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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
最終章・二部 決戦・創世級迷宮
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力を一つに

「では、行ってくるぞ。アリー」

「ええ、ベイをお願いします」


 そうアリーが言うと、レーチェはその場から消えた。


「さて、わしの魔法の真似をしとる奴が居るようじゃな」

「やっと来たんですか!!呼んでから来るようじゃ遅いですよ!!もっと早く来るべきでしょう!!」

「うるさいわい!!お前らが星を守りきれるか、一番うしろで見守っとってやったんじゃろうが!!!!大丈夫そうじゃし、呼ばれたから来てやったんじゃぞ!!さっさとあいつを倒して、ケリを付けて宴にするぞ、ミルク!!」

「ええ!!あなたの働き次第ではありますが、大いに賛成です!!さっさと邪魔者を、ぶっ飛ばしちゃってもらえますかね!!」

「いいじゃろう、格の違いを見せてやる!!」

「……すまない、レーチェ」

「うん?どうした、ベイよ」

「今の俺では、魔法に慣れていないせいか、レーチェは進化させられないみたいだ」

「……ああ。わし、現状に満足しておるからな。これ以上とか考えとらんし、難しいんじゃろう。それにな」


 そういって、レーチェは腕をかざす。


「わしには、必要ない」


 すると、目の前にあったキューブの大群が一瞬にして消えた。


「おお~~!!流石!!!!」

「当たり前じゃろ」

『土の創世級か。よもや、人に従えられているとはな』

「勘違いするなよ、でかぶつ。わしは、ベイとビジネスパートナーじゃからここに来たんじゃ。決して従えられているわけではない!!」

「ああ、でも、ご主人様に言われると断れない!!従っちゃう!!そんなやつですね!!分かります!!」

「うるさいわ!!黙っとれ!!」


 そう言いながらも、レーチェは次々にキューブを破壊していく。あのあまりにも多かったキューブの大群が、レーチェ一人の手によって目に見えて減って行った。


『やはり、創世級とは厄介なものだな。だが、お前の魔法は、もう知っている』

「ほう、どうかのう?」


 俺には見える。レーチェ目掛けて、幻想級が放った破壊の魔法が迫って来ている。だが、レーチェはそれをホコリでも払いのけるかのように腕を振るって破壊した。


『相殺したか』

「相殺?もっとよく見たほうがいいぞ」


 そう、違う。レーチェは相手の破壊魔法を破壊したと同時に、キューブも残った魔力で破壊させていた。それも、幻想級が放った破壊魔法と同じ大きさの魔力を当てあって。


『……』

「ま、真似にしてはよく出来とるんじゃないか。破壊効率は、わしには及ばんようじゃがな」


 幻想級は、無言でキューブの量産と破壊魔法を放つ手数を上げる。しかし、皆とレーチェの前では、無意味であった。既に、俺達の破壊効率は、幻想級の魔法生成能力を上回っている。これなら、奴の魔法をすべて破壊するのも時間の問題だろう。


『……』

「幻想級。俺達の勝ちだ」

『いや、お前たちは忘れている。我が、何であるのかを』

「……」

『忘れたのか、人間。我は、創世級迷宮そのもの。そこの土の創世級すら封印していた迷宮だ。故に、その創世級の対処方法も知っている』

「むっ」

「なんだと?」

『知っているぞ。いくら破壊しようとも、それを超える速度の再生能力を持っていれば、お前は破壊しきれないことを!!』

「……」

「そんなことが、可能なのか!?」

「ああ、やつなら出来るじゃろう。だから、わしは今まで出てこれなかったんじゃ。破壊を使っても、壁が消えんかったからな」

『そういうことだ』

「で、だからなんじゃ?内側からならそうかもしれんが、今は、わしもお前の外側におる。全て、消し去ってしまえば再生も意味ないじゃろ。どう対処すると言うんじゃ?」

『そうだな。以前はそれで、檻を破壊された。だが、おかげで学んだぞ。全ての我が肉体に超再生の力を付加した上で、破壊を遅らせる手段を纏わせるべきなのだと!!』

「……」

『確かに、我の破壊魔法はお前の真似かもしれない。だが、お前の破壊魔法を防ぐことが出来ると、今ので証明された』

「ちっ」


 確かに、レーチェの破壊魔法とぶつかり合って威力をそいでいる以上、防ぐことも出来るのだろう。だが、完全ではない。それを、超再生能力でカバーしようというわけか。


「で、それでどうするんじゃ?お前が、死にづらくなっとるだけじゃろ。あまり意味はないぞ」

『いや、意味はある』


 そう言うと、奴の身体が変形し始めた。身体が砕けて、純粋な光の粒子になっていく。そしてそれが、大きな光の塊へと変化した。


『我自身を魔法として、貴様らを消し去ってやる』

「檻か」

『そうだ。貴様らを内に封印して、逃れられぬ状況下で破壊魔法を打ち込み続けてやる。そうすれば、お前たちとて死ぬだろう。逆に、お前たちは我を殺せない。星を失うことになるからな。故に、お前たちは捕まるしか無い。この檻にな』


 こいつ、自身を盾にしてこっちに突っ込んでくる気か。確かに、星を残したまま俺達は避けられない。あいつを破壊するしか無いが、それは星を破壊することにもつながる。破壊してもいけない、避けることも出来ない。確かに、最悪な攻撃だ。


『おわりだ』


 光の塊が、俺達へと近づいてくる。奴が動くたびに、宇宙空間が震えている気がした。そんな中で、キューブを破壊しながら全員が不安そうに俺を見つめる。皆の顔を見て、俺は口端をつり上げて顔に笑みを浮かべた。


「おわり?いや、それはないな」

『なんだと?』

「幻想級、お前こそ、忘れていることがある」


 俺は、胸を張って目を閉じた。その瞬間、皆が光の粒子となって俺の内に吸い込まれていく。能力で呼んだシリル、レーチェすらも同様だ。皆が、俺の内へと収納された。


『貴様』

「幻想級。俺達は、一つになれる!!!!」


 統一、剣神、無敵、変幻、夢想、極聖、幻惑、神速、魔弾、光龍、破魔、破壊。そして、俺の力が一つとなって、今ここに、最強の鎧を顕現させる。その瞬間、宇宙が割れた。


『!?』


 空間が切り裂かれた。合体の余波のみで。それは、ゆっくりと修復されていく。何事もなかったかのように。そして、残った光の中心に、俺達は居た。


「一体化」


 言うと同時に、光が晴れていく。そして、一体化した皆すべての力を併せ持ち、強化させ、その更に上に到達した鎧が、そこには存在していた。


「これが、幻想へと至った俺達の力だ」


 全ての属性を取り込み、全てを顕現させる。全てを破壊し、全てを守る。それは、あり得るはずのない幻想の力。しかし、それは今、この場に一つの鎧として存在していた。



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