学校
女生徒達を寮へと送り届けると、俺達はフォーザピオーゼとか言う学校に来ていた。へ~~、大きな学校だなぁ。
「おい先生方、そちらの人は誰だ?」
校門に居た警備のおじいさんが声をかけてくる。仕事熱心な人のようだ。
「どうやら俺達と同じ職業の方らしいです」
「……そうか。入門のサインをお願いします。後、これ入門許可証。無くさないように」
「ああ、これはどうも」
俺は、サインをして許可証を受け取った。そして許可証に付いている紐を使い首から下げておく。
「見ない名前だな」
「そうですか?」
おじいさんが首を傾げていたが、俺は適当に流しておいた。
「こっちです」
ロギルの案内で俺は学校内を進んでいく。すると一人の女性がかけてきた。
「ロギル先生、アマナちゃんが探してましたよ!!」
「ミシェル先生」
走ってきた女性教師を、ロギルはそう呼んだ。
「もうロギル先生、ミシェルって呼び捨てでいいですってば。もう放課後ですよ」
「いや、今は立場があるじゃないか。それに学校内だし」
「それはそうと、アマナちゃんが探してました。相談室に居ますよ」
「そうか。そうだ、校長室に来るよう言ってくれないか。今からアマナも呼ぼうと思っていたんだ」
「……アマナちゃんは、呼び捨てなんですね」
「いや、あいつは事務員だから」
「……分かりました。言っておきます」
「頼んだよ」
「はい」
ミシェルと呼ばれた女性が去っていくと俺達は再び歩き始めた。そして校長室と書いてある部屋につくと、その扉の前で俺は待たされることになった。
「はぁ~~、長くならないといいな」
「うん、誰だお前?」
校長室の前で待たされていると、一人の白髪の少女らしき人物が俺の方に近づいてきた。
「ロギルさんに待たされているんだ。君は?」
「私はロギるんに呼ばれて来たんだ。中にいるのか?」
「ああ、居るよ」
「そうか」
そう言うと校長室のドアをノックして少女は中に入っていった。今のがアマナとかいう女性だろうか。
「おや、見知らぬ方が居ますね」
「えっと、どちら様ですか?」
スーツを着た優しい雰囲気の男性に話しかけられた。イケメンだな。
「これは失礼。私は、レドリア・テークルスと申します。校長に御用ですか?」
「いえ、ロギル先生に待っていてくれと言われてここに居ます」
「そうですか。では、暫くお待ち下さい」
そう言うとレドリアも校長室へと入っていった。先に中に女性が二人いたよな。これで6人が校長室にいることになるのか。どう考えても今校長室にいる連中は重要人物だろうな。じゃないとずかずかと校長室に入っていかないと思う。
「お待たせしました、どうぞ中へ」
「あっ、はい」
そう考えているとロギルが扉を開けて出てきた。その誘いに乗って俺は校長室へと入っていく。
「どうも初めまして。別部署のサモナーさん」
そう言って赤い髪の少女が俺を見つめてきた。一人座っているところを見ると彼女が校長かな?
「初めまして、ベイ・アルフェルトと言います」
「リオーシュ・エレメリオ。ここの校長とガンナーを担当しています」
そう言って彼女は、俺目掛けて銃を抜いた。それを、黙って俺は見ている。
「……動じないんですね」
「いい銃ですね」
「……」
リオーシュは、黙って銃をしまった。
「ところで部署はどちらなんですか?」
「この国の外ですね」
本当は異世界だけどね。
「この国の外?それって本当に?」
「どうしたリーダー?」
「国の外に配属される人ってその、チームで唯一生き残った人とかがそうなるって聞いたことが」
神妙な顔をしてリオーシュは、押し黙っている。何か変なことを言ってしまっただろうか?
「優秀な方なんですね」
「いえ、俺はそうでもないですよ。仲間のほうが俺よりも優秀です」
レムとかミルクとかくっそ強いからな。まだまだ俺は、稽古をつけられる側の人間だ。
「そう、ですか」
「苦労なされたのですね」
「……ええ、まぁ」
妻に付き合って宇宙を巡ってたからな。それは大変な苦労だったよ。ベイアリーを救った時のほうが大変だったけどな。おっと、思わず重い溜息が口から出てしまった。長年の苦労がにじむな。
「これは、本物っぽいぞ」
「アマナ、どうだ?」
「読めんぞロギるん。だが、本物っぽい」
このアマナって子も心を読もうとしてくるな。俺には無駄だけど。
「そう言えば、かなりお若いですね」
「年齢よりお若いですねってよく言われます」
もう2200歳は歳を重ねたことになる。あまり人には言いたくない年齢だ。それで外見は変化してないからやばいよね。魔力で出来た肉体。
「分かりました。それでは、ここに来た事情の詳細な説明をしていただいてもいいですか?」
「はい。と言ってもそんなに話せることはありません。奇妙な魔獣が出現したので追ってきたらここにたどり着きました」
「その魔獣の特徴は?」
「周囲にあったものを転移魔法で運んでいました。そして転移魔法で移動して消えた。これは野放しにしておけないと思い、それで追ってきたわけです」
「転移魔法を使う魔獣」
「それが本当なら、この街で起きている事件と関係があるのではないですか?」
おっとりしたタイプの女性がそう言う。
「俺もこの街で起きている現象を見ましたが奴の転移とは現象が別物でした。関係が確実にあるとは今は言えないと思います」
魔力の波長も違ったし、あれを使ってるのは別人だと思うな。
「そうですか。では、今はその魔獣を探しているというわけですね」
「はい」
「どうやって探すんですか?」
「えっ、分かりませんか?こう、魔力を使っている場所とか」
「うん?」
リオーシュは、俺に向かって首を傾げた。どうやら分からないらしい。
「アマナ、分かる?」
「見る場所が分からないと使ってるかなんて分からないぞ」
「ああ、そうなんですか。どうしよう。そうだ、一緒に行かれますか。その場所に」
俺は、そう提案することにした。
「つまり魔獣の潜伏先を割り出すことが可能なんですね?」
「はい」
「どうするリーダー?」
「そんなこと出来るんですか!?大発見ですよ!!是非とも教えて頂きたい!!!!」
おっとりした女性が興奮してそういう。どうなんだろ。異世界に技術伝承をしてもいいんだろうか?
「……分かりました、行きましょう」
「はい」
「我々6人全員でね」
そうリオーシュが言うと、その場にいた俺以外の5人が姿勢を正した。




