4人の食事
「うぅぅ……。何っすかねぇ~。ベイさんのお陰で、身体は回復したんっすけど。何故か、疲労を感じるっす」
「まぁ、あのキツイ特訓の後では仕方ないかと。私も、実力的にまだまだということがよく分かりました」
「お疲れ様。取り敢えず、ご飯にするか。ミエル達は、人間と食べるものは変わらないんだよな?」
「う~ん、どうっすかねぇ?人間が食べるものなんて、知らないっすから」
「そうですね。私達は迷宮からは、あまり出ませんし。でも、野菜にお肉、魚なども食べますから、そこら辺なら大丈夫ではないでしょうか?」
「まぁ、魔力でも十分なんすけど。うちは、魔力を貯めこむ変な石がありましたからねぇ。今までは食べて、魔力を何とか回復させてたもんすけど。ベイさんの仲間になっている今なら、そんな問題はなさそうっすね」
う~ん、でも、食べれるなら食べておいたほうがいいんじゃないだろうか? というか、お腹が空くという概念がないのかな? と思っていると、ぐぎゅるるるるるるる~~~、と、ミエルの腹が鳴った。
「あわわわわわわわわわわわ!!!!」
「ミエル様。また盛大に鳴らしましたっすね……」
「まぁ、魔力でいいって言っても、こればかりはどうしようもないわね……」
ミエルは、耳まで真っ赤にして、うずくまってしまった。
「恥ずかしいいいいいいいいい!!!!」
「まぁまぁ、ミエル様。生きているなら、当然のことっすよ。ほら、ベイさんにご飯をお願いしましょう」
「私達もお腹がなってしまいそうですし、お願いします。ベイさん」
「あ、あの、お願いします!!!!」
俺に、3人は申し訳無さそうに言ってくる。まぁ、作るつもりだったし、問題はない。さっきからシゼルが、腹を抑えてうずくまっているのは、なんだろうか? 自分の腹が、鳴らないようにしているのだろうか?
「わ、私からもお願いします。ベイさん。是非、ご飯を下さい……」
やはり、お腹が鳴らないかを、気にしているようだ。取り敢えず俺は、予定通りに料理をすることにした。味の合う合わないはあるだろうけど、そこはおいおい分かっていこう。練習場に料理道具を持込み、魔法で調理を開始する。魔物の素材を売って得たお金で、食材をいくつか買った。買った食材を鍋に入れてシチューを作り。買ってきたパンを、皿に並べる。バターとイチゴジャムの瓶を置いて、ハムサラダも作った。まぁ、これだけあれば足りるだろう。
「おおっ!!いいっすね!!」
「美味しそうです」
「私達でも、食べれそうですね」
「うむ、問題無いと思います」
ついでに、ミズキに出す魚も軽く調理した。さっと、シンプルに塩焼きにする。……迷宮産の魚なのに、やたらいい匂いがするなぁ~。その匂いに食欲をそそられたのか、ミズキは顔を輝かせていた。
「よし、できた。食べてみてくれ」
「「「「「いただきまーす!!」」」」」
シスラが、すぐにシチューを頬張る。嬉しそうな反応を見るに、味は問題なさそうだ。
「うん、うん、うめえっす!!」
「本当、美味しいわね」
「ンクンク、この牛乳も美味しいですね。こんなの、飲んだことありません!!」
ああ、その牛乳はね……。どうしよう、言ったら引かれそうな気もするが。まさか、今飲んでいる牛乳が……。
「おお、それは良かったです!!頑張って、搾ったかいがありますねぇ!!」
ミルクは、胸を張った。4人の視線が、ミルクに集まる。牛乳と、ミルクの乳を交互に見比べた。
「えっと、ミルクが搾ったんすか、これ?」
「ああ、なんと言いますか……。厳密に言えば、私はご主人様に搾られた側といいますか。まぁ、私の牛乳が美味いのは当然ですよ!!ご主人様のお墨付きですから!!」
またミルクは、得意気に胸を張る。皆が俺を見る。……やめて下さい。そんな細めた目で、俺を見ないで下さい。ミエルは何故か、自分の胸を顔を赤らめて揉んでいる。
「ベイさんは、その、そういうのがお好きなんですか?」
……いやね、そんな質問をされても困るわけですよ、ミエル。はい!! 好きです!! と言っても、変な目で見られそうだし、違いますと言っても、ミルクが一晩泣きそうだし。
「いやぁ~、あくまで、ベイさんも牛乳が欲しいからやってるんじゃないっすかねぇ?我々から、牛乳が出るわけ無いですし」
「でも、その、こ、子供とかできたら……。出ますし……」
「え、まさか、私達に子供を孕ませてそういうプレイを!?」
「もう、何言ってるの二人共!!食事中にする話じゃないわよ!!」
「あっ」
「ご、ごめんなさいっす!!」
「まったく。ミルク、おいしい牛乳をありがとうございます」
「いえいえ、あ、私の牛乳は、仲間限定ですからね。ご内密にお願いします。あと、皆さんに出すのも今回だけ特別ですよ。皆さんが普通に食事できるか、分からなかったですからね。この分なら、普通の飲み物でも大丈夫でしょう。私のは、ご主人様専用ですので、基本」
「分かりました」
その後は、静かに食事が再開された。あの会話の後なのか、ミエルとシスラは顔が赤く、チラチラと俺を見ている。シゼルもサエラも、たまに俺をチラッと見て、目が合うと顔を赤くした。シゼルはその時に、胸も腕で隠している。いや、搾らないから……。大丈夫だから。たぶん……。
「ふぅ~、ごちそうさまっす!!」
「お腹いっぱいです」
「満足しましたね」
「ベイさん、ありがとうございました」
「いや、口にあったなら良かったよ」
自炊をしていた経験が、役立ってよかった。水魔法で、さっさと洗い物を済ませて、家に帰る。俺の食事はこれからだ。皆を魔石に戻して、家に帰る。精神的に疲れたせいなのか、お腹がいっぱいになったからなのか、4人はいつの間にか寝てしまっていた。
(いや、まぁ、それでなんですけど。まだ布のあまりが十分ありますからね。それで行きましょう!!)
(とは言っても、いきなりでは主も面食らうのではないか?)
(なに言ってるんですか、レム!!こういうのは、初めて見た驚きというのが大切なのです!!その威力が高いほど、ご主人様の脳内でのあんな制限や、こんな制限を解除できるってもんですよ!!)
(本当に、マスターに迷惑じゃないかなぁ?)
(大丈夫に決まってますよ、フィー姉さん!!まして、姉さんが可愛い格好をするのを、ご主人様が怒るでしょうか?いえ、むしろ、両手を上げて喜ぶでしょう!!)
(そ、そうかな)
(ええ、保証します!!共に頑張りましょう!!!ミズキも、カヤも!!!)
ミズキは、無言で賛成の意を示す。だが、カヤはう~ん、とうなっていた。
(どうしたんですか、カヤ?)
(う~ん、賛成は、別に構わないんだけど。あたし、殆ど服装に変化ないんじゃないかと思って)
(ああ、そういうことですか。確かにカヤは、元から露出が高いですからね。しか~し!!安心してOKです!!その腰のスカートがないだけでも、十分エロくなりますよ!!!!)
(そ、そうかなぁ?)
(ええ!!ご主人様も、常々そう思っているはずです。見えそうで見えない、そのスカートさえ無ければ、カヤのお尻を愛でられるのにと)
(あ、主様が、そんなふうに!?)
(ええ。しかし、安易に見せなかったからこそ、今ここで見せる威力は桁違いでしょう!!!何も、恐れることはありません!!さぁ、新人に負けてなんていられませんよ!!我々の魅力を、ご主人様に叩きつけましょう!!!!)
((((おー!!!!))))
皆の魂を込めた気合の声が、念話で響き渡る。念話なので、その会話は俺に聞こえることはなかった。