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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第ニ章・二部 入学と新たな挑戦
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あれ

「ふふっ、おはよう、ベイ!!」


 目を開けると、アリーが先に起きていた。エプロンを付けて、微笑んでいる。そのままそっと、俺にキスをしてくれた。……なんだ、天使か。天国は、本当にあったんだなぁ。でも、天使は4人ほど仲間になってるから、天使というか、女神かな……。うん、アリーは俺の女神だ。


「おはようございます、ご主人様!!皆で、朝食の準備をしました。さぁ、食べましょう!!」

「マスター!!おはようございます!!」


 む、そう言えばなにか、美味しそうな匂いがするな。……皆が作ってくれた、朝食だと!! 今日は、いい一日になりそうだ。


「ああ、今起きるよ。おはようアリー、フィー、ミルク」

「マスター」


 ゆっくりとフィーが、俺に迫りキスをする。もう、何度もしたキスだが、やはりいいものだ。フィーも、ミルクもエプロンを付けているからか、全員で新婚さん気分だな。いつもより、甘い気がする。


「レムー!!次は、貴方の番ですよー!!」

「あっ!!分かった!!……主、おはようございます、チュッ」

「ああ、おはようレム」


 レムも、エプロンを付けている。清楚なレムに、エプロンはよく似合うなぁ~。でも、皆が普通に服の上にエプロンをつけていて助かった。裸エプロンだったら、今日は夜まで皆を離さない自信がある。


「ふふふ。さて、私の番ですね、ご主人様~。チュッ、チュパ、ハム、チュル」


 ミルクのキスは、いつも皆より濃い。情熱的だし、完全に俺を味わい尽くす気で来る。しかも確実に、その豊満な胸を俺に擦りつけてくるので、とても気持ちがいい。エプロンと、服越しだというのに、その威力は1ミリも衰えないでいた。やはりすごいぞ、このビッグバン(宇宙の生命誕生級の神秘)。


「ぷはぁ~!!……ふぅ、満足です」

「おい、ミルク。あまり長くしていると、料理が冷めるぞ」

「と、言われましてもですね、ミズキ。この程度で足りないくらい、私のご主人様への愛は深いのです!!」

「知っているし、それは皆も同じだろう。私も、……殿と、キ、キス以上もしたい」

「うんうん、ミズキも積極的になってきていいですなぁ~。私も、うかうかしていられません!!まぁ、それはそれとして、料理が冷めて困るのは本当なので、ささっ、ミズキも朝のキスを!!」

「う、うむ……」


 照れ顔になったミズキと軽くキスをして、その後すぐに抱きついてきたカヤともキスをした。ミエルとは、今朝もほっぺにキスをしあった。他の3人とは、普通に挨拶をする。昨日よりはましになったが、まだまだキスをすると顔がすごく赤くなるミエルは、シスラ達に暫く介抱されていた。しかし、いつの間に全員分のエプロンなんて用意したんだ?


「アリーが、皆のエプロンを用意したのか?」

「いえ、部屋に置いてあった布で、ミルクとミズキが10分ぐらいで作ってたわよ」


 ……すごい生産力だな。迷宮で素材集めをしなくても、服屋でやっていけるかもしれない。


「さぁさぁ、ご飯が冷めちゃうわ。皆で食べましょう、ベイ」

「ああ、そうだな。いただきます」

「「「「「「「「「いただきます!!」」」」」」」」」


 そう言えば、全員揃っての食事は初めてじゃないか。普段は食べないレムも食べているし、フィーも牛乳を飲んでいる。ああ、いいなぁ、こういうの。俺は、何気ない幸せを感じた。アリー達が作ったご飯も美味しいし、すごい満足だ。


「さて、片付けたら学校を案内するわね。ベイは着替えて、待ってて」

「アリーさん、手伝います」

「ありがとう、フィー」

「勿論、私達も手伝いますよ!!」

「ああ、そうだな」


 皆が協力して、食器を片付けていく。うーん、家族って感じだなぁ……。流石に、10人も台所にいては、俺はすることがないので、お言葉に甘えて着替えておくことにした。


「これでよしっと!!じゃあ、学校に行ってみましょうか!!」


 洗い物がおわると、ローブと帽子をアリーは着る。俺は皆を召喚解除して、アリーと校内に向かった。

 数分間歩くと、目的の場所に着く。俺の手を引いて、アリーは嬉しそうに校舎に入っていった。


「前来た時に、案内されなかった場所を優先して見せるわね。まずはここ、図書館よ」


 そこには、建物の一区画を丸々使った図書館があった。1階から始まり。地下へ続く階段があって、多くの本が貯蔵されている。アリーに手を引かれて、俺は最奥に近いところにある、1つの本棚に導かれた。


「ここにベイに、おすすめの本があるのよねぇ~。今日は、これを借りて行きましょう」

「うん、どんな本?」

「これよ」


 その題名を見た瞬間、俺は苦い顔をした。ある意味で俺が探しているものでもあるが、出会いたくないものでもある。そう、その本は。


「神魔級回復魔法書!!」


 アリーがこれみよがしに、本を頭上に掲げた。人間が使えるとされている魔法の中でも、最高位の威力を誇る神魔級。しかも回復魔法……。俺の頭のなかで、今までの回復魔法での出来事がよみがえる。今まででも、あれだったのに、最高威力の神魔級。……一体どうなってしまうんだ。いや、意外と普通になる可能性も。……意外と、ってなんだ!! 駄目じゃないか、俺!!!! 自分を信じろ!!!! 今度こそ、普通の回復魔法になるはずだ!!!!


「(神魔級回復魔法書ですとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!)」

「(ゴクリ!!)」

「(遂に、来てしまいましたか。この時が……)」

「(殿が、遂に最強の回復魔法を……)」

「(た、楽しみでもあるような、怖いような。複雑ね……)」


 ミルクは大興奮のようだが、他の皆は緊張が走ったように身構えている。アリーも顔を僅かに赤く染め、身体をくねらせて俺を見ていた。うーん、エロい。……じゃなくて、皆が緊張するのも分かる。だが、そうそうこの魔法を撃つ機会も無いだろう。確かに、覚えといて損はないだろうが。これまでのことを考えると、最高威力なら魔物であったとしても、皆がどうなるかなんてわからない。試し撃ちさえも、控えたいところだな。実際。


「(で、誰が最初に回復魔法を受けます?私が受けたいんですが!!!!)」

「(いや、待て。ミルクでは自制が効かず、最後まで行こうとするだろう。間違いない!!だから無しだ!!)」

「(えええええええええぇぇぇぇ!!!!)」


 ……試し撃ちさえも、控えたいんだが。


「ふふふ、やはり最初は、お嫁さんである私でしょう!!」

「(いやいや、アリーさん!!前の時ですら、既にやばかったじゃないですか!!!!今度は3日ぐらい気絶して、ご主人様の子供を授かるまで、止まらないかもしれませんよ!!!!)」

「望むところよ!!!!」


 ……いや、その、あのですねぇ。


「(これから学校なのに、さすがにそれはキツイのでは?)」

「む、確かにそうね。あれを受けると、ベイから離れたくなくなるし。時間があるときにした方がいいわね」

「(でしょう?)」

「(はい、はい!!フィーが受けます!!マスターのためなら、頑張れます!!問題ありません!!)」

「(フィー姉さんだけに、無理はさせられない。私も受けよう。主の全力を、受けきってこそ前衛が務まるというものだ)」

「(私は、遠慮しておきましょう。この前のことで、意外と殿を求めている自分に気づきましたので。後にします)」

「(あ、あたしも、止まれる自信はないかなぁ~。取り敢えず様子見で……)」

「(あわわわ。わ、私達は……)」

「(当然遠慮するっす!!まだ聖魔級も受けてないのに、いきなり最高威力なんて、身が持たなさそうっす!!!!)」


 ……身がもたないって。一応、回復魔法なんだけど……。


「(そうね。今回は見学していましょう)」

「(しかし、皆さんがそこまでになるとは……。一体どれほどの……。いえ、そうですね。ここは大人しく見ているべきでしょう)」

「(ふぅ~む、それではフィー姉さんとレムに任せるとしますか。では、ご主人様、そういうことで……)」


 ……撃つことが決まってしまった。大丈夫だろうか? 俺が言うのも何だけど。


「よし!!そうと決まったら、早速これを借りて行きましょう!!おっと、そう言えば案内がまだだったわね。じゃあ、案内をしながら、貸し出し届けを出しにレッツゴー!!」


 そう言うとアリーは、俺の手を引いて再び上の階を目指して歩き始めた。







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