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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
EX 終末世界の軍団達
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召喚の力

 無造作にスモールワールドに向かってアルティを一閃する。それだけでスモールワールドの片腕が消滅した。しかし、スモールワールドの体内の恒星が一つ消えると、スモールワールドの体が即座に復元された。


「なるほど。自身の体内にある魔力で出来たものを消費して肉体を復元できるのか」

「奴の体内には、数えるのも面倒なほどの数の星が存在しています、マスター。テンポよく行きましょう」

「ああ」


 アルティとサリスを俺は振るい続ける。斬撃が飛ぶたびにスモールワールドの体の一部が弾け飛んで再生が行われていった。その間にもスモールワールドは、俺達に反撃しようと魔力を展開して周囲の空間をねじろうとする。しかし、それは俺達に届くことがない。ミルクが操作権を奪って俺達に当たらなくしているからだ。だが、奴からすれば俺達が微妙に避けて躱したように見えるくらいの絶妙な位置になっているので、もう少し気づくことはないだろう。


「……ちっ!!ロギル!!」

「……」

「何をボーっとしとるんじゃ!!彼奴等に任せっきりでいいのか!!ここは、お前たちの縄張りであろう!!」

「……そう、ですね」

「そうじゃ。分かっておるな?生半可な攻撃では、あれにはダメージが通らん」

「はい」

「ならば分かるな。命を賭けよ」

「……」


 ロギルが一歩踏み出してこちらを見てきた。何か奥の手でもあるのだろうか?


「ご主人様、マジでやるの~?」

「悪いなソフィー。先生。お付き合い頂けますか?」

「ええ、良いですよ。サブノックさんにもお手伝いいただきましょう」

「呼べるんですか?」

「ええ。ここに来た時から連絡を入れてましたので」

「うむ。存分に力を振るわれよ」


 ロギルの周囲に女の子と魔物が二人出現した。一人は、頭が複数ある仮面の男か女。一人はライオン頭の紳士だった。いや、あの女の子も魔物か。


「……行きましょう、レヴィアさん」

「うむ。この街のサモナーたるお主の実力、あの異界の化け物共に見せてやれ」

「はい」


 その瞬間、ロギルの周囲に居た4人の魔物が消えてロギルの体が光り始めた。


「ここに究極を綴る。体は大海原を支配するほどに強く、羽は大空を切り裂き宇宙をも自在に飛行する。足は堅牢で大地を永遠にかけても傷一つつくことがない。大地を統べ、海原を統べ、大空を統べる。ここに究極の生命体を召喚する」


 ロギルの体の周囲に何かが出てき始めた。あれは、何かの魔物の体の一部か? それが折り重なって一つの魔物となっていく。なるほど。あれがロギルの到達した召喚の極地。いや、部分召喚の極地か。魔物の持つ個性を一部づつ部分的に召喚することで擬似的に別の魔物を作り上げるのか。まるで融合、いや、俺達で言うと一体化かな。


「これこそがこの街のサモナーである俺の切り札。バルフートドラゴンだ」


 ロギルの肉体が黒い装甲をした龍の肉体で覆われた。どうやらあの龍の制御権はロギルにあるらしい。しかし無理やりな融合だな。ほとんど神業に近い。ロギルは只者ではなかったようだ。


「さて、私達もやるわよ」

「またあれか?」

「勿論でしょ」


 そう言ってリオーシュが弾丸を一発ずつ仲間たちに投げ渡す。それを仲間たちは握ると、それぞれの魔力を込めてリオーシュに投げ返した。


「はい、最後にロギル」


 リオーシュの投げた弾丸をロギルは、しっぽで掴んで投げ返す。それをキャッチするとリオーシュは、自身の出した虹色の弾丸と全ての弾丸を銃に装填した。そして指を添えてシリンダーを回転させる。すると、回転に合わせて弾丸の魔力が融合していき一発の弾丸となった。


「さて、我らがレギオンの力、今ここに見せましょう」


 リオーシュが天空に向かって銃を構える。


「全ての平和を乱すものに永遠の死を下せ。降臨せよ、ラグナレク・ブレイカードラゴン!!!!」


 トリガーを引いてリオーシュが銃弾を放つ。すると空中に白く輝く白銀の龍が出現した。


「それじゃあロギル、合わせていくわよ」

「ああ!!」

「よし、撃てええええええええええええええ!!!!」


 バルフートドラゴンとラグナレク・ブレイカードラゴンが口からそれぞれ黒と白の熱線を放つ。その熱線が空中で混じり合い、透明な魔力の塊となった。それが迷いなくスモールワールド目掛けて飛んでいく。それが激突すると、スモールワールドが爆発して消えると同時に再生した。そしてその肉体に存在していたいくつもの星が同時に消えてなくなる。


「ひゅ~~、結構な威力ですね」

「ああ、どうやら威力だけなら創世に届きそうなほどあるらしい。普通の人でもここまでやれるんだな」

「私達も負けていられませんね、マスター」

「ああ。無敵と破壊。相反する力を持って今ここに一振りの剣を成す」


 アルティとサリスが光りに包まれて融合する。そして、一振りの剣となった。


「幻想魔晶剣アリスティルサ」

「さらに!!」

「召喚、アルテリオン!!!!」


 俺達の頭上に、巨大な一隻の宇宙船が出現する。アルテリオンの体が光を放つと、その光がアリスティルサ目掛けて伸びてきた。


「世界の全てを見通す船の力を今、幻想に至りし剣に重ね合わせる!!」

「「二段融合進化!!!!」」

「幻想を超えし無幻の剣。無幻魔晶剣アリスティルサ・ジェネシス!!」


 アルテリオンの船体が光に溶けてアリスティルサの刀身に融合する。刀身の刃が大きくなり、全体に魔力で出来た結晶が現れた。


「スモールワールド、お前の全てを解析した」

「準備OKです、マスター」


 進化したアリスティルサを構える。その刀身は、光の煙を纏って輝いていた。もう既にこの刀身には、スモールワールドを消し去るほどの魔力が蓄えられている。


「……じゃあな」


 俺は、アリスティルサをスモールワールド目掛けて一閃した。見えない斬撃が、時の流れさえ無視してスモールワールドに直撃する。そしてその内側からスモールワールドの全てを破壊し始めた。


「お前、遅かったな」


 融合を解除してアルティ達を内に戻す。その瞬間には、スモールワールドの姿は跡形もなく消えていた。


「……化け物共が」


 ロギル達の方から、あの小さな少女がそう呟いた声が聞こえた。



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