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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
最終章・最終部 召喚魔法で異世界踏破
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人口増加

 時間が過ぎるのも早いもので、あっという間に夜になった。結婚式も滞りなく終わり、転移魔法でそれぞれの家族も自宅へと送り届けた。


「あれ、ライアさんは?」

「おばさんは、酔って寝ちゃったから、うちで預かるね」

「そう。じゃあ、ヒイラに任せるわ。ライアさんを宜しくね」

「うん!!」


 そう満面の笑みで答えるヒイラをよそに、アリーだけニヤッとした顔をしていたのだけが印象的だった。それからうちに帰って風呂へと入る。今日は一人風呂だ。広い我が家の風呂が、より広く感じる。そして俺が上がると、嫁たちが入れ替わって風呂へと意気込んで入っていった。


「……」


 俺は、一人で寂しく寝室へと向かう。あと、なんだか無茶苦茶緊張してきた。


「……全員、準備はいいわね」

「「「「おう!!!!」」」」


 寝室前の廊下に、わざわざ椅子を並べてそこにアリー達は全員で座っている。そして、アリーがゆっくりと立ち上がった。


「戦いが始まるわよ」

「……この時を、待っていました」

「ゴクリ」

「どうしよう。創世級迷宮行ったときより緊張する」

「落ち着きましょう。平常心でいけば大丈夫です。よくよく考えれば、いつもと変わらないではないですか」

「そうっすけどねぇ。こればかりは」

「再確認するけど、私が一番最初でいいのよね?」

「「「「どうぞ、どうぞ」」」」


 その皆の言葉に、アリーは手をかざす。


「「私、全力で戦ってくるわ」」


 すると、アリーの身体が2つにぶれて別れた。片方は大人のアリー。もう一方は、今のアリーであった。


「魔力的に融合してらしたんですね」

「元から私だしね。一人でいたほうがベイを独占する効率もいいし、合体してたのよ」

「でも、今回は一人だと分が悪いから。2人で行くわ」

「あれ、一人ずつのほうがいいからと言ったのは、アリーさんでは?」

「いや、こっちも私だし、一人じゃない」

「一人よ」

「ずるくないですか?」

「一番なのよ。許して」

「……許します」

「許す」

「頑張ってね、アリーちゃん!!」

「ええ、行ってきます」


 そう言うと、アリーは寝室へと入っていった。数分後、寝室内からノックする音が聞こえる。


「じゅ、十五分!?」

「アリーさん2人が、十五分ですと!?」

「しかも、二人共出てこない!!」

「これは、ノックアウト負け濃厚ですね!!」

「……」


 その最中、ゆっくりとフィーは立ち上がる。


「姉さん」

「フィー姉さん」


 皆の声に、サムズアップして笑顔を浮かべるフィー。そして、ゆっくりと寝室へと入って行った。数分後。


「十分」

「フィー姉さんが、十分でノックアウトだと……」

「いや、頑張ったほうなのでは?」

「……」


 廊下に沈黙が流れる。そして、レムが立ち上がった。


「……全力で戦うのみだ。皆、私は先に行く!!あとは、頼んだぞ!!!!」

「レム」

「死ぬなよ」

「いや、死にはしないでしょ。テンションはそんな感じ出てるけど」

「いざ、参る!!!!」


 そう言って意気揚々とレムが寝室に入ってからノックの音が聞こえたのは、八分後のことだった。


「……落ちたな」

「レムでこれなのか」

「ミルクさん、貴方なら」

「いえ、私はもっと早いですよ。この時を待っていましたからね。最初から全力で行きます」


 勢いよく、ミルクは椅子から降りた。


「少しは勢いを削る気で行ってきますよ」

「ああ、頼んだぞ」

「気楽にね~」


 ゆっくりと寝室の扉が閉まる。そして、七分後に扉がノックされた。


「……」

「早くなってる。完全に早くなってきている」

「早いって言うと違う感じに聞こえるけど、これってあれだよね。ミルク達が意識なくなったってことでしょ?」

「そうだ。間違いなくそうだ」

「……」

「それでいて休みなくノックが帰ってくる。そういうことだ」

「……」

「予想通りの展開だ」


 ミズキが立ち上がる。


「……行ってくる」

「武運を」

「幸運を」

「ああ、分身でも何でもしてやるさ。食らいついてくる」


 そんなミズキが寝室に入ってからノックが帰ってきたのは、七分後であった。


「……」

「もうさぁ、皆で行かない?」

「でも、皆に見られるわけだし」

「でもさぁ、これヤバイって。分かるじゃん?」


 カヤが、そう言って立ち上がる。


「逃げるのか?」

「えっ?」

「一人が怖いのか?」

「……上等じゃん。あたしがビビってるって言うんだ」


 そう言って、カヤは寝室のドアを掴む。


「……マジビビッてます」


 そう言って、カヤは寝室に入っていった。


「……」


 ゆっくりと時間が過ぎていく。一人、また一人と廊下の椅子から立ち、人が寝室へと入っては消えていく。最後のレーチェが入ってからその数分後。寝室からベイが一人顔を覗かせると、ゆっくりと再度寝室の扉を締めて廊下から消えた。そして、朝を迎えた。


「こんなに幸せでいいのかなぁ~」


 ベイは、ただ一人寝室から出てくると、誰も出てこない寝室をちら見して朝食を作るべく一階に降りることにした。


「昨晩は、お楽しみでしたね?」

「私達は、慣れない別部屋での眠りだったので、寝れませんでした」

「いや、ずっと聞き耳立ててただけだろ」

「そうとも言う」

「おはよう」


 ベイは、起きてきていたロロ達と朝食を作ることにした。


「ライアさん、大丈夫だった?かなり酔ってたけど」

「ああ、大丈夫だったよ」

「良かった。吐いちゃうかと思った」


 野菜サラダに、ベーコンエッグ。パンも焼いて、スープも作った。それで起きている皆で朝食を済ませる。そして、食べ終わって食器を洗うと、体を伸ばしてベイは欠伸をした。


「よし、じゃあ、寝なおそうかな」

「……寝る」

「お~~!!」

「やっぱ、あそこで寝ないとね、寝た気がしないよ」

「寝てないけどな」

「私は、晴れていれば庭でも良い」

「流石に今の身体では、それが許されるのはお昼までですよ」

「誰も起きていないのは、来客があったときに不都合だろう。私に任せ給え、ベイ・アルフェルト」

「ああ、頼んだ。ローリィ」

「うん」


 そしてこの日から時が経ち、アルフェルト家の人口が増え始めることになる。




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