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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
最終章・最終部 召喚魔法で異世界踏破
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金色の不死鳥

 晩御飯を食べて、風呂に入りながら考えたのだが。よくよく考えると、もう既に三人も仲間候補が見つかっているという時点でかなりのハイペースだ。仲間にしたあとの修行期間も必要とはいえ、既に三人もいるのだし、もう一人は少し時間を置いて仲間にしても大丈夫なのではないか? と、思ったのだが。全迷宮を既に回りきっても全属性が居なかったことを考えると、多少焦ったほうが良い気もする。焦る。だが期間はある。


「……そうか」

「どうしました、マスター?」

「決めたぞ、フィー。俺は決めた」

「最後の新人候補ですか?」

「そう。最後の一人を決めたんだ」

「ど、どの子にするんですか?」

「それはだな」

「それは?」

「……明日、アリーに決めてもらう」

「えっ、私?」

「うん。おやすみ」

「お、おやすみ、ベイ」


 ちょっと俺の言っていることの意味が完全には伝わっていないのか、アリーが戸惑った声で返事を返してくる。明日、説明すればいいよな。そう思って、寝ようとしたのだが。


「いや、夜はまだこれからだぞ、ベイ」

「え、サラサ?」


 何故、上着を脱ぎ始めているんですか?


「そうだよ、ベイ君。もうちょっと準備期間があるとはいえ、もう結婚確定なわけだし」

「い、色々と発散しながら、当日に備えたほうが良いと思います!!」

「確かに、ベイは放置すると魔獣になるから」

「発散して当日を迎えるぐらいがちょうどいい気がします」

「じゃあ、今日は夜更かし?」

「承知」


 えっ、ちょ。いきなり両手と両足を拘束された。メチャクチャ眠る気満々だったのに、今は獲物を捉えた目で皆に見られている。


「それじゃあ、しましょうか」


 アリーの顔が、俺の顔に近づいてくる。そのままアリーと甘いキスをして、夜遅くまで俺達は夜更かしをした。


「……平和って最高だな」


 朝食を食べながら俺は呟く。目の前の彼女たちを守れたのだと思うと、朝からそう思わずにはいられなかった。それに、彼女たちは俺と一緒に居てくれる。感謝しかない。ありがとう、皆。昨日は激しかったです。


「今日がお休みでよかった」

「ベイ様は、お強いですね」

「……」


 そういえば、全然疲れを感じないなぁ。まだまだ不調とは、遠い位置にいる気がする。生身でいた頃の体調で絶好調が常に出ている気すらするなぁ。やはり、俺の身体は既に普通の人とは違うんだろう。皆を相手にしても余裕だもんな。今日もやろうと思えば迷宮巡りをこなせる気がする。それも、昨日よりも効率よく。


「ところでベイ。私が最後の新人を決めるって、どうするの?」

「アリー、全属性で仲間にできる魔物は、昨日全迷宮を回った時点でいなかったんだ」

「うん」

「俺は、もう全属性の魔物に運良く出会えるのは不可能だと思ってる。これだけ回って居なかったんだ。根気よく毎日迷宮を周回し続けて見つけるというのは、効率も悪いし。俺達の仲間を見つけたい期間で、運良く迷宮に新しい全属性の魔物が生まれるとは考えがたい」

「まぁ、そうね」

「そこで俺は考えたんだ。居ないなら、進化してもらって全属性になってもらえばいいと」

「あ~~、なるほど」

「そこでアリー、この本を見てくれ。この中から、アリーに一つ魔物を選んで欲しい」

「どれどれ。語り継がれる伝説の魔物図鑑?」

「そう。その中には、かつて迷宮以外に居たレアな魔物のことが書かれている。今日は、そのスポットを巡って仲間にできる魔物が居ないか探そうと思うんだ」

「でも伝説よ?居なかったら?」

「居なかったら、アリーにまた選んでもらう。それで、仲間候補が出来るまで繰り返す。それだけだよ」

「どちらにしろ、全部回る可能性はあるってことね。分かったわ。えっと、最初はどれに……」


 そう言って、アリーは本をめくりだす。


「じゃあ、今日もミズキはシルドを。カザネはナギを。シデンはライカを頼む。鍛えてみてくれ」

「名前、決めたんですか?」

「ああ、仮だけどな。仲間になってくれるか分からないし」

「分かりました。ライカちゃんとお話してきます!!」

「私も、ナギと修行を始めてみます」

「シルド、逃げ足が遅いぞ。逃げる気があるのか?ほら、修行するぞ」


 頑張って普通の人間の歩行よりも遅い速度で移動していたシルドがミズキに捕まった。為す術なくシルドは運ばれていく。修行が嫌なんだろうな。あの怠け者のシルドが逃げる動作をしてる辺り。ミズキは、スパルタだからな。


「これね。これにしましょう」

「おっ、決まった?」


 俺は、アリーの指さしたページを見つめる。


「黄金の孔雀?」

「ええ。どうもこの魔物には、寿命を延ばす力があると言われているっぽいわね。気になるわ」

「素材的な意味でか」

「それもあるわね。そんな子が仲間だと、つきっきりで解析できるじゃない。面白そう」

「嘘だとしても、進化してもらう過程で本当に寿命を延ばす効果を持った魔物にでもなってもらえばいいか。良し、見てくるよ」

「あ、女性じゃなかったら却下でいいから」

「分かった。行ってくる」


 素早くいつもの装備に着替えて、俺は本に書いてあった噂の残る街付近へと転移した。


「えっと、この辺りに強い魔力を持った奴は……」


 感覚を研ぎ澄ませて周囲を観察する。すると、街から離れた山付近にそれらしい反応を感じることが出来た。


「お、当たりかな?」

「かも知れませんね」

「流石アリーだ。最初から当たりに導いてくれるなんて助かる」

「ともかく、行ってみましょう」

「おう」


 風魔法を使って、山の上を飛んでいく。山を3つほど超えた先の山頂に、その魔物は存在していた。


「おっ、何か洞窟から出てきたな」

「本にあったとおりの魔物ですね」


 俺達が接近すると、山の山頂の洞窟から、黄金色の巨大な怪鳥が現れた。俺は、アルティを抜いてその怪鳥の前に降り立つ。でかい。俺よりもでかい。人を丸呑みとまではいかないが、それなりにでかいぞこの怪鳥。あと、毛の輝きが凄い。太陽光で光っている。すごくご利益がありそうな出で立ちだ。日本にこの鳥が居たら、一万円札に描かれそうなほどだ。あ~~、そう考えると鳳凰って感じの見た目に見えてきた。この鳥、鳳凰かもな。異世界の鳳凰。


「……命だけは、ご勘弁下さい」

「えっ?」


 俺に話かけると、鳳凰はその豪華な見た目で直ぐ様土下座らしきポーズをとった。








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