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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第一章・一部 召喚魔法使い ベイ・アルフェルト
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フィーの変化

 俺の隣には、全裸の幼女が横たわっていた。きれいな緑色の髪、もちもちぷにぷにしてそうな白い肌。整ったその顔は、癒やしとやすらぎを与えてくれる。若干うつ伏せに、大事なところが隠れるように寝ているがこれは……、ふくらみかけというやつか。幼さが残る胸に、うっすらとした谷間と山を見ることが出来る。


(……ふぅ、落ち着け俺。今、見るべきはそこじゃない。見れるうちに見るべきかもしれないが、時間が取れる時にするべきだ)


 俺は今、家族と同じ家に住んでいる。先ほどの現象で大きな音は出なかったが、結構な魔力がでていたはずだ。魔法使いのうちの親なら、感づいて俺の部屋に入ってくるかもしれない。そこに、全裸の美幼女と添い寝している我が子がいるなんて……。母さん、これは事件ですよ!! そんな感じだ。勘弁してほしい。


(とりあえず、状況整理をしよう。どう考えても、この幼女はフィーだよな)


 召喚契約で結んだ魔力の繋がりも確認出来る。間違いない。とすると、これは進化だろうか? しかし、何故このタイミングで?


(俺が、大きくなって欲しいとか思ったからか?可能性としてはありそうだが……)


 しかし、進化するとは思っていなかった。この世界には、レベルの概念もないし、クラス分けはされているものの専門書にもそんなことは書いていなかった。俺個人としては、数年後にはフィーはマスコットけん俺専用の癒し系アイドルの地位を確立するものだと思っていた。もしくは小さくてかわいくて強い理不尽実力者。


(たしか、シルフの上位種族があったよな。ハイ・シルフだっけ?今のフィーは、それかな?)


 ハイ・シルフは、どこかに存在するという全属性神魔級迷宮でのみ確認された種で発見例はかなり少ない。愛らしい見た目とは裏腹に、かなり速く強いという説明文が印象的だった。とはいってもこの迷宮、妖精の住家は戦わなくてもいい迷宮らしく、妖精族の魔物と平和的に接触できればわきあいあいと話をすることもできたという。確かハイ・シルフ自体は、中級クラスにランク分けされていたはずだ。


(中クラス魔石、作っといて良かった。でも、入らない可能性もあるからな、まだ安心は出来ない。とりあえず、フィーを起こさないと……)


 そっと、肩に触れて揺らそうと試みる。  


 ぷにっ。と、暖かい柔らかいすべすべしっとりとした感触を俺は感じた。肩でこんな感じなら、ほかの感触はどんなのなんだろう。例えば、今見えているふくらみかけの山とか!! ゆっくりと寝息をたてるフィーの動作に合わせて、僅かに変形している。……やばい、フィーの肌と肌の間に指を差し入れたい。いやらしい気持ちもある、だがそれだけじゃない!! 純粋に触ってみたい!! すごく柔らかそうだ!! いやらしさだけじゃない!! 感触で人を誘う魔性の空間がそこにはある!! だが、寝ているフィーに断りもなしでそんなことをしていかがなものか? 召喚契約を、切られたりするのではないか? 一時のエロスより、フィーと共にある幸せを俺は選択するぜ!! そう考えた俺は、冷静にフィーを起こす作業を再開するのだった。


「はぁ、はぁ。……おっと、フィー、起きるんだ」


「うん、マスター?まだ夜だよ、どうしたの?」


 ……普通に喋れてるな、フィー。進化の影響だろうか。眠そうに、眼をこすりながらフィーが答える。


「うん?マスター、もしかして小さくなった?部屋も小さい……」

「……フィーが、大きくなったんだよ」

「……お~~」


 フィーは、すっと立ち上がると自分の体を確かめるように触りだす。あっ、今立ち上がった瞬間、何か甘い匂いが……。


「お~~!!」


 胸だ、胸を触っている。そうだよな。そこは、気になるだろう。俺は今、可愛くもエロい背中とすごい柔らかそうなお尻しか見えていないが、間違いなくそうだろう。するとフィーは、くるっとこちらを向いて……。


「えっへん!」


 と、得意げに隠すこともなく、俺の視界に胸をさらした。


(おおおおおおおおおおおおおおおおおお、お、お、お、落ち着くんだ俺の心の紳士!!落ち着け!!この程度のことで、動揺を見せるんじゃない!!たとえ目の前に、天国が広がっていたとしてもこの感情を無垢で純粋な彼女に向けてはならない!!というかフィーは、年齢的に何歳なんだ?魔物だから、関係ないのか?いや、ここは俺の自制心が試されていると考えていいだろう。そうだ、フィーが俺の褒め言葉を待っているんだ!!動揺している暇はない!!)


「……か、可愛いよ、フィー」

「わ~い!!ありがとう~、マスター!!」


 フィーが、俺に抱き着いてくる。もちろん全裸で!! あ~~、そういえばフィーは嬉しいとよくすり寄って来てたんだよね。そこがかわいくてね。いつでも撫でてあげてたよ。でもね、でもね。今はやばい!! あ、甘い香りがする……。癒されると同時に、独占欲が湧いてくる。服一枚隔てて、柔らかいフィーの肉体が……。


(……)


 俺は、フィーと契約したんだ。出会ったあの日、彼女を大事にすると誓った。最初は、ペット的な感覚もあった。でも、これまでの彼女に癒される日々は、俺にとってかけがえのないものだ。答えろ俺!! フィーの行為に!! あ、いや、好意に応えるんだ!! ……俺は、彼女の体を抱き寄せ、腕を回し頭を優しく撫で始めた。


「えへへ」


 嬉しそうな、フィーの顔が見える。ああ、これで良かったんだ。可愛く微笑むフィーの笑顔。守ろう、この笑顔を……。天使の微笑みを……。俺は、そう思った。


「ところでフィー、何か着ないか。その恰好じゃ、風邪を引くかもしれないぞ?」


 風属性の、しかも魔物が風邪を引くのかはさておき、さすがにそろそろ何か着せねば。目のやり場にも困るし……。


「えっと……。うん、分かりました」


 そういうとフィーは、立ち上がってくるっと回転する。すると、白と緑を中心にしたふりふりの服を身に纏っていた。あ~~、ハイ・シルフの図鑑の挿絵、こんな服着てたなぁ。自分で出せるのか。便利だなぁ。何よりかわいい。一番大事なことだ。


 机に置いてある魔石を取って、フィーに魔力を流させる。魔石が緑色になり、フィーを収納する準備が出来た。


「マスター、前のフィーの魔石は?」

「フィーが強くなったからね。その時に、壊れちゃったんだ」

「……残念」


 ああ……、まぁ、愛着が湧いてたんだろうなぁ。仕方ないこととはいえ、フィーを暗い気分にさせてはいけない。撫でよう!! 笑顔を取り戻すんだ!!


「俺は、フィーが強く可愛くなってくれて嬉しい。何度壊れても、俺が新しい魔石をすぐに作るから大丈夫だ。ほら、元気出して」


 頭に手を置き、ゆっくりと撫でる。さらさらの髪を指でかき分け、愛おしむように触っていった。そっと抱き寄せ、腕を回し全身で精一杯の大丈夫だよという雰囲気を出していく。ゆっくりと、フィーの顔が甘えた感じの笑顔になってきた。良かった、これで大丈夫だ。


「それじゃあフィー。一旦、魔石に入ってみてくれ」

「うん、マスター!!」


 フィーが、召喚魔法で魔石の中に移動する。よし、壊れない!! さすがに、今からランクが上の魔石を作るのはきつそうだったからな。良かった。でも、これからはこの事態を考慮して高ランクの魔石を揃える必要がある。……頑張ろう。


(ねぇ、マスター。召喚!!召喚して!!)

「え、あ、うん、分かった」


 なんだろうと思いながらも、俺はフィーを召喚する。するとフィーは、とてとてとベッドまで移動すると、ぽんぽんとベッドを叩いて。


「大きくなったから、これからはマスターと添い寝出来るね。じゃあ寝よ、マスター」


 と言い出した。……今、頭の中でアリーが別にベイと添い寝出来るなんて羨ましくなんてないんだからね!! みたいな顔をしていた。アリー、お許し下さい。ここで断ると、またフィーが悲しい顔をしてしまうかもしれません。俺に拒否権は無い。


「ああ、うん、おやすみ、フィー」


 スッとベッドに入って、できるだけ速やかに寝ようとする。添い寝するにしても、カエラが起こしに来る前に起きて召喚を解除しないといけない。じゃないと息子が、大人の階段を登ったと勘違いされてしまう。


「うん、おやすみマスター」


 そう言うとフィーは、俺に足を絡めて片腕で抱きついてきた。ふあぁぁぁ!!!! 甘い匂いがする!! フィーの体温と心臓の音、絡められた足が!!!! あっ、でも安心する……。フィーが俺を信頼してくれているのが分かる。この気持ちに任せて、今日は寝よう。早起きするぞ~~!! そして俺は、眠りに落ちていった。



「……ベイと添い寝なんて、羨ましくないんだからね!!……なんだ夢だったの。そうよね、ベイと誰が添い寝するっていうのかしら。フィーぐらい?まぁ、それなら仕方ないわね。フィーに悲しい顔は、させられないものね。まぁ、でも夢だしどうでもいいわ。寝直しましょ……。おやすみなさい……、ベイ」


 アリー・バルトシュルツは、そう言うと眠りに落ちていった。




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