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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
EX 終末世界の軍団達
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アルフェルトファミリー

「ちっ!!何がどうなってるんだ!!あいつは死んだのか!?」

「……いや」


 僅かだがさっきの男と同じ魔力の波長を魔物の中から感じる。どうやら吸収されたようだ。いや、違うか。この場合は、保護とでも言うべきかもしれない。奴の体の内に匿われたんだ。


「となると、まずいな」

「何がだ、ベイさん!!」


 あの魔物は、あの男を助けようとしている。あいつを生み出したのがあの男だからだろうか? しかし、それは問題ではない。問題は、世界滅亡願望のあるあの男の味方をこいつがしているということ。つまり。


「あの魔獣は、この世界を壊すつもりだ」

「……そうか。なら話が早い!!!!」


 ノーマンが空中で剣を振って斬撃を飛ばす。しかし、その斬撃は空間に生じた何かの歪みによって捻じ曲げられて消えた。


「なんだと!?」

「……あんな奴が生み出したにしては、反則的な強さの魔獣じゃないか」

「……」


 うん? 今、何かを喋ろうとしたのか? そんな動きを魔物がしたように見えた。それと同時に、部屋中のありとあらゆる場所に黄色のリングが出現する。


「また何かを呼び出すつもりだ!!」

「全員全力で魔獣を狙い撃て!!!!」


 リオーシュがそう叫ぶ。するとロギルは、腕を光らせて龍の頭を出現させた。レドリアは、上半身を筋肉で巨大化させて床を素手で一部破壊して持ち上げる。レシアは、腕を突き出して空中に20発の光弾を作り出した。アマナは、眩い閃光を放つ大きな緑の炎の矢を出現させる。そしてリオーシュは、銃を構えた。


「放て!!!!」


 リオーシュの声に合わせて全員が魔物に対して攻撃を放つ。ロギルの出した龍の頭からは、強力な熱線が。ノーマンは斬撃を飛ばし、他の者達はそれぞれが用意していた飛び道具を発射した。それが全て狂いなく魔物に向かって飛んでいく。ただ、またそれらの攻撃の前に空間になにかの歪みが生じ始めた。


「フレア!!フレア!!フレア!!フレア!!フレア!!フレア!!我が前に立つ敵を焼き尽くせ!!!!ソーラードラゴン!!!!」


 リオーシュが、そう言って銃のトリガーを引く。すると、銃の先端からとてつもない熱量を放つ魔力で出来た龍が出現した。


「グオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」


 龍が雄叫びを上げてねじれた空間へと突進していく。ロギル達の放った全ての攻撃がそのねじれた空間にぶち当たると、ねじれが破壊されて攻撃が魔物へと届いた。


「!?」

「……凄い力技だな」


 魔物が圧倒的な熱量の攻撃に包まれる。だが。


「……」

「……効いて無いみたいね」


 魔物は、何事もなく熱量の光の中に立ち尽くしている。そして手を挙げると空間を歪ませて自身の周りにある熱量を破壊した。


「マジかよ」

「ノーマン、驚く前に構えろ。リングの先から何かが出てくるぞ」


 ロギルがそう言って辺りを見回す。周囲には、小さな黄色のリングが何個も浮いていた。その中からリングの大きさからは想像もできないような巨大な何かが這い出してきているのがわかった。


「こっちも相手にしながらあれを何とかするのかよ!!」

「中々歯ごたえがありそうね」

「……」


 リオーシュは、そう言って笑みを浮かべているが正直に言って分が悪い。そもそもあいつは、空間のねじれをまだ防御に使っているから良いのだが、あれで攻撃されるとリオーシュ達は即死してしまうだろう。しかも、発生直後の兆しも分かってないようだから避けようもないと思う。 ……まずいな。普通に任せてたら全滅コースじゃないか?


「……」

「ベイさん?」


 俺は、今までロギル達の後ろに控えていたが前に出る。そして、腕前にサリスを召喚して掴んだ。


「ふん」


 無造作にサリスを振るう。放たれた斬撃が何個かの黄色いリングに当たるが破壊までには至らなかった。


「あ~~、これはいよいよ手加減してられないかな?」


 狭い空間にリングから這い出して見たこともない魔物がこちらへと来ようとしている。それらをリオーシュ達が撃ち抜いて殺して回っているが速度が追いついていない。次から次にリングが増えて魔物が這い出てこようとしている。なるほど。どうやらこの魔物達は、あの魔物の中の世界から生み出されてきているようだ。あの魔物に名付けるとするのならスモールワールドってところかな。圧縮された小さな世界の集合体だ。そりゃ強いわな。


「どうするリーダー!?」

「……一旦下がるしかなさそうね」

「いや、その必要はない」


 俺は、サリスを構えてそう言う。


「ベイさん、なにか手でもあるっていうの?この状況で?」

「ああ、あるさ」


 もうすでにリングから這い出した何体かの魔物がジリジリとこちらへと近づいてきている。それを見て俺は、自然と笑みを浮かべた。


「この程度、なんてこともない。そうだろ、皆」

「はい!!」

「ええ」

「勿論そうですね。ご主人様」


 その声が聞こえた瞬間、一瞬にして目の前の景色が変わった。周囲に広がっていた黄色のリングは、出てきていた魔物ごと全て破壊されて消えている。そしてこの施設を覆っていた天井も壁も山さえも消えて周囲は開け放たれた広い外の空間になっていた。


「ふぅ~、さて出番ですかね」

「聞かせてやろう、私達の風の音を」


 そして、俺の目の前には彼女達が立っている。


「な、何をしたの?」

「何って、周囲ごと周りをぶっ飛ばしただけじゃないですか。まぁ、そこの魔物は、何とか攻撃を防ぎきったみたいですけど」


 ミルクは、そう言ってスモールワールドを指差す。


「ぶっ飛ばしたって、貴方達、誰?」

「ああ、これは申し遅れましたね。というわけで、フィー姉さんからどうぞ!!」

「フィー・アルフェルトです」

「レム・アルフェルト」

「ミルク・アルフェルト」

「ミズキ・アルフェルト」

「カヤ・アルフェルト」

「ミエル」

「シスラっす」

「サエラ」

「シゼル・アルフェルトです」

「シデン・アルフェルトです、こん」

「カザネ・アルフェルト」

「ロロとジャルク・アルフェルトだ~~」

「私の自己紹介取らないで」

「レーチェ・アルフェルトじゃな」

「ローリィ・アルフェルト」

「という訳でして、我らは愉快なアルフェルトファミリー。さてご主人さま、この後どうなさいますか?」

「世界滅亡を実行しようとしている魔物だ。決まってるだろミルク」

「ですよね~~。それじゃあ、まぁ、念入りに潰すとしますかね」

「うん、やろう」

「同情するぞ、異世界の魔物よ」


 レムがそう言って剣を構える。全員まだ鎧を纏っていない。ただこれは、舐めているからじゃなくてこれで単純に十分だからなんだよな。


「おい、私達は出なくて良いのか?もう広くなっただろ?」

「フィー姉さんたちが出てるのに私達まで出たら余剰火力すぎるでしょ。それに面倒だし」

「我慢だな」

「ええ」

「ちっ」

「まぁまぁ。貴方達は、帰ったときに備えて体力を残しておきなさいって」


 ナギ達もどうやら出てきたかったらしい。でもホントにフィー達で十分すぎるからな。今回は、内で待機していてもらおう。



 


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