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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第一章・一部 召喚魔法使い ベイ・アルフェルト
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今後の課題

 次の日。研究は成果が出たし、アリーの好感度も上がってきてる気がするし、いいことが続くなぁ。と、うかれながらも次にどの方向に召喚魔法を強化しようかと、俺は頭を悩ませていた。


 魔石が完成したことでかなりの問題が改善されたが、この魔石にも欠点がある。魔石にはランクがあり、いい魔石ほど蓄えられる魔力保有量が高い。小、中、大、特、極の順でランク分けされており現状の試作品魔石は、小のランクに分類される。


 魔物を入れておくだけなのに、魔力保有量が必要なのか? と問われれば、必要だ。召喚魔石の魔力保有量とは、収納できる魔物の容量みたいなものだ。契約した魔物を、召喚魔法で圧縮して魔石内に待機させておくことが出来る。だが例え圧縮していると言っても、魔物は強力な魔力の塊だ。圧縮してもなお魔石の魔力保有量を超えるほど力のある魔物なら、魔石が収納することに耐え切れず粉々に砕け散るだろう。つまり現状では、強い魔物を仲間にしても魔石に待機させておくことは出来ないということだ。


 この問題を解決するには、圧縮を強化してより魔物の魔力を容量に合わせて抑えるか。魔石自体の魔力保有量をあげるしかない。今後も魔石開発を進めなきゃいけないみたいだ。


 この世界の魔物の強さもランク分けされている。シルフは、初級のランクに属していて比較的弱い方の魔物だ。初級、中級、上級、聖魔級、神魔級、創世級の順にランク付けされている。魔物は、野生に存在しているものもいるが迷宮と呼ばれる魔物が常に存在する特別な場所もある。迷宮は、膨大な魔力のある土地に存在する魔力で圧縮構築された空間だ。火・水・風・土・雷・闇・聖・全の属性ごとに分けられ、魔物と同じランク制で階級分けされている。この迷宮は、世界に数多く存在し冒険者達の狩りと修業の場となっている。


 108年前、この迷宮の神魔級クラス2つを攻略した冒険者達がいた。その冒険者達は、魔王と言われた魔物を率いる能力で人類に戦争を仕掛けた神魔級クラスのユニーク魔物との戦いに勝利し勇者と呼ばれた。以降、彼ら以上の難易度の高い迷宮を攻略したものは誰一人おらず。その偉業は、今も最高の迷宮踏破者達として讃えられている。


 かつて、最強と言われた者達でさえ神魔級迷宮を2つクリアするのが精一杯だった。だが、この世界にはそのさらに上のランクの迷宮が存在する。創世級迷宮。目に見えるほどのあふれだす魔力の壁、宇宙まで高くその空間は続き、巨大な土の山、木が集まってできた巨大な大樹、人間を撃ち殺すような速度で降る水の雨、竜巻が常に存在する平原、雷を放つ雲、赤いマグマの大地、光、闇で構成されている空間。それらが積み重なった強大な迷宮。遠くからその姿を見ることが出来るが、この迷宮は近づいただけで死ぬ迷宮として有名だ。この迷宮の周りには、魔物も、人も、植物も存在出来ない。近づけば気づいてしまう、あの中に何がいるのか……。その結果、精神が肉体がその力の片鱗に耐え切れず、死ぬ。人間では、踏破不可能。この迷宮があるかぎり、迷宮完全踏破は不可能だろう。


 そこまでの実力の魔物と戦う機会は無いと思うが、研究するからには最終的にそれほどの魔物を収容出来る魔石を作りたいものだ。現状では、初級ランクのフィーを入れるので精一杯なぐらいなので、上級ぐらいまでは早めに収容できる魔石を用意しておきたい。


「とは言っても、高ランクの魔石を作るのには、時間と魔力を使うんだよなぁ……」


 よりランクの高い魔石作成には、初級魔石作成より多い魔力と魔力コントロールを要求される。しかも自分の場合は、魔石に召喚契約陣、自分の中に取り込んでおくための収納機能をつけているため普通より多くの作業時間を取られる。


「地道にやっていくしかないか~。とりあえず、中級クラスを意識して作ってみよう。上級までなら今の俺でも作れる魔力量だろうけど、いきなり難しい作成をして失敗しても嫌だしな」

(私が、手伝えればいいんだけど……)

「その気持だけで充分だよ。フィーは、風魔法しか使えないからね。というか、召喚魔法が使える魔物がいても、魔石作成が出来るかは別だし」


 魔物の身体は、各属性に合わせられた作りになっており。その属性の魔法を、使いやすい体になっている。それが他の属性の魔法を使えなくしたり、弱点を作ることになっていたりもするが。ある属性の魔力を強力に使うことで生き残る強さを得ようとした魔物なりの進化の結果なのかもしれない。


(う~ん、マスターの中にいると、どんな魔力の流れで作ってるか分かるから、使える子がいれば出来るかもしれないよ?)

「え、そうなのか。……といっても、心当たりがある魔物が上級クラスのくらいだからな。今すぐは、無理そうだな」

 

 冒険者たちが今までに遭遇した魔物知識で作った魔物図鑑。その中にいた魔物を呼び出すという奴は、頭にキングとかエンペラーとかつくような各種類の上位種族みたいなボス系魔物ぐらいだった。しかも、魔石作成は土属性も必要とされる。いつか土の上級迷宮で長時間特定の魔物勧誘をする必要があるかもしれない。


「魔石を多く作れても、俺がそれだけの魔物を扱えるのかという問題もあるが……」


 まぁ、先のことを考え過ぎてもいけないので魔石作りを始めよう。一気に作り上げるのはしんどいから小さな欠片ごとに小分けにして作っていく。それらをパズルのように魔力でつないでいき、最終的に一つの魔石にする。今回は中クラスの魔石作成だが、合計で4時間ぐらいの時間がかかった。途中、作業ばかりしている状況に飽きたのか、遊ぼうと駄々をこねたフィーをかまっていたら完成は夜になってしまった。


「よし、完成。これで、新しい中級クラスの魔物を仲間に出来るな」

(わ~い、おめでとうマスター)

「ああ、ありがとうフィー。うぅ~ん、そろそろ寝るかな。だいぶいい時間だし」


 結果的に、ほとんど今日はフィーをかまっていた。そういえば最近は、魔石の研究に付き合わせるかアリーとの特訓を一緒にやるかしかなかったから鬱憤が溜まっていたのかもしれないな。


 俺個人としても、フィーをなでなでするだけでかなり癒やされる。頭を指先で撫でれば可愛い笑顔になるし、顎下を擦れば気持ちよさそうに笑みをこぼす。そんな反応が可愛くて、つい何時間でもかまってしまう。たまには、こういう日があってもいいよな。というか、フィーのためにこういう日も取るべきだろう。


「よいしょっと。おやすみ、フィー」

(おやすみなさい、マスター)


 俺は、布団に潜り込みフィーの召喚を解除して魔石の中に戻す。フィーの魔石は、俺の中に収納されているのである意味添い寝しているとも言え無くもない。本当は召喚したまま添い寝してもらいたいけど、フィーは小さいので寝ている間に潰してしまいそうで出来ないんだよなぁ。


(もう少し、フィーが大きければなぁ……)


 そう思いながら、俺は眠りについた。



 深夜、いきなり胸の中が熱くなった。え、なんだ? と思っているうちに、胸の中から膨れ上がる魔力を感じる。自分の魔力の中に収納している魔石にひびが入り砕け、魔力の塊に変換されていくのを感じた。


(ぐっ!!いけない、とにかく外に出さないと……)


 壊れ始めた魔石を腕から出すと、魔石が緑色の光を淡く纏いながら光砕けていく。完全に魔石が砕ける瞬間、ゆるやかな風とまばゆい光が放たれ俺の視界を奪った。


「うわっ!!」


 光が収まり目を開けると俺の隣には、可愛い幼女が寝ていた。



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