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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
最終章・最終部 召喚魔法で異世界踏破
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注目の商会

「ほら、アイル。パパですよ。パパが来ましたよ」

「パパ~!!」


 俺は、ライアさんが抱いてる子に手を振る。あの子も俺の子だ。俺とライアさんの子。あの日、レーチェが酔いつぶれているライアさんを、自分の前に寝室に入れた。そのあと、なんやかんやあってライアさんは俺の子を出産した。子供を抱くライアさんは、始めこそ悩んでいたものの今は幸せそうだ。良かった。


「アリーさん、人探しをしに商人もどきが来ましたよ」

「ああ、この前のあの子のことね」

「ええ。どうします?」

「どうもしないわよ。ここと外は違うんだから」

「まぁ、そうですね。今のこのアルフェルト家相手では、国も貴族も関係ありませんか」

「そう、そういうこと」


 なんというか、改築を繰り返してまるで迷宮のように我が家はなってしまった。広大な土地での野菜づくりがしたいが土地がない。そうだ、空間を圧縮して家の敷地内に土地を増やそう。その結果がこれである。アリーさんの神にも匹敵する才能の賜物である。俺達が一体化して創造魔法すれば一瞬なのだが、それ無しでやってのけるのだからアリーは素晴らしい。しかも、防犯機能が色々ついている。例えば、侵入者があの外の壁に触れると二回目には神魔級迷宮に飛んでいく。うん、死ぬね。しかも場合によっては、水の中とか、マグマの中とかにも飛ぶ。ランダムテレポートだ。壁の中にいるもまじであり得る。恐ろしい防犯設備だ。


「まるで要塞だな」

「まるでじゃないわよ、ローリィ。ここはアルフェルト家。世界で最も魔法が発達している家よ。その研究成果を守るためなら、要塞ぐらいなくっちゃね」

「わしには、迷宮に見えるがの」

「そうね。レーチェの言う通り。迷宮にこのドームは近いわ。でも、それだけじゃない。私達には快適その物のこの空間だけど、外からの客が来る時は違うの。ここに入っていると見せかけて別の場所に知らないうちに転移しているってわけ。応対する私達も魔法で作った質量のある幻影だし、直接私達が危険な目に合うことはない。いわばここは、外界と隔絶された城なのよ。要塞と言っても過言ではないわね」

「なるほどのう」

「ここまでする理由としては」

「やはりクオンですか?」

「そうね。うちの商品の秘密。知りたいやつはうじゃうじゃいるでしょう。でも、それを知るとなればクオンが黙っていない。結局、帰らぬ人になるのよね。なら、外の壁で寄り付かないようにしてあげるのがせめてもの優しさでしょう」

「私のことで皆さんに迷惑がかかるでしょうから、噂の元ごとその時は」

「という感じだから、これぐらいであるべきなのよ」


 その言葉に、ローリィは納得したように頷いた。


「パパ、外の人たちが悪いことするの?」

「うん、そうだなぁ~。そういう人も、いるかも知れないなぁ~」

「じゃあ、やっつけちゃおうよ。皆で」

「ベリア、私達には知能がある。だから自衛することも、攻撃することも出来る。だからこそ、私達はなるべく自衛で済まさなければいけないの。なぜだか分かる?」

「なんで?」

「悪いことをしてからじゃないと、悪い人じゃないからよ。それをする前に襲うのは、単なる暴力だわ。良くないわね」

「そっか~」

「そう。それにはっきり言ってうちの戦力だと星が消し飛ぶから、暴力にはしるのは良くないわ。穏便に行きましょう。穏便に」


 神魔級迷宮に転移させるのが穏便なんだろうか。違う気がする。でも、ある程度過激でないとこの世界の防犯って意味ない気もするなぁ。魔法使いがいるからね。やろうと思えば普通の家のドアぐらい簡単に吹き飛ばせるだろう。そう考えると、このぐらいでも対応としてはありかもしれない。下手に戻ってこれそうな難易度のテレポートトラップのほうがかえって危険かもしれないし。


「あ、あと普通にうちが商業活動するようになってサイフェルムのこの都市に移民してきてる人増えてるから。うちって都市の端のほうじゃない。一応、街道沿いだけど正直にいってうちの反対側のほうが道も整備されてて歩きやすいし、他の国に行くにしても都合がいい。だというのに、ここ最近この道を通る人が一日あたり多くなっている。しかも大体同じ人」

「監視されてますね」

「そうね。出入りを見ているんでしょう。で、そこからうちの内部情報や、製品情報を知ろうとしていると」

「どこにでも居るもんですね、そういう人たち。まぁ、アルフェルト商会は急成長した商会ですし。これからも伸びるのが当たり前のように分かりますから仕方ありませんが」

「そうだとしても、いい気はしないってわけ。というか、ここ家だし。商会の本拠地でもあるけど実家だし。見られていい気分なわけないじゃない。常識で考えてほしいわね」

「それでお金もらってる人たちでしょうし、常識とか考えてないでしょう。実際」

「はっきり言って半殺しぐらいにして二度と近寄りがたくしてやりたいけど、やっぱりそれじゃ駄目なのよ。モラルが無い。うちは健全で社会貢献抜群の素晴らしく国に貢献している商会なんだから、暴力イメージがつくのは良くない。まぁ、いざとなったらそれも気にしないわけだけど、相手も遠巻きに見てるだけだし、まぁ、最悪それは許そうって感じ。家の中結界で見えないし」

「だが、強制侵入をしようとした時、この家の防犯設備が許すかな?と言った感じですかね」

「そういうこと。ま、現時点でうちは狙われているってわけ。皆も気をつけるように」

「「「「は~い」」」」


 子供たちが全員手を挙げる。理解力の高い子達で助かるよ。理解してるよな、たぶん。


「取り敢えず、ご飯にしましょう」

「そうだね。いただきます」

「「「「頂きます!!」」」」


 家族が増えてからより食卓が賑やかになった。美味しそうにご飯を食べている皆を見ていると心が安らぐ。そんな中で、アリーのみ渋い顔をしていた。


「ママ、どうしたの?美味しくない?」

「えっ、美味しいわよ、ベリア。そうね。ベイ、あとで研究室に来てくれる。ちょっと話したいことがあるから」

「分かった」


 そう言うと、アリーは落ち着いた顔でご飯を食べ始めた。さっきのアリーの顔。何かとんでもないことを考えていた気がする。俺は、アリーに関しては誰よりも詳しいんだ。外すはずがない。故に、後で何を言われるのかちょっと不安になった。



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