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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
最終章・最終部 召喚魔法で異世界踏破
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うちの席

「ただいま~」

「おかえりなさい!!」


 アルフェルト家のテーブルは大所帯だ。今日は全員召喚しているし、シリルが分裂してるから人数的に多い。ここにミエル達の家族。つまり天使たちだが、それを呼んでいたらと思うとちょっとした人混みレベルになる。呼ばなくてよかったぜ。彼女たちには悪いが。そもそも、天使にも夫婦という概念はあるが、こういう式とかはあまりしないらしいからな。しかも人里だし。呼んでも来づらかったかも知れない。まぁ、呼んだら呼んだで代表の数名とかが普通に来そうだけど。本当に数名で済むか分からないと言われて却下になったんだよな。迷宮の人口まるごと来られても困るし、仕方ないね。


「年下に惚れて何が悪いんだよ!!惚れるだろうが!!年齢が関係あるのか!!!!」

「そうですよね、おばさん!!」

「……」


 何故かライアさんとヒイラがこっちにいる。俺がヒイラに視線を移すと、ヒイラが自身の家族が居たテーブルを見つめた。俺がそっちを見ると、ヒイラの父が腹を押さえて蹲っている。明らかに誰かに殴られたあとだな。状況から見てライアさんの可能性が高い。だからこっちに連れてきたのか。


「創世級ってね、怖いんだよ!!身の毛がよだつぐらい近くにいるだけで怖いの。それをね、知っているのに戦おうとするのがまず格好いいし。その上、みんなの力を借りたとはいえ、その上の奴まで倒すなんて、本当に格好いい!!惚れる!!ヒイラちゃんが羨ましい!!!!」

「そうですよね、おばさん!!」

「……」


 ちなみにだが、今のライアさん達が座っているテーブルにいる殆どが創世級なんだけど。まぁ、やはり理性がある創世級にもなるとこんなにも近くに居ても気にならなくなるんだなぁと実感している。魔力の制御がはっきり出来ていれば、人間でも創世級の近くに居ても大丈夫なんだよな。ただし、普通の魔物から見たらこの状態でも化物だと思えるようなので、人間の魔力的感性が魔物より鋭くないおかげでもある。


「だから私は好きなんだよ!!好きだけど……。好きなんだよ!!!!」

「はい!!そうですね、おばさん!!!!」


 ライアさん、だいぶ酔ってるなぁ。しかも、まだヒイラがライアさんのグラスが空になるたびにお酒を注いでいる。まだ飲ませる気のようだ。


「じゃあ、いいじゃないですか?」

「……いや、それはちょっと」

「……おばさん、お酒まだありますよ。飲みましょう」

「う、うん。ありがとう」

「いいわね。その調子よヒイラ」


 ぼそっと、アリーがそう言った気がしたが、俺は聞こえないふりをしてテーブルに座った。喉も乾いたし、なにか飲もう。丁度目の前に水がある。それを飲もうと手を伸ばしたのだが、その一瞬で水が牛乳へと変わった。馬鹿な。俺は進化したんだぞ。なのにすり替わる瞬間が見えなかった。有り得ない。転移魔法でも使われたとでも言うのか。


「……」


 おすまし顔でミルクは野菜を食べている。フォークを持った状態でだ。さっきもその動作に怪しげな素振りは無かった。どうやった。どうやってすり替えたんだ。それはそれとして牛乳を飲むことにした。ミルクが創世級になったことで、この牛乳も味が変わっている。一言で言うとその味は、人智を超えていた。これ、飲むたび歓喜に身が震えて叫びたくなる程に美味い。既に牛乳を超越している。飲むたびに覚悟がいるのだけが難点だな。だけど美味いんだよ。最初飲んだ時なんて、その場でミルクの胸に顔突っ込んだくらい美味しかったからね。そのヤバさが分かるかと思います。 ……あ~~、やっぱうめぇ~~。眼の前の料理たちすら霞むぐらいうめぇ~~。これだけで生きていける気がする。でも、流石にそれはヤバイので、ちゃんと料理も食べるよ。ミルクに完全に三大欲求の一つを支配されてしまうことになるからね。しかも、食。


「私に溺れてしまってもいいんですよ、ご主人様?」

「ミルク君。非常に最高の提案だが、既に殆ど飲み物に関しては牛乳しか飲んでいないので今更感があるね」

「つまり」

「ミルク。君の名前が、ミルクで本当に最高だったと今では思う。自分で自分を褒めたいくらいだ」

「私、ご主人様のスペシャルに成れたでしょうか?」

「ああ、最高だよ」


 俺がそう言うと、ミルクは優しく微笑んだ。ありがとう。最初の宣言どおりだ。君は、俺の理想のファンタジーになってくれたよ。ありがとう。


「主、料理です」

「ありがとう、レム」


 レムも気の利く優しい子になったよな。最初は無口というか、喋れなかったけど、今では頼れる剣神さまだ。これからもよろしくお願いします、師匠。


「あたしが食べさせてあげる!!」

「カヤ、テーブルに乗るな」


 カヤとミズキは、訳分からないくらい強くなったな。いや、皆もだけどこの2人の強さは底が想像できない。創世級となった今だと何がどこまで出来るんだろう。それを確かめる機会はなさそうだ。どんな敵が相手でも。


「こっちの料理も美味しいですよ、ベイさん」

「こっちもっすよ」

「こっちの方が、性がつくんじゃないですか?」

「いえ、既にミルクさんのミルクを飲まれましたから。もう、止めようがないかと」


 ミエル達は、最初あった時よりも連携がホント上手くなったよな。今では、合体もできるし。その強さは疑いようがない。最初は皆より実力が劣っていたけど、今では肩を並べるほどだ。ほんと、強くなったよな。


「主人、私のおすすめはこちらです」


 そう言って、カザネが肉料理を持ってきてくれた。その動きは捉えようがなかった。つまり、ミルクもこれほど速いということかも知れない。おかしい。だってカザネだぞ。俺達の中で最速を司るものだ。その速さは時間すら超えて遡る。それに迫るだと。絶対何かからくりがあるに違いない。しかし、カザネも昔は生きるために食べ物を奪う側だったのに、今では俺に譲ってくれるようになったのか。なんだか感動的だな。サイフェルムも救ったし、ある意味一番成長した子かもしれない。


「こん、こっちのデザートも美味しいですよ、ご主人様」


 シデンは、優しい子に育ったな。ニーナの故郷の危機も救ったし、見ず知らずの町の人達のために怒り、そして大きな力を掴んで勝利した。その後も、力に溺れることなく俺に微笑んでくれている。本当にいい子だ。


「……」

「もう、いい加減機嫌直したら。ロロ?」

「分かってる、ジャルク。しかし、結婚したかった気持ちまで否定はできない。結婚すると決めている。だから機会を一回逃したことへの不満は簡単には拭えない。だから食べてごまかす。私は、まだ食べるぞ」

「私も付き合うぜ」

「ナギ」

「覚悟決まってるからな。今はやけ食いだ」

「ふっ、分かった」

「はいはい」

「私達も食べるぞ~~!!」

「私達は、食いすぎだ」

「まぁまぁ、まだまだあるからな。食べようぜ」


 ロロ、ジャルク、ナギ。今は我慢してくれ。何年かしたら必ず結婚するからな。シリル。食べ過ぎだ。料理はなくならないけど、食べすぎて腹壊すなよ。壊さないと思うけど。


「……いい香りだ」

「その人参、いつまで持ってる気ですか?」

「一生だが?」

「腐りますよ。腐らないようにしますか?」

「……ああ、頼む」


 そう言うと、クオンはライカの持っている人参になにかの光をふりかけた。あれで腐らなくなったのか。というか、まだ最初にあげた人参をずっと持ってるのか。良く腐らなかったな。やはり、レーチェが交配で作った人参だからだろうか。


「……眠い」

「寝てもいいぞ。私が寝ても運んでやろう」


 シルドは相変わらずだな。眠そうだ。ローリィは、面倒見がいい一面が見れるようになってきた。流石元魔王。気配り上手だな。


「ふむ、わしが結婚か。時の流れとは、分からんもんじゃな」


 レーチェは、感慨深そうにお茶を飲みながら大人しく座っている。あそこにだけ湯呑があるんだけど、わざわざ家から持ってきたのかな。お茶と言ったら湯呑だよな。レーチェのおかげで皆強く成れたところもあるから彼女には感謝している。ミルクの件で少し思うところもあったが、やっぱりレーチェを俺はいい人だと思う。だから彼女と結婚できてよかった。心の底からそう思える。


「マスター」

「お、フィーおいで」


 フィーを抱き寄せて膝の上においた。可愛い俺の小さな相棒でありお嫁さんだ。ほんと、あの時フィーに出会ってなかったらここまで来られなかったかも知れないな。ありがとう、フィー。君が皆との出会いの機会を作ってくれた。フィーと出会えてよかった。本当に。


「姉さんも、皆さんの結婚を喜んでますよ。マイマスター」

「……」


 アルティが、そう言って俺の腰に抱きつく。手には、鞘に入ったサリスを持っていた。サリスは、相変わらず無口だ。だけど、たしかに喜んでいる気がする。俺の気のせいでなければね。アルティ。サリス。これからもよろしくな。もっと2人を活かして振るえるように、俺も頑張るよ。


「あとはこのまま、時間まで過ごしましょうか」


 アリーに言われて、俺はそのまま結婚式がお開きになるまで皆と話していた。やっぱり落ち着くなぁ、皆といるのは。そういえば、結婚式始まってからノービスとカエラはずっと涙目で会話すらできなかった。でも、2人は幸せそうだった。それだけで良しとしよう。



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