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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第ニ章・一部 仲間を探して
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遭遇

 長い旅だった……。いやぁ、まさか帰ってくるギリギリまで、マリーさんに召喚魔法見せて。と言われ続けるとは、思わなかった。やはり、アリーの言うとおり、魔物にかなりの興味があるらしい……。でも、見せる訳にはいかない。最悪の状況が、発生してしまうからだ……。


「ふぅ、今回はお互いにとって、いい旅になりましたね。ノービスさん、カエラさん」

「ええ、そうですね。マリーさんには、馬車台も半分負担して頂いて。ありがとうございます」

「いえいえ、これぐらいなんてこと無いです。それよりも、今後共、娘をよろしくお願いいたします」

「ええ、それはもちろん!!こちらこそ、息子をよろしくお願いします」

「はい、アリーもいい彼を見つけられて、幸せものですね。二人のためにも、両家がいい方向に向かうように、共に頑張りましょう」


 親同士の挨拶が済んだようで、マリーさんがこっちに向かってくる。


「それじゃあベイ君、また会える日を楽しみにしてるわね」

「はい、お義母さん」

「!!うーん、やっぱりいいわね。あの人達が反対しないなら、今からでも家で同棲させてあげるんだけど……。まぁ、いずれいつでも呼んでもらえるようになるわよね。それまで、元気でね!!」


 マリーさんは、ぎゅっと1回俺を抱きしめると、離れていった。そのまま続けて、アリーに抱きしめられ、軽くキスをされる。


「じゃあ、ベイ。私も家に戻るわ。またね!!」

「うん、待ってるよ。アリー」


 お互いに、数秒間抱きしめあって、離れる。アリーとマリーさんは、そのまま歩いて帰っていった。


「……うーん、しかし、ベイがあんな強いとわな」

「びっくりだったわね……」

「……」


 まだカエラとノービスからは、驚きが抜けていないようだ。でも、俺が魔法の練習をしているとは言ってあるし、そこまで深く追求はしてこないだろう。うちの親のいいところだ。さて、まだ夜まで時間がある。色々と準備もしたし、聖属性聖魔級迷宮・入り口付近まで、転移距離を伸ばそうかな。皆の魔石も強化したし、ストックの魔石もできた。途中から、フィーも手伝ってくれて、早く作業が進んだおかげだ。まだ、他属性の魔力に不慣れなところがあるみたいだが、フィーならすぐにものにするだろう。これで、今のうちに行けるようにしておけば、明日の朝から迷宮攻略に行ける。そうと決まったら、まずはこの長旅の荷物を置いてこよう。俺は、両親と久しぶりの我が家に入っていった。



「はぁ~、なんで私は、魔法が撃てないんでしょうか……」


 そう言いながらミエルは、何度目かの魔法を撃つ訓練をする。腕を突き出して、魔力を集中させる。腕の先から、光の弾丸が出るはず、が、出なかった。生まれてからずっとこんな感じな彼女だが、諦めることも無く、今の今まで頑張ってきた。お陰で、魔力を操るまではうまく出来るようになった。だが、どうしても魔法の発動までいかない。だが、依然として、彼女は練習を欠かさなかった。


「おっと、いましたね~。探したっすよ。また迷宮の外に出て練習なんて。危ないじゃないっすか」

「ひゃいいいい!!サエラ、シスラ……。ビックリしたぁ……」

「全く。そんなにビビるなら、迷宮内で練習すればいいじゃないっすか。別に、今更ミエル様が練習してても、誰も変な目で見ませんって……」

「で、でも……」

「シスラ、それは無理な話よ。上級の私達ですら魔法を使えるのに、聖魔級生まれのミエル様が魔法を使えないんだもの。いつまでも、変な目で見られるわ。残念だけど……」


 その言葉に、ミエルはその場に足を抱えて、うずくまってしまった。


「うううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ、ひっぐ……。なんで私が、こんな目に……」

「はいはい、元気だして頑張りましょうね、ミエル様~。なでなで~。ほら、サエラ、貴方がキツイこと言うから、ミエル様が悲しんでるじゃないっすか!!」

「ええ~、私のせい!!!ご、ごめんなさいね、ミエル様。ほ~ら、なでなで~」

「うううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」


 数分間の二人の撫でによって、ミエルはようやく、魔法の練習を再開した。


「と言うか、あれっすねぇ……。ミエル様も頑張って練習してますし、うちらも何かした方が、いいかも知れないっすね」

「うーん、そう言われると。別に階位は下じゃないから、急いでする必要はないと思うけど……」

「と言うか、世知辛いっすよねー。階位が下の者から、魔力を完全に吸い取るなんて……。まぁ、先の聖戦に絶対必要という話っすけど、本当なんっすかねぇ?」

「昔に、上の方たちが遠征部隊を出して調べたらしいから、間違いないと思うわ。創世級なんて、私達では、強さも想像すらつかないわね……」

「私達もお陰で、毎日魔力をあの変な石に貯めないといけないし。階位の低いものは、全魔力を捧げることになるし……。はぁ……、辛い世の中っす……」

「オルヴィアの石……。あれさえ無ければ……」


 オルヴィアの石。それは、120年ほど前に、多くの聖属性魔物の魔力を結集して作られた、巨大な魔石である。その中には、今に至るまでの、聖属性魔物たちの魔力が蓄えられていて。解き放つことで、絶大な威力を発揮する。創世級に対抗するための、魔力兵器である。


「でも、アレ作るために、オルヴィア様が死んでしまったのが、一番の原因じゃないっすかね?後の連中が、こんなこと考えなければ……」

「創世級の力を知ってしまった方が、多かったみたいだから……。怯えているんでしょう。毎日、皆の魔力を集めるだけじゃあ、足りないと思っているのよ」

「うーん、厄介なことに、そういう連中だけ今の今まで生きてるんすよねぇ……。犠牲を出しても、生き残ろうなんて。そこまでしないと、勝てない化け物に向かうぐらいなら。私は、今をゆっくり生かさせて欲しいっすね~」


 そう言うと、シスラは空を眺めた。2人の会話には参加せず、ミエルはひとり黙々と練習をする。


「あの、ちょっと良いかな?」

「え?」

「ひゃいいいい!!!!」

「……えっと、どちら様ですか?」

「ああ、そんなに気にしないで、ただの通りすがりだから……。ちょっと気になったもんで」


 ベイは、腕をひらひらと振って、敵意がない事をあらわしながら、ミエルに近づいて行った。


「もしかしてだけど、魔法が使えない?」

「え、は、はい」

「うーん、ちょっとやって、見せてくれるかな」

「わ、分かりました……。えいっ!!」


 そう言うとミエルは、先程のように魔法を発動させてみせる。やはり、光の弾丸は発射されない。


「ああ~、なにかおかしい……」

「え。そ、その、おかしいとわ……?」

「魔力を、変換するまではいいんだ。だけど、属性に変化させた時点で、魔力がいきなり消える」


 そう言うと、ベイはミエルの腕を、自分の腕で触った。ミエルの顔が、わずかに赤くなる。


「あうう……」

「あの~、もしかして、原因が分かるっすか?」

「多分、だけどね。どうする、治そうか?」

「……えええええええええええええええ!!!!ほ、本当ですか!!!!」


 ミエルは、大声で叫んだ。何年も無理だと思っていたものが、治ると言われて。ミエルのテンションは、一気に最高潮に達した。


「ま、待ってください!!二人共。そんな見ず知らずの人を、いきなり信じるのわ!!」

「サエラ……。私には、この人が嘘を言っているようには感じません。それに治るなら、私は、これ程嬉しいことはありません!!私の前に、この人が現れてくれた……。これもきっと、何かの縁!!私は、この人を信じようと思います!!」


 ミエルは、ベイの顔を見て、力強く頷いた。治療をして欲しいと。サエラもシスラも、やれやれといった感じで、2人を見守ることにした。




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