわねぇ」


 アリーの態度を見て、シアは、仕方ないという感じで話し始める。


「シュアちゃんに聞いたと思うけど、この世界が滅ぶかもしれないのよ」

「ええ。そんなことを言っていたわね」

「単刀直入に言うけど、私達に協力してくれない?アリーちゃん、ベイ君」

「……なんで私達なのよ。各家の当主にでも言えばいいでしょう」

「すでに言って、協力をしてもらっているわ。容疑者も、秘密裏に捜索中よ」

「なら、別に私達が行かなくてもいいんじゃないの?」

「それは違うわ。だって、決められた何かを変えるには、決められたその場にいない誰かがいなきゃ。それも、その場にいれば世界の崩壊を止められそうな人がね」

「それが、私達ってわけ?買いかぶりすぎだと思うけど」

「そんなこと無いわ!!実際、私はこの話を聞いて、止められそうな人はアリーちゃんぐらいだと思ったもの。あなたの才能は、それぐらいずば抜けているわ!!!」


 シアの弁は、熱を帯びている。それほど、アリーの才能を認めているんだろう。


「……当主の誰かじゃ駄目なの?あの人たちのほうが、私よりずっと役に立つわよ」

「それは、ちょっと難しいのよね。ほら、万が一相手のいる位置がわからなくなったら、誰もそいつを止められないじゃない。つまり、各家の当主には、犯人を当日に私達の前に引っ張りだすための囮になってもらおうと思うの。だから、その場にいてもらうのは、ちょっと無理がありそうね」

「なんか、えらく回りくどいわね。犯人の今いる位置とか、その占い師に聞いてないの?」

「聞いたんだけど。見えるのは、目の前にいる人の未来だけみたい。だから、私が早い段階でそいつに会っていればよかったんだけど。会ってないみたいね」


 シアは、気落ちしたようにそう言う。つまり、現状ではそいつが捕まる可能性は低いということか。


「で、そいつがわざわざ何かをするまで待って。そこで捕まえようっていうわけね」

「まぁ、そんな感じかな。しかも、その魔法を阻止しないと世界が滅びちゃうっていう」

「……なんともめんどくさい話ね。というか、そんな魔法なんてあるの?」

「……」


 シアは、しばらく黙った後、ゆっくりと話し始めた。


「召喚魔法よ」

「召喚魔法?それで、世界崩壊を起こすっていうの?」

「そう。ただの召喚魔法じゃないの。創世級魔物を、その場に呼び出す、転移型の召喚魔法。それが、世界崩壊の原因よ」


 部屋に、静寂が訪れる。確かに、それはかなりの脅威だ。俺達も、もう何ヶ月後かに戦えと言われても、勝てるかどうか怪しい。だが、気になるところがある。


「そもそも、なんでそんな魔法があるんだ?そいつらは、創世級の魔物を召喚して、何をしようっていうんだ?」

「う~ん、まずは、なんでそんな魔法があるのかっていうところから答えるね。簡単に言うと、古文書に書いてあったみたい」

「古文書?」

「そう。大昔の人たちが、魔法を研究した集大成か何かだと思うんだけど。たまに、そういうのが古い遺跡から出てきたりするのよね。大半は、国で封印されるんだけど。盗難に合うとか、すでに持ち去られてる場合とかもあって。で、犯人はそれを持ってるみたい」


 ……なんとも、迷惑な。


「で、何がしたいかって理由だけど。多分、創世級を操る方法も一緒に載ってるんじゃないかなぁ?まぁ、犯人も召喚した時点で死んじゃうんだけどね」

「……えええええええええええ!!!!そこで死んじゃうの!!!!」

「そうなのよねぇ。操る方法が載っているのはいいんだけど、創世級の力を、見誤ってるみたい。召喚した瞬間、犯人も死んじゃうらしいのよねぇ~。……本当、迷惑な奴」


 確かに、すごい迷惑な犯人だ。しかも、本人も死ぬんだから、救いようがない。


「……そいつって、アホなんじゃないの?」

「う~ん、確かに、この話の流れだとそうとしか言いようが無いね」


 俺は、アリーと顔を見合わせる。二人共、そんなアホに世界を滅ぼされるのは、嫌だという顔をしていた。




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