表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
最終章・最終部 召喚魔法で異世界踏破
595/632

修行の終わり

「招待状ももれなく出したし。衣装の準備もバッチリ。ロデ?」

「はい、アリーさん。当日の会食席、テーブル料理、椅子。全て準備出来ています」

「よろしい。あとは当日を待つだけね」

「はい」

「……」

 

 結婚もあと数日かぁ。アリーとの結婚は、何度も願ったことだが、実際にその日が目の前だと思うとなんだか緊張する。しかもアリーだけとじゃないし。転生したての俺に今の状況を説明しても、そうはならんやろと言われそうな状況だ。どうしてこうなったのか俺にもよく分からん。ただ、アリーにも責任はある気がする。2人でこの責任を背負っていこうな、アリー。だから修羅場化だけは勘弁してください。無いと思うけど。


「……さて、俺は四人の仕上げといきますか」


 結婚も迫ってきたことだし、修行期間も終わりと言っていいだろう。今日はシルド、ライカ、ナギ、クオンを進化させる。さて、思惑通りに全員が進化してくれると良いのだが、こればっかりはやってみないと分からないなぁ。そう思いつつ俺は、庭に出た。そこには、新人四人が綺麗に整列している。ライカとシルドは、いつもどおりの表情だ。クオンは、緊張した顔で息を呑んでいる。ナギは、鼻息荒く俺を待っていた。楽しみだったのかな?


「よし。四人とも、修行お疲れ様。そして、俺と契約してくれてありがとう。今から、君たちには進化してもらう」

「は、はい!!」

「……」

「ブルル」

「(コクコク)」


 ナギだけ頭がちぎれんばかりに首を上下させて反応してるな。やはり、楽しみだったのだろう。


「その前に、フィー、ミズキ、シデン、カザネ。四人とも大丈夫だよな?」

「はい!!」

「大丈夫なはずです」

「ライカちゃんは完璧です!!」

「ナギ、いけるな?」

「(コクコク)」

「大丈夫です」

「よし。じゃあ、進化だ」


 俺は、シルドの前に立つ。そして、手のひらをシルドに向けた。


「進化しろ、シルド」

「!!」


 その瞬間、シルドが光りに包まれる。そして、その光が止んだあと、そこに居たのは眠そうな目をした黒髪の女の子であった。


「……おお?」


 シルドが、自身の体を確認する。服も着ていて完全な人化を果たしていた。スパッツのような下履きとフード付きの黒いフリースのような服を着ている。部屋着って感じだな。動きやすそうではある。


「……終わりましたか?」

「ああ、終わったぞ、シルド」

「……じゃあ、おやすみなさい」


 そう言って、シルドは地面に寝転んだ。


「いや、起きろシルド。力を試せ」

「また今度で、ミズキさん」

「……しょうがないやつだな」


 ミズキが、シルドに一瞬にして詰め寄る。だがその瞬間、シルドの身体がなにかに弾かれたかのように宙に浮いた。


「……」

「止めておきましょうよ。ここでは止めといたほうが良い気がします」


 シルドは、そう言って空中に寝そべったまま浮いている。そのシルドの下に、黒い装甲のようなものが出来ていた。あれは、鎧の一部か?


「……では、後で広いところで試すぞ」

「それなら、文句ないです。ふぁぁ……」


 シルドは、眠そうにそう言って目をこすった。う~む、あのシルドがこんな美少女になるのか。進化ってやっぱ凄いなぁ。


「さて次は、ライカだな」

「ブルッ」


 俺は、ライカの頬に手を当てて魔力を注ぐ。


「ライカ、進化しろ」

「ブルッ!!」


 紫の閃光に包まれてライカが、2本の足で立ち上がった。すると、みるみるその体の造形を変えていき、ツリ目の紫色の髪をしたお姉さんに変身した。若干、肌は褐色に焼けている。着ている服はジーパンとやや黒い無地のTシャツだ。あと黒いパーカー。パーカーの前のチャック部分が胸辺りまで開いていて胸が突き出ている。レムよりやや小さい感じかな?


「……ふむ」

「?」

「ちょっと待って」


 俺は、ライカの後ろに回ると魔法で糸を作ってライカの髪を束ねてポニーテールにした。うん、これで良い。ぴったりだ。


「似合ってるぞ、ライカ」

「……ありがとう」


 返事がそっけないきがするけどクールだ。良いね。体型としては胸も大きく、下半身周りが特にメリハリが効いてるなぁ。肉付きが良く、締まってるところはしまってる感じだ。あの足で蹴られたら死ぬな。そんな力強さがある。


「……私も、力は後で試す。最初だし、制御しきれるか心配」

「なるほど。じゃあ、皆で後でやろう。次は、ナギだ」


 俺は、ナギの前に移動した。


「ナギは、一気に創世まで進化させるからな。メチャクチャ強くなるぞ~」

「!!!!」

「ナギ、平常心で望め。心に正義だ」

「!?」


 カザネの言葉に、ナギは深呼吸する。そして、俺に向かって頷いた。覚悟は出来たみたいだな。


「よし、ナギ。進化しろ」


 緑の閃光に包まれて、ナギの身体が大きくなっていく。しかし、フィーより少し大きくなった程度までなると、その成長は止まった。


「よっと」


 光の中から、帽子をかぶりジャンパーを羽織った女の子が現れた。下は短パンを履いている。やや目つきが鋭いかな? どちらかといえば見た目年齢的には少女という感じだ。


「ナギ・アルフェルト。進化完了したぜ」

「お、おう」


 ジャンパーを払って、少女はかっこつけてそういう。やっぱ、ナギってこんな感じの子なんだな。


「おい、主人!!」

「お、おう」

「私をよくも故郷の森からこんなところまで連れてきてくれたなぁ!!森の皆が怯えてるから私がなんとかしてやろうとお前の周りを飛び回って考えてた最中に捕まえやがって!!もうちょっと私にその場で仲間が必要だとか説明してくれても良かったんじゃないのか!!」

「お、おう。すまん」

「へっ。まぁ良い。それでもよ、あんたは私を選んだ。このナギ様を、必要だからと選んでくれたんだ。私はな、頼られるのが嫌いじゃない。あんたは世界を救ったって言うし、そんなあんたの役に立てるというのもどこか嬉しい。だからよ」

「おう」


 そう言うと、ナギは俺の襟を掴んで顔を寄せてキスをしてきた。少し長く押し当て合うだけのキスだ。


「これからは、そのあんたの気持ちに答えてやる。他のやつには期待しなくていいが、私には期待しろよ。このナギ様が、必ずあんたを幸せにしてやる。絶対だからな」


 そう言うとナギは、後ろを向いて顔を真っ赤にしたまま黙ってしまった。無言で帽子を深くかぶり直している。可愛い。


「さて、最後にクオンか」

「よろしくお願いいたします」


 クオンは、どうなるんだろう。少女系? それともお姉さん? お姉さんのほうが可能性高い気がするなぁ。年齢的に。さて、どうなるかな。


「クオン」

「はい」

「進化しろ」


 まばゆい光がクオンを包み込んでいく。その光には、全ての属性の魔力が合わさり、クオンの身体を変質させていった。


「さて、どうなる?」


 なかなか張れない閃光の中で、俺はクオンがその姿を現すのをジッと待った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ