幼女
「へー、シアがそんなことをねぇ・・・。1回、私の魔法でも、撃ったほうがいいかしら?」
家に帰ると、アリーに今日あったことを話した。・・・あの凄まじい威力の魔法撃ったら、死ぬんじゃないだろうか・・・。シア・・・。
「で、その子は、ミルクに任せるのね?」
「お任せ下さい、ご主人様!!!必ずや、エロい女の子に人化させてみせましょう!!!」
「え・・・、教育するとこ、そこ?」
「こん?」
・・・やはり、不安になってきたな・・・。フィーのほうが、良かったかもしれん。と言っても、ミルクはもう、やる気のようだ。
「そうと決まったら、今日の訓練、私はシデンを鍛え上げますよ!!!何事も、初めが肝心ですからね!!!」
「こん!!」
シデンもやる気みたいだ。・・・意味は、伝わってるんだろうか?
「と言っても、初級魔物だからな・・・。ある程度、加減してやってくれ・・・」
「うーん、そうしたいとこなのですが・・・。とある理由によって、出来るだけやろうと思います」
「とある理由・・・?」
なんだろう、なにか問題でもあるんだろうか?
「ご主人様。我々の進化に、魔力が関係していることは間違いないと思います」
「ああ、そうだと思う・・・」
「見てください。我々は、もう、あの頃のような小さい魔力ではなく、聖魔級クラスの大きな魔力を持つ仲間が、すでに6人!!!上級が3人・・・!!!そんな魔力濃度の濃い空間に、初級魔物のシデンがいたらどうなるか・・・・。お分かりでしょう?」
「まさか・・・。すぐにでも、進化するっていうのか・・・?」
「ええ・・・、恐らく。今日か、遅くとも明日には、中級になると私は睨んでいます・・・」
ミルクは、シデンを抱き上げる。
「だからこそ!!!今のうちから、人化の重要性の知識と、ある程度の進化のための力を付けねばなりません!!!・・・・さぁ、ご主人様!!一刻も早く、訓練に参りましょう!!!」
「こん!!」
む、そうだな。そう言うなら、急いだほうが良さそうだ。俺達は、急いで支度をし、迷宮に飛んで、訓練を行った。
「そもそも、人化の何が重要かというと、美少女になれば、ご主人様とあれや、これや、し放題・・・!!!」
「こん・・・・・」
「おっと、そのバケツを下ろしてはいけません!!少しでも力がいることを、進化前に身体に覚えさせなければ・・・。苦しいでしょうが、辛抱して下さい・・・」
「こん!!」
シデンの頭には、バランスよくバケツが乗せられており、その中には、岩が入っている。ギリギリ、シデンが支えられる重さにしているため、相当キツイだろう・・・。
「さぁ、まだまだ行きますよ!!次は、その岩を背中に乗せて、走りこみです!!!」
「こん!!」
二人共頑張ってるなぁ・・・。任せてどうなるか心配だったけど、上手くやれているようだ・・・。
「ベイ、ちょっといいかしら?」
「うん?どうしたの、アリー」
「久しぶりに、私と訓練しましょう?」
「・・・なんだか懐かしいね」
「ふふっ、そうね・・・。でも、今だから、前よりいい訓練が出来ると思うわ」
「お手柔らかに・・・」
「何言ってるの。ベイのほうが強いでしょ?こっちのセリフよ」
俺達は、お互いに笑い合って、訓練を始めた。皆との訓練のお陰で、俺が優勢だったが、流石アリー。俺の魔法を尽く相殺してくる。天才的な魔法操作も、相変わらずすごいものだ。聖魔級強化も、長時間発動出来ているし、普通の人間なら、アリーに勝てる人など、ほとんどいないんじゃないだろうか?
「長時間・・・と言っても、30分が・・・げ、限界だけどね・・・。べ、ベイ・・・回復・・・」
「はいはい」
俺は、アリーを回復しながら、頑張るシデンと、ミルクを眺めていた。
*
「ふふっ、おはよう、お寝坊さん・・・」
「・・・」
次の日の朝。目が覚めると、目の前に幼女がいた。・・・誰?
「うーん、寝ぼけてるのかしら・・?なら、・・・ふー」
幼女が、俺の耳に息を吹きかける。ひぃぃぃぃぃ、ぞくぞくする・・・!!!・・・というか、本当に誰?長い黒髪に、シャツと短パンという、動きやすい格好。・・・・日本人?いや、この世界で日本人の幼女が、何故俺の上に・・・・?
「これでもまだ起きない・・?うーん、なら・・・」
幼女は人差し指を自分の唇に付け、その指を俺の唇につける。
「お目覚めのキス。順番があるらしいから、口同士はまた今度ね・・・」
幼女とは思えない艶っぽさで、彼女は妖艶に笑う。キス・・・。順番・・・?ということは・・・。
「あ、ベイ。起きたのね」
アリーが、こちらにやってくる。幼女は、やってきたアリーを見て・・・。
「ママー」
!!!!!!????????幼女が、アリーのことをママと言ったぞ!!!!!!!!ど、どどどど、どういうことだ!!!!!!!!!アリーは、幼女を抱きかかえて、穏やかに微笑む。
「見て、ベイ。私と、あなたの子よ・・・」
「え・・・」
・・・待った、今すごい一瞬で、感動が胸の中に湧き上がったけど、これ冗談的な奴だ!!間違いない!!!幼女は、薄っすら笑ってるし、俺との魔力のつながりを感じる・・・!!!
「ふふっ」
・・・いや、幼女のこともあるが。今は、このアリーの冗談にどう返すかだな・・・・。
「・・・・二人目は、いつ作ろうか、アリー?」
考えた末、俺はこう返すことにした・・・。するとアリーは、抱いていた幼女を下ろし・・・。勢い良く、俺に飛びかかってきた!!!!!!
「ベイ!!!作りましょう!!!是非、今!!!!!」
ちょ、ちょっと待って、アリーさん!!!!!まだ、まだ、朝ですよ!!!!うわああ、本当にパンツを脱がないで!!!!!!
「アリーさん、肉体的な問題があるから、今は控えておくのでは?」
「・・・む、そうだったわね。子供は産みたいけど、私への負担がね・・・。くっ・・・、悔しいわね」
「まぁ、私達は、魔物だからそういうの関係無いんですけどね・・・」
「そういうところは、羨ましいわね・・・。でも、皆待っててくれてるし、感謝してるわ」
「いえいえ、アリーさんを差し置いてなんて、我々の誰もが引け目を感じてしまいますよ・・・」
アリーは、パンツを履き直した。残念なような、良かったような・・・。
「ふふっ、朝から面白いですね・・。ご主人様」
そうだ、まだ幼女の問題が解決していない・・・。この娘はつまり・・・・。
「シデン?」
俺がそう言うと、幼女は姿を変えていく。髪はきつね色に、頭には狐耳が、お尻には尻尾が2本でた。服装は完全に巫女装束で、白い羽織を着ている。
「ええ、あなたの忠実な下僕、妖狐・紫電。ここに、おりますわ・・・」
シデンは、ゆっくりとお辞儀をした。・・・シデンって、こんな子だったのか・・・。キツネの時は、よく分からなかったなぁ・・・。
「も・・・」
「も?」
シデンが、突然震え始める。な、なんだ・・・?
「も、もう・・・、むり・・・」
「へ・・・?おわああ・・・!!!!」
突然、シデンを白い煙が包んだ。皆で煙を払うと、そこにはまたキツネ姿で、尻尾が2本になったシデンがいた。
「こん!!」
「ああ・・・、やはり完全人化は、まだ無理ですか・・・」
「こん・・・」
ミルクの言葉に、シデンは、悲しそうに俯いた。まだ人化出来るのは、一時的になのか・・・。
「まぁ、これからですよ、これから・・・。中級でそれだけ出来れば、十分すごいもんです」
「こん・・・!!」
シデンは、嬉しそうだ。だが、これから頑張るぞという、気合も感じられる。・・・頑張れ、シデン。あと、あまり俺をからかわないでくれ・・・。
「・・・・こん?」
俺の複雑な表情を見て、シデンは首を傾げた・・・。