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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
最終章・最終部 召喚魔法で異世界踏破
600/632

600回更新記念!! 解説・幻想級の召喚王

 *ご注意


 ここは更新600回記念会です。前後のお話とは、時間の流れが違います。その点をふまえて御覧ください。


*****


「……朝か」

「おはよう、お兄ちゃん!!」


 俺は、起きて顔だけ起こす。すると、俺の胸の上にシデンが寝そべっていた。


「お兄ちゃん、もう朝ご飯できてるよ。皆待ってるし、一緒に行こう?それとも、ちょっと私と触れ合ってからいく?皆には、内緒で」


 そう言って、シデンは目を細めた。舌をペロッと出して俺の身体を撫でる。可愛くもエロい。だが、俺はその言葉を特に気にせず、シデンを抱えて上半身を起こした。


「なんでお兄ちゃんなんだ?」

「もう、ご主人様はノリが悪いです。たまには、違った起こし方をしようと思いまして」

「それで妹っぽく起こしに来たと。いや、実際に妹居ないからこれが正しいか分からないけどな」

「いつでも私は、ご主人様を楽しませる努力を怠らないのです!!で、どうします?私と触れ合い、していきますか?」


 俺は、シデンの服装を眺めた。短パンによってシデンのスベスベした太ももから足先までが見えている。服も薄着で、シデンの腋すら腕を少しずらせば見える状態だ。単純に言って肌の露出が多い。まるで夏場のような服装だ。まぁ、家の中だしこれでもいいんだけど、今の季節には合わないくらい軽い服装だな。だが、シデンに似合っている。それがいい。


「……いいか、シデン」

「はい」

「もうすぐ俺達は、結婚するんだ」

「はい!!」

「今後、こんな起こし方をするとどうなるか、教えておこう」

「はい?」


 そう言った次の瞬間、俺は体勢を入れ替えてシデンをベッドに押し倒した。


「うわっ!!んむっ!?」


 そのままキスをして口を塞ぐ。シデンの口の中を、舌で蹂躙して押さえつけ続けた。更に腕を回してシデンをよしよししたり、しっぽを撫でたりする。シデンの毛並みは、もふもふでとても素晴らしい。狐耳もあるぞ。最高だ。


「んっ、んっ!?」


 シデンの顔がとろけて赤くなっていく。そして、数秒も経たないうちにその体から力が抜けていくのを感じた。俺は、ゆっくりとシデンから唇を離す。


「……結婚したら、この先までするからな。もう我慢する必要がないんだ。俺は本気だぞ」

「……は、はい」

「勿論、止まる保証はない。分かるよな」

「はい」

「じゃあ、一緒に朝ご飯を食べに行こう」

「はい」


 俺は、シデンを肩に担ぎ上げる。そして、部屋を出て階段を降りていった。


「……朝からシデンは、幸せでしゅ」


 力が抜けて動けないまま、シデンはそう幸せそうに言った。


「……」


 食卓につくと、いつもどおり美味しそうな料理が並んでいる。しかし、食卓の雰囲気がいつもと違っていた。空気がピリピリしている。食卓にいる全員が、真剣な顔つきをしていた。朝から何かあったのだろうか?


「どうしたんだ、皆?」


 俺は、アリーの隣の椅子に腰掛けて、自身のももにシデンを座らせた。シデンは、まだ惚けた顔をしている。その頭を、俺は軽く撫でた。


「ベイ、思ったんだけど」

「うん」

「これで最強なのかしら?」

「……うん?」

「4人の育成は順調。契約も済ませたし、いずれあの子達は創世級になる。でも、その4人の能力を加えただけで真の最強と言えるのかしら。私達の鎧は」

「いや、滅茶苦茶強いと思うよ。既にどんな魔法でも作れるんだし」

「確かに、それは強いんだけど、無敵であったミルクの能力にも無効化する手段があったじゃない。満身は良くないと思うわ」

「幻想級の使ったあのキューブみたいなやつか」

「そう。触れた魔法を閉じ込めて破壊する。条件付きだけどあらゆる魔法を無効化出来る魔法ね。そういうのがあるのが困るのよ。それを、他に違う形で使ってくるやつがいてもおかしくない。そんな奴すら破壊できる魔法を作れるとはいえ、厄介には違いないわ」

「いや、一体化した時点で負けはないよ」

「どうして?」

「ああ、皆知らないのか、あの鎧の力を」


 俺は、取り敢えず手を合わせる。そして、目の前の料理を見据えた。


「いただきます、っと。取り敢えず食べようよ。俺とアルティが解説するから」

「え、ええ。冷めちゃうしね。そうしましょうか」

「そうだなぁ。何から話そうか」


 そう言って、俺はアルティに視線を移した。それを見て、アルティが話し始める。ただ、話しながら俺の近くに寄ってきて腰のあたりに抱きついた。落ち着くらしい。


「あの一体化をする時、宇宙が割れるのは皆さんご存知ですよね」

「ええ、そうね」

「その瞬間、相手は周囲の魔力を使えなくなって魔法攻撃を一切使用できなくなります」

「ん?」

「魔法によって生まれた生物である創世級だろうが、幻想級だろうが、一切の魔法を使用できなくなります。それは、我々の幻想級一体化で周囲の魔力を完全に取り込むからです。本来であれば、魔物は肉体内にある魔力を使って魔法を行使することも、空気中に漂っている魔力を吸って使うことも出来ます。勿論、マスターほどの速度での吸収は出来ません。しかし、肉体が使った魔力を回復することができるように、僅かではありますが、普通の魔物でも空気中の魔力をその場で吸って回復することが出来ます。ですが、それすら不可能になります。空間の魔力の制御権が全て我々にあるからです。それは、相手の体内にある魔力も同様です。魔力で肉体が構成されている限り、我々に相手が勝つ手段はありません。その肉体を構成しているすべての制御権が我々にあるのですから」

「……本当?」

「本当です。マスターが進化した時点で得た能力は3つ。進化の制御。絆ある仲間の召喚。そして、今までの魔力吸収のパワーアップです。つまり、吸収することなくすべての魔力がマスターの魔力として使えるようになります。制御できるのです。相手は干渉することすら出来ず、魔力を使えません。故に、勝てません」

「そこまでするには、一体化しないと無理だけどな」

「一体化による莫大な魔力制御能力があれば可能です。周囲の全てを自身のみが使える魔力に出来ます。やろうと思えばアリスティルサなしでも星と幻想級との切り離しが出来たはずです。魔法構築が面倒だったので演算力の高いアリスティルサを使いましたけどね」

「あと、アリーのセンスもな。演算力の高いアリスティルサは、あくまでも魔法を生み出す補助としての魔剣だし、それを使って一気に魔法を組み上げるには独特の魔法センスがいる。それには天才か、それを超えるほどの魔法学に詳しい才能を持つものが協力してくれるのが望ましい。あの速さで幻想級を破壊できる魔法を組み上げられたのは、アリーのおかげだよ。実際にアリーなしだったら、もっと時間がかかってた」

「……ベイの役に立てて嬉しいわ」


 そう言ってアリーは、自身の胸に手を当てた。 ……アリーの胸、育ってるよなぁ。もう巨乳と言っていいんじゃないか? いや、その手前ぐらいだろうか。人によっては巨乳かも知れない。


「もしあの状態の我々に勝つことが可能なのだとしたら、魔力に頼らないほど有り得ない程強いか、魔力の制御権を我々から奪えるものとなってくるわけですが」

「そうね」

「それは不可能です」

「どうして?」

「アリーさん、なんでも出来るんですよ。我々は既に。そんな我々が、負ける要素がありますか?」

「あると思うわ。一体化前に襲われるとか」

「それは違うんですよ。アリーさん」

「え?」

「アリー、既に俺達は何でも出来るんだ。自分たちで選んでフルパワーを出さずに戦うという選択肢は取れる。それなら苦戦することはあり得る。だから4人を仲間にした。だけど、負けることはない」

「どういうこと?」

「なんでも出来るからですよ、アリーさん。一体化した時点で空間の魔力の制御権を全て我々は持ちます。そして、魔力は過去、現在、未来。時間にでさえ干渉する力を持ちます。それを全て制御するのです。一体化した間とはいえね。ですが、一体化した瞬間、私達は全ての魔力を我がものとして使えるのです。ということは、我々は時間にでさえその瞬間干渉していることになるのです。世界を埋め尽くす魔力その物を手にしているわけですから」

「つまり?」

「もし、我々が負けるような、アリーさんが言うような一体化前に攻撃されることがあったとしましょうか。その場合、別の時間からやってきた一体化した私達に何も出来ずにそいつは殺されるでしょう。何でも出来るとはそう言うことです。アリーさんは、魔力の流れを見ればおおよその未来は予測できると言っていました。それと同じで、もし私達に何かあれば既に私達には分かります。それが未来であってもね」

「なんでそうなるの?」

「何でも出来ると言ったじゃないですか。今はまだ、未来には行っていません。ですが、魔力は全てに繋がっている。過去にも、未来にも。それを、既に私達は一回掌握したのです。つまり、何者もこの先の時の流れで我々に勝つことは不可能ということになります。既に、我々はそれらを一回掌握しましたからね」

「う~ん、分かるような。分からないような」

「つまり、この世界は既に我々が掌握したということですよ。過去、現在、未来においてもね。時すら既に我々の掌握の内です。意図的に全てを知るのは止めていますが、危機が迫れば分かるんですよ。ゆえに負けわないわけです。分かっていただけましたか?」

「つまり、一回一体化した時点でこれから敵対する全てを倒したことになってるから負ける要素がないってこと?」

「まぁ、それでもいいです。それら全てを今の我々が覚えているわけではないですが、知ろうと思えば知れます。死ぬ可能性があるとしたら、死ぬ前にその可能性が消えます。そういう存在なんです。今の私達は」

「……」


 強いとはなんだろうか。負けないことだろうか。永遠で不滅であることだろうか。どうかは分からない。だけど、俺達は俺達が生きている間負けることも、殺されることもない。俺は、それでいいんじゃないかと思う。十分最強だろう。あの時、アリーと、アリー達と一体化した瞬間から俺達は最強の存在になったんだ。アリーの超神才を、パワーアップした力を持ってしてこの世の全ての魔力を見渡せる存在になった。その全てを覚えるのは止めている。つまらないからだ。意図的に忘れはしている。だけど、なにか変化があれば分かるようにはしている。だって、俺達は既になんでも出来るのだから。


「……でも、仲間を増やした意味はあるんでしょ?」

「うん。まぁ、さっきも言ったように相手の力に合わせて時と場合によっては、全員での一体化を使えないときもあるかも知れないからね。忘れてるから、ないとは言えない。だからもし、その相手に会う現在で俺達が戦うとしたら増やした戦力で最初は戦うことにはなるだろうから、意味としてはあると思うなぁ」

「じゃあ、まだ増やす価値はあるってことよね?」

「そうだね。……うん?」

「次は、何にしましょうか?」

「腋重視でいいんじゃないですか?それか、足」

「いえ、髪とか、口も捨てがたいわね。性格的にも無知な子が欲しい気がするわ。皆、結構教養があって常識的だから、その方がベイも刺激があっていいかも」

「えっと、何のお話でしょうか?」


 俺は、アリー達の顔を眺めた。話の内容とは違い、皆真剣そのものだ。


「結婚。それは、夜の解禁を示すわ」

「そのための人員の確保は、必要事項です。何故ならば!!」

「私達全員が居ても、アルフェルト商会社員の女性たちが全員居ても、ベイを満足させられるか怪しいからよ!!!!」

「……」


 俺は、そっと皆から視線をそらした。


「ご飯美味しいなぁ~」

「いっそ、性的に特化した魔物とか育成するべきかしら!!」

「それもそれで狙いすぎるとご主人様が乗り気にならないかも知れません!!!!」

「え~い、どうすればいいの!!!!」


 ……最強とか、あんまりうちには関係ない話だったな。でも、この時間を守れるなら最強になった価値もあるだろう。ちょっと心労がきついと感じるときもある。でも、いいんだ。皆が楽しそうだから。そう思いながら俺は、ご飯を黙って食べ続けた。アリー達の会話を、意図的に忘れながら。





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