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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
最終章・最終部 召喚魔法で異世界踏破
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四獣一体

「ディレイウインド」


 カザネの魔法を使って、どれくらいライカが早いか見極める。ディレイウインドで生身で出せる最高速に身体を強化する。すると、それでもライカの動きは早く見えた。でも、すべての動作を目で追えないほどでもないな。ディレイウインドの最高速よりもやや遅いくらいだろうか。でも、それぐらいだよなぁ。ディレイウインドを使うよりも速くなれるんだったらびっくりする。でも、速いのは速いんだよなぁ。それと、明確にカザネと違う点がある。


「……それ、周囲の物をなぎ倒しながらじゃないと使えないのか?」

「そうだ、使えない。走ったあとは、放電の影響を受けるから焼け焦げたり、周囲の物が吹っ飛んだりする。どうしようもない」

「それなりに速い代わりに、走ると周りに被害が出るのかぁ。ちょっと使い勝手が良くないかなぁ~」

「走りながら攻撃できる。私は良いと思う」

「確かに、走り自体が攻撃になっているという点では有りか」

「うん、良いと思う」


 走るだけで敵を倒せるんだもんなぁ。ある意味攻防一体というか、逃げながら攻撃できるって感じかな?攻撃動作を取る必要がないからスキができにくいかも知れない。使い方によっては有りかもなぁ。敵味方の多い場所では扱いづらそうだけど。


「分かった、ありがとう。次、クオンだ」

「はい!!」


 クオンの手のひらから黄金の光が放たれる。それを浴びた周りの植物は、一瞬元気になったかと思うと、その場でドロっと溶け始めた。


「……うげぇ」

「凄い!!」


 植物がゲルのようになって一瞬で崩れていく。これ、エグすぎないか。


「ほ、他にはなにか出来ないのか?」

「はい。全属性に一応は成れたので、それぞれの属性魔法を少々」

「良いね。手加減できそうだ」

「あと、超回復を他の方にも使えまして。いつでも体調を全回復状態にできます」

「……医者いらずって訳か」

「昨日まで元気だった死んだ人までなら生き返らせて御覧に入れます」

「……それ、やばくね」

「細胞が持っている遺伝子情報が壊れていなければいくらでも復活できます。大丈夫です」

「それ、大丈夫って言えるのかなぁ」


 言えない気がする。ここに来てまさかの復活魔法を持った仲間が出来るとは。でも、幻想級戦よりも危険なことになる未来なんて無いと信じたいからなぁ。無駄な復活魔法だと思いたい。


「……それは、できるだけ使わないようにしよう。体調良くするぐらいにしといて」

「分かりました」


 さて、四人の実力を一応確かめてみたわけだけど。


「最後に、あれをやっとくか」

「やっときますか」

「あれ?」

「あれとは?」

「教えてあげよう。お前たちの鎧はな、その姿を一つにすることが出来る」


 召喚を解除して、シルド、ナギ、ライカ、クオンを俺の内に戻した。そして、俺は鎧を展開する。


「一体化」


 そう呟いた瞬間、四人の鎧が周囲に展開して俺の身体を包み始めた。それぞれのパーツが分解されて折り重なり、人形の鎧を形作っていく。ナギの龍の顔の口が開いて人形の顔が出来、俺の頭を覆った。右肩には亀の顔が。左肩には馬の顔がついている。そして、胸には黄金色の鳥の顔がついた。シルドの装甲が外側に張り付きマントのように鎧を覆う。内側の装甲には、四人それぞれのパーツが混ざって張り付き強固な強度としなやかさを併せ持った鎧を完成させていた。


「ふむ。良い力だ」

「何故、胸に鳥の顔が?」

「「「格好良いからだ!!!!」」」


 ミズキに対しカザネ、ナギと共に力説する俺。まぁ、格好いいからね。仕方ないね。


「それと、全属性のクオンが中心のほうがやりやすいって事情もあるな」

「なるほど。それで顔を」

「あと、四人の特徴を残そうと思った。そしたらこうなった」

「確かに、特徴的ですよね」

「どうですかマスター、その鎧は?」

「うん。これならアリーと一体化しなくてもアリスティルサを使えるかも知れない」

「本当ですか!!」

「だが、アリスティルサにするには無敵と破壊のガントレットがいるからなぁ。アリーの代わりには成れても、ミルクたちの代わりには成れなさそうだ」

「そうですか。惜しいですね」

「いや、正直アリスティルサを使う敵って本当に幻想級ぐらいじゃないと居ないから、別に良いんじゃないか?使えるに越したことはないが。というか、クオンがいるからもしかしたら妊娠期間一体化問題もクリア出来たかも知れない。妊娠時に一体化しても、クオンに子供に回復をかけてもらえば影響は出ないはずだ」

「お~~、なるほど」

「まぁ、最悪の場合ではあるけどな。これで一応、子供を危険にさらしてまで一体化するという自体は防げるわけだ」

「最悪の時は、妊娠していても殿と気兼ねなく一体化できるわけですね」

「そう言うことだな」

「お腹の子に配慮できるのは、素晴らしいことだと思います」

「こん。お手柄ですね」


 俺は、性能も把握したので一体化を解除した。一回纏うだけで大体の性能が今の俺には分かる。これも進化した影響だろうか。取り敢えず、目標であった戦力強化は問題なく出来たって感じかな。


「よし。帰ろう」

「今日は、四人の進化祝ですね」

「そして、あと数日したら~!!」

「主人との結婚式ですね」

「こん、楽しみです!!」


 これで、結婚に向けての準備は整ったな。あとは当日を迎えるだけ。 ……当日の朝にあがり過ぎないように今からイメージトレーニングしといたほうが良いだろうか。身内をかなり呼ぶらしいからなぁ。あがらないか心配だ。あと、呼んだ人たちが大人しくしているか心配。何もないと良いんだけど。


「……頼んだぞ、四人とも」


 俺は、四人に結婚式当日の期待を込めてそういった。頼むから俺が、アルティとサリスを持って大立ち回りする自体だけは避けて欲しい。頼んだぞ。


「おう、任せろ!!」

「……りょうかい」

「うむ」

「はい」


 四人はそう言って俺に微笑んでくれた。有り難い。さて、今は家に帰ろう。俺達は、転移して自宅の庭に移動した。


「お、帰ってきたか」

「そのようですね」

「じゃあ、あたし達が先輩として……」

「その実力」

「確かめたいっすねぇ」

「ちょっとでいいですから」

「お付き合いください、四人とも」

「ロロもやるぞ~!!」

「ロロ、私達は見学よ」

「良いではないか。全員でやれば。わしが見ててやる」

「ふむ。新人はどれほどの反応速度かな?」

「ちょっと殴り合うだけだ。痛かったら言えよ。やめるから」

「……」


 無言で俺は、全員を連れて迷宮に転移した。


「ひゅ~~、良い歓迎会だ!!」

「……めんどいです」

「仲間の力の把握は必要。そういうことか」

「ぶつかりあうのが一番早いってことですか。あまり好きではないですけど、よく分かる理屈ですので仕方ないですね」

「さぁ、歓迎の訓練の開始だ!!!!」

「……」


 皆が鎧を身に纏う。俺は、そそくさとレーチェの近くに移動して退避した。一瞬の後、轟音と衝撃で周囲の地形が変わっていく。俺は、その光景をなんとも言えない表情で見ていた。




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