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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
最終章・最終部 召喚魔法で異世界踏破
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宇宙の迷宮

「それは、なんでまた宇宙なんかに?」

「簡単に言うとだけど、宇宙にも迷宮があるのよ」

「うん」

「それを全て管理下に置くためね」

「うん?迷宮を管理下に置く?」

「そう。迷宮って創世級を生み出しかねないポテンシャルを、それぞれが持ってるっていう研究結果があってね。それで生まれた創世級を放置して、幻想に達されても困るから管理下に置こうって、まぁ、そう思ったわけ」


 それで宇宙旅行なんてしてるわけか。


「でもそれって、途方も無い時間がかかるんじゃないの?」

「そうでもないわよ。事実、もう殆どの宇宙中の迷宮は管理下にあるし、残してるのも成長が遅いやつだけだから」

「えっ、速いね」

「ベイ、私達、魔法で何でも出来るのよ。宇宙中の迷宮がどこにあろうとひとっ飛びなんだから。あまり移動時間にロスがないのよね」

「ああ、なるほど。そういう魔法を使ったわけだ」

「でも流石に数が多くてね。今の今までかかったけど、もうベイ達が迷宮自体は全部攻略してくれたから、あとはデータを元に抑えるだけね」

「なるほど」


 宇宙中って、俺達めちゃくちゃ頑張ってるなぁ、2000年後。


「あっ、それで何だけど、そっちにリストを転送するわね。今後戦う主な奴のリスト」

「ああ、助かるよ」


 お、いいね。未来の知識ってやつだ。こういうのがあると助かるよな。そう思っていると、俺の目の前の空間が光って一冊のノートが出現した。俺は、それを手にとって開く。


「時間の中に住むクロウロス、惑星を取り込んだリ・アルヴァ、紫電の機神ラヴィア」


 おい、最初の3ページの時点で強そうな奴しか居ないんですが、これがノート一冊分ぐらいいるの? まじかよ。


「ああ、あまり気にしないでいいと思うわよ。たいして強くないから」

「いやいやいや、滅茶苦茶強そうなんだけど。特にこのリヴァイブって奴やばくない?絶対倒せないとか書いてあるんだけど」

「存在自体消したから、それももう意味のない情報なのよね」

「何したの!?こいつに何をしたの!?」

「そこは攻略法も書いてあるから、後で読み込んでね。説明は左下の備考欄にあるから」

「無限に再生して強くなり続けるからうざくなったのであいつの存在全てを対消滅する魔法を作ってぶつけた。周囲の宇宙の地形がかなり変わったが仕方ないだろう……。治せるから問題なし」

「まぁ、そういう奴がまだいるってことよ」

「……宇宙、滅茶苦茶危険じゃん」


 これは、宇宙の迷宮を残らず管理下に置かないとまずいと思うわけだ。危険すぎる。


「ベイがいる内にある程度やっとかないと人類とかすぐ消滅しちゃうでしょうから、まぁ、これで何度世界救ったのかって感じなんだけど。その為の旅もこれでやっと一段落ね」

「……お疲れ様」

「一番頑張ったの、ベイだけどね」

「未来の俺に言っといてくれ」

「ああ、大丈夫。そこにいるから。聞いてるわよ」

「うわ、なんだか恥ずかしい」

「こっちのベイもそうみたいだからあまり喋りたくないみたい。自分と喋るのって恥ずかしいかしら?私はそうは思わないけど。常に今は2人だし」

「アリーはそうかもだけど、俺は違うんだよ。成長した自分とか想像つかないし、過去の自分とかなんか生暖かい目でしか見れなさそうだから」

「そう、それだ。さすが俺。分かってる」


 やはり俺だな。あと、同じ時間に同じ人物がいるっていうのを認識したくないって気持ちがある。アリーは、その結果最終的に合体して一人になったからな。俺はそうなりたくない。だから俺もそう思ってるからあまり接触しようとしてこないんだろう。というか、声全く同じじゃないか? 俺も年をとってない感じだろうか?


「ところで、そういえばそっちはフブキが仲間になった頃かしら?」

「うん?ああ、そうだよ」

「今回のベイが戦った種族代理戦争の件だけど、実は、ちょっと前までベイアリーは王政だったのよ」

「サイフェルムみたいに?」

「そう。召喚王が国をまとめ上げる国家ね」

「……」

「もうやめちゃったけど。以降は、種族ごとの代表に丸投げして来ちゃったのよね。宇宙を放置するとまずいから」

「確かに、あれはまずいね。でも、王て。召喚王て」

「だって、ベイはなんでも魔法で出来るのよ。そこで試しにベイに王を任せてみたらあら不思議。事故死者年間0人。未解決犯罪事件0件。バリアフリーが必要な老人0人と、理想的すぎる国が出来上がって」

「待て待て待って。ちょっと理解が追いつかない。魔法で俺、そこまでするの?」

「そう。老人介護の必要がない社会っていいよね。すきに年長者も出歩きたいよね。とか言って、痴呆症も直して、身体の不調も全て直して。介護職は消えたのよね」

「なんだそれ。やりたい放題すぎるだろ」

「乗り物の事故死者件数も0人になったわ。こっちは私がやったけど」

「アリーちゃん、ベイくんに相談されて、3日で事故死防止の魔法システム組んでたよね」

「ベイに言われたんじゃあ、やるしか無いわね」


 アリーさん、やっぱすげぇですよ貴方。魔法がない世界だったら感謝されまくる画期的なシステムじゃん。


「ま、そんな理想国家が続き、テレビのニュース番組でも猫が5匹生まれたとか。新しいデザインの乗り物が話題とか、ほのぼの系のニュースしか出さなくなってた訳なんだけど。宇宙ヤバイから離れざる負えなかったわけ」

「そうだね」

「それで種族ごとで話し合って頑張ってねって言ったらこれよ。まぁ、今まで一人が完璧な仕事をしてたから、他の種族の働きが劣って見えちゃったんでしょうね。それで争いに発展したと」

「はぁ、なるほど」


 それって、つまり俺のせいでは? いや、違うよな。そうだと思いたい。


「まったく。ま、今回のことであの子達もまた仲良くするでしょう。ベイに怒られたんだから」

「……だといいな」

「あ、それでなんだけ。他にもそっちの時代で仲間になりたがってる子がいるから、今のうちに仲間にしてきたらいいんじゃないかしら?」

「えっ?」

「最終的に魔法研究をして過去に飛んでくるのよね。それなら、そっちで拾ったほうが早いかなって」

「そうなんだ」

「ま、一歩通行だから成功したかは、やってきた本人たちしか知らないんだけどね」

「命がけの移動だったわけだね」

「そういうこと」

「危なそうだし、止めてくるよ」

「それがいいわ」


 そういえば、俺からも聞きたいことがあるな。


「なぁ、アリー」

「なに、ベイ?」

「俺達のさ、子供達はどうなったんだ?」

「……」


 俺がそう言うと、アリーは眉間を押さえて黙り込んだ。



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