治療中
(おし、ご主人様、これで行きましょう!!……治して欲しかったら、まずは、誠意を見せてくれないとな。ほら、分かるだろ?くっ、でも……。ひ、卑怯ですよ!!おっと、そっちの二人も脱ぐんだ。でないと、治さないからな?と、言う感じで!!)
「やるわけ無いだろ、ミルク……」
「あの、どうかされましたか?」
「ああ、いや、何でもない!!とりあえず、もう一度魔法を使ってみてくれるかな?」
「分かりました」
彼女が、魔法を使う。もちろん、発動されずその魔力は消えた。俺は、魔力を感じることに神経を集中させる。そして、その消えていく魔力が、どこに集まっていくのかを調べた。
(ええ~、丁度いいじゃないですか。姿は人間に似ていますが、間違いなくこの3人は、聖属性魔物でしょう。しかも、3人共違うタイプの美人さんです!!魔法が使えない子は、ドジっ子系・金髪巨乳!!語尾に、っすとかつけてる子は、茶髪・細目系やや巨乳。もう1人は、金髪・優しいお姉さん系巨乳!!いいじゃないですか!!!!素晴らしい逸材たちです!!もう、この場で無理にでも落としましょう!!)
「いや、だから、そう無理にとかしないから……」
「あの~?」
「ああ、大丈夫!!多分、分かったと思うよ」
「うーん、本当に大丈夫なんっすかねぇ」
「まぁ、見ているしか無いわね」
さて、とりあえず問題の箇所を詳しく調べよう。俺は、彼女の腕の肩に近い位置に手を当てる。魔力を流して、その反応で異物を探りだすことにした。やはり、小さいが何かの異物があるようだ。
「ちょっと、こっちの肩を露出させてもらえるかな。中の異物を取り除くから。ああ、顔は反対側の肩に寄せて。一応、危ないから」
「は、はい。……い、異物ですか?」
「ああ、心当たりは無いかな?」
「いえ、特には、何も……」
「まぁ、取り出すから。ちょっと痛いかもしれないけど、すぐ治せるよ。安心して」
「わ、分かりました」
そう言うと彼女は、肩を露出させた。うーん、白くてなめらかな良い肌だ。おっと、イカンイカン。治療に集中しないと。心なしか、彼女も顔が赤いし、恥ずかしがってるなら早くしないとな。俺は、彼女の腕を持ち上げて横向きにする。下から手のひらを構え、ミルクの破浸透を使う準備をした。
「じゃあ、ちょっと痛いが、我慢して……」
「は、はい!!」
俺は、彼女の腕に魔力強化をした手のひらを、下から勢いよく叩きつけた。破浸透が、うまく中の異物に作用して、その異物が肩から肉を突き破って飛び出してくる。
「あっ、痛っ!?」
「おっと」
俺は、飛び出した異物を、腕で掴んだ。そのまま、素早く回復魔法を彼女の肩の傷口にかける。すると、傷口はすぐに塞がった。
「ひゃううううううう❤!!い、一体何が……!?あ、傷跡が……」
「よし。それじゃあ、魔法を使ってみてくれるかな?」
「は、はい!!」
彼女が俺に背を向けて、魔法を発動させる。彼女の腕から、光の弾丸が射出され、後ろの木をなぎ倒した。
「ああ、あああああああああ~~~~!!!!」
「おお~!!ミエル様、やったっすね!!!!」
「やりましたね!!ミエル様!!」
「うわああああああああん!!!!やりました!!!!私!!遂に、魔法が使えましたああああああああああああああ!!!!」
ミエルと呼ばれた彼女は、二人に抱きついて、嬉し泣きし始めた。いいことをしたようだ。良かった、良かった。ところで、これはなんだろう? 俺は、飛び出した石を拭いて、しげしげと眺める。魔石か? いや、勝手に魔力を奪う魔石なんて、聞いたことが無いなぁ。有り得ないとまでは言えないが。それにしても、これ程小さいのに、かなりの魔力を貯めこんでいるようだ。これは、研究してみたいなぁ~。どうやって作ったのか、見当もつかない。
「ふーん、それが、ミエル様の中にあった異物っすか。ちょっと、見せてもらっていいっすかね?」
「え。ああ、どうぞ……」
彼女は、それをしげしげと眺めると、それを仲間に持っていく。何か話しているが、思い当たるところがあるのかな?
「これ、こっちで貰ってもいいっすかね?」
「ああ。まぁ、もとよりそっちのだからね。別にいいよ」
(欲しかったら、身体でって、言えばですね……)
「ミルク、そういうのは、もういいから」
「ミエル様の治療をして頂き、ありがとうございます。何か、お礼が出来ればいいのですが……」
(身体で!?)
「ああ。それなら、聞きたいことがあるんだけど……」
「聞きたいこと、ですか?」
ミエルが、嬉し泣きから立ち直ったのか、こっちに近づいてくる。
「はい!!なんでも聞いてください!!何でもお答えします!!」
「ちょっと、ミエル様!!なんでもは、流石に困るんっすけど!!」
「ああ、そんなにたいしたことじゃないよ。ちょっと俺は、仲間になってくれる聖属性魔物を探していてね。そんな知り合いが、いないかと思ってさ」
「聖属性魔物を、仲間に、ですか?」
「というか、うちらが聖属性魔物ってバレてるんっすか。羽も完璧に隠してるんすけど。ああ、ミエル様は隠せないから、背中の膨らみで分かったんすね?」
「いえ、さっきミエル様が、聖属性魔法使ってたでしょう」
「ああ~、それなら隠しようがないっすね」
二人は、うんうんと頷く。ミエルは、なにか考えているようだ。
「今月の階位の下の人って、誰でしたっけ?」
「ええっと……。確か、グレア君じゃなかったっすかね。面識はないっすけど」
「その人なら、問題なさそうじゃないかな?」
「ああ~、本人的には、大喜びしそうっすね」
「(ちょっと待ったあああああああああ!!!!)」
「へっ?」
「え、何の声っすか?」
「ミルク。お前というやつわ……」
俺は、顔を片手で押さえた。こうなったら仕方ない、召喚してあげよう。
「よっと!!あなた達、先程、グレア君と言いましたね。つまり、男ですか?」
「え。は、はぁ~、そうっすけど……」
「ノーーーーーーーーーーーーー!!!!絶対に、ノー!!!!ご主人様の魔物は、女性型か、その可能性のあるもののみです!!いいですね、男性形は、ノー!!NG~~~~!!!!」
「……あの、この幼女はいったい?なんか、やたら胸がでかいっすけど……」
「ミエル様より大きいわね。私よりも。こんな小さいのに……」
「ふ、いいでしょう、答えてあげましょう!!」
バサッと羽織っている羽織をわざとらしく翻して、ミルクは格好つける。
「この御方、ベイ・アルフェルト様の三番目の忠実なる愛の下僕にして、嫁候補!!それが私、ミルク・アルフェルトです!!!!」
ミルクは、ドヤ顔でポーズを決めた。見ていた3人は、思わず拍手をしている。見え切りが上手いな、ミルク。
「あのー、そのミルクさんにお聞きしたいんっすけど。なんで、男じゃ駄目なんっすか?」
「良い質問ですね、そこのやや巨乳さん!!」
「シスラっす」
「シスラさん!!まぁ、ざっくり言いましょう。うちのご主人様は、空気を読む所為か、かなりの奥手なんですよ。今でも、かなりの美少女が近くにいるんですがね。しかも、そんな中に男という逃げ道が出来てしまうなんて……。まるで、私達の今まで積み重ねてきた苦労を、平らにならすに等しい諸行です!!それに男が1人はいることで、ご主人様といちゃつきにくくなるなんて、我々には耐えられません!!!!よって、絶対に駄目です!!探している属性が、一致している魔物でも、絶対にノー!!!!」
「な、なるほどっす……」
そう言われて、ミエル達は頭を抱えている、もう、思い当たるふしがないようだ。
「と言うか、あなた!!ミエルさんでしたか?この場合、あなたがなるべきでしょう?」
「え、ええええええええええ!?わ、私ですかああああああああ!!!!」
ミルクにそう言われて、ミエルの声が森に響いた。