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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
EX 終末世界の軍団達
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山の中

 そのまま走り続けると途中で光の輪の発生が止まった。諦めたか、もしくは力を温存し始めたか。どちらにしても楽ができてありがたいことは確かだな。


「打ち止めかしら?」

「このまま行くと森に突っ込む。そこに魔獣が隠れているのかもしれない」


 その読みは有り得そうだけど無いんだよな。俺の魔力感知に反応がない。後から出てくるなら別だけどな。


「にしてもどうする?あんな森の中にこの車で突っ込んでいける?」

「木々をなぎ倒して進むしか無いか。アマナ」

「おう、任せろロギるん!!」

「いや、俺がそこはやるから気にしなくていい」

「えっ!?」


 俺は、土魔法で森の中に生えている木々を動かして舗装された道を森のど真ん中に作り上げた。その道を、速度を落とさずに牛を走らせて突っ切っていく。


「……何でも有りね、あの人」

「というか、俺達の話を聞いていたのか?」

「地獄耳ですね」

「窓が開いてるって言っても車内の会話よ。普通聞こえる訳無いでしょ」

「それに今の彼の声、メチャクチャクリアに聞こえませんでしたか?まるですぐそこで喋ってるみたいな」

「……高度な魔法を使っている、ということか」

「……あの人、敵じゃありませんよね?」

「だったらどうする?」

「今すぐぶつかるのは良くない。私は、そう想いますけどね」

「俺もレドの意見に賛成だ。あれは化け物だ。間違いない」

「ノーマンもレドリアも臆病だな。だが、私も賛成するぞ」

「……私達が敵じゃないことを祈るなんて、初めての事態ね」

「サモナーであるはずなのに、キャスターを驚かせる魔法を使い、ブレイダーを恐れさせる剣技を使う。……どんなサモナーだよ」

「サモナー詐欺だな!!ほぼ一人レギオンじゃないか!!」


 なんか褒められてるのか恐れられてるのかよく分からん会話だな。でも、ここまでにならないと俺って生き残れなくなかったか? これだけ強くて更に皆が居てやっと世界を救えたっていうか。そう考えると、俺ってかなり理不尽な状況で戦い抜いてきたんだな。凄いぞ俺。そして皆。いや、俺達と戦った相手は、俺達のほうが理不尽に強いとか思ってそうだけどな。実際。


「おっ、目的地が見えてきたか」


 森を抜けていくと少し小高い山があってその頂上近辺に俺達は辿り着いた。気配のあった位置近くで俺は、牛を消して飛び降りる。そして何事もなく地面に着地した。


「着いたのかしら?」

「洞窟らしきものが見えますね」


 俺は、ロギル達の乗っている車が停車するのを見届けると後ろの洞窟内を指差した。


「そこが目的地ってわけ」

「どうする?本当にあいつを信じるのか?」

「罠だと全滅するかもしれませんね。いかに私達でも」

「……俺は行くしか無いと思うが、どうするリーダー?」

「……行きましょう」


 ロギル達が車から降りて俺の目の前に並ぶ。俺は、その先頭に立って洞窟の中を目指して進み始めた。


「明かりはどうする?」

「任せろ」


 魔法で宙に浮く光の玉を作り上げる。うん、まるで室内のようによく見えるな。完璧だ。


「……万能すぎるだろ」

「これぐらいなら私でも出来そうですね」

「……明かりを担当させたうえで先頭まで任せるなんてちょっと問題よね。ノーマン、レドリア。先頭を変わってあげてくれる?」

「……おう」

「お任せください。ベイさんは、明かりの扱いに集中してください」

「ああ、これはどうも」


 これぐらい呼吸をするぐらい簡単に出来るんだが、まぁ、ご厚意に甘えるとするか。


「……おい、怪しげな道があるぞ」

「山の洞窟の中に人工物の階段がある、ですか」

「明らかに怪しいわね」

「よし、行くぞ」

「ええ」


 ノーマンとレドリアがゆっくりとした歩調で階段を降りていく。慎重派だな、二人共。俺の魔力感知に反応はないが、慎重なのはいいことだ。このまま進んでいこう。晩御飯までには、まだ時間があるし。


「ここから明らかに材質が違うな」

「人の手で作り上げられた秘密基地で間違いなさそうですね」

「ああ。そして、あれがその入口か」


 ノーマンとレドリアが鉄で出来たと思わしき扉の前に移動する。そして周囲を探るが、その扉には、取っ手の様な物がない。入り口というよりも、壁その物のようにその入口は見えた。


「どうします?」

「……ちょっと下がっててくれ。ノックしてみよう」


 レドリアがノーマンのその言葉で下がる。するとノーマンは、壁目掛けて自身の腕を振り抜いた。


「よっと」


 素早く腕を動かすとノーマン自身も後ろへと下がる。その瞬間、鉄の壁が切りつけられた形に沿って滑り出し崩れた。


「これで玄関突破と」

「手荒いノックですね」


 壁の向こうには、緩やかに下に降りる階段があった。その道を、俺達は慎重に進んでいく。 ……もうちょっと早く進んでも良いんだよ、お二人さん。


「何もないな」

「そうですね」

「この先に何か居ますね」

「それは本当か、ベイさん?」

「ええ、ノーマンさん。もうちょっとしたら見えてきますよ」


  俺が先を指差すと、ちょうど明かりに照らされてその空間が見えてきた。


「……また壁かよ」

「ノーマン先生、ノックをお願いします」

「うむ」


 レドリアに言われてノーマンは、また壁を叩き切る。見事な手際だ。だが今度は、壁はずり落ちきることなく向こう側から弾き飛ばされてこちらに飛んできた。


「伏せろ!!!!」


 ノーマンとレドリアが飛んできた鉄片を拳で殴って周囲に弾き飛ばす。俺達は、伏せなかったが怪我した者はゼロだった。


「出てきやがったな!!」


 壁の向こうに、根をしならせてそれは俺達を待ち構えていた。それは、多くの魔物を生えた根で絡め取ってその血を啜っている。そして中央にある牙の生えた花弁でぐったりとした魔物を飲み込むと咀嚼し始めた。


「食虫、いや、食獣植物ってとこか」

「悪趣味な光景ね」

「さっさと切り飛ばすぞ!!!!」


 ノーマンが手を振ると、その手に魔力で出来た剣が出現する。その剣を構えてノーマンは、加速してジャンプすると中央にある花弁を切り裂いた。


「どうよ!!」

「あの~、ノーマンさん」

「どうした、ベイさん?」

「こういう場合、根元を切ったほうが良いと思いますよ」

「なんでだ?」

「その植物の生命魔力が集中してるのが下ですからね」

「というと?」

「本体は、地中ですよ」


 俺がそう言うと、先程切られた花弁がすぐに再生してノーマンの方を向いた。


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