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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
最終章・一部 真の救世主
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見出された勝機

 さっきからストレスがやばい。予定になかったのですが、こんな暴露。予定では、アリーが創世級迷宮の攻略をすることを告げる。俺達の今の実力を見せる。承諾してもらうという流れだったのですが、そこに来て我が嫁のアリーさんの一大暴露。その上、俺を救世主だという。い、胃が痛い。なんか変な汗が出てくる一歩手前ぐらいでやばい。具体的に言うと恥ずかしい。ああ~~、早く開放してくれ。この晒し者状態から。


「創世級迷宮を、攻略するだと?しかも、目の前のベイ・アルフェルトが?笑わせるなアリー。出来るはずがない。何故なら、人間は創世級迷宮に近づいただけで死ぬのだから!!」

「……お祖父様とは、後日また話し合う必要がありそうですね。ですが、そう思うだろうと想定していました。むしろ、そう思うべきだと思います。ですが、言われるとかなりムカつく。なにより、ベイをけなされている気分でかなりムカつく。お祖父様、言葉遣いを考えて下さい」

「……す、すまん」


 静かな物言いだが、アリーから謎の圧力が出ている。怖い。俺の嫁怖い。でも可愛い。好き。


「では、そろそろ皆さんも気になっていることでしょう。創世級迷宮の攻略。そんなものが可能なのかと」


 見渡す限りの、観客全員がその言葉に反応をしめす。そのまま頭を縦に振って頷くものが多い。次には、身じろぎすらせず俺達を見てアリーの言葉を待っている者たちが多いかな。それ以外は、他と話をしだしたり、首を横に振って半ば諦めたような顔をするものが居た。


「皆さんも、疑問でしょう。そもそも、創世級迷宮の魔物を知りもしないのに、何故攻略可能と言えるのか。誰が、その判断をしたのか。では、その判断をした人にご登場いただきましょう」

「おっ、出番じゃな」


 そう言って、アリーの後ろの席からレーチェが、会場中央へとジャンプして移動した。


「ご紹介しましょう。彼女は、我が家の自宅警備員兼、農業担当です」

「レーチェデカブラじゃ。よろしくな。わしが、ベイ達が創世級に勝てると判断をした」

「……誰だ?」

「ま、そうだよね」

「やはり、あれは……」


 会場が、レーチェを見てざわめく。その言葉を遮るように、アリーが言葉を続けた。


「皆さん、そもそも創世級迷宮の魔物を見たことがありますか?見たことがありませんよね。ですが今、それは皆さんの目の前に居ます。嘘でも、でっち上げでもなく事実として」

「は?」

「嘘だろ。創世級迷宮の魔物なんだぞ。近づいただけで死ぬはずだ」

「ほう、死にたいのか?」


 その瞬間、周囲の空気が変わった。観客席の全員が、まるで急激なめまいに襲われたかのように弱々しくなっていった。呼吸も辛そうに喘ぎ、視線をレーチェからそらす。だが、気づいたのだろう。いや、気付かされた。そう、目の前にいるのは化物だという事実に。


「この程度で情けないと思わんか。のう、ベイよ」

「そのぐらいにしておいてあげて下さい。アリー達は、この程度なら汗をかくぐらいで耐えられますが、ニーナが苦しそうです」

「ふっ、分かった」


 その瞬間、空気が元に戻る。だが、全員のレーチェを見る目は変わってしまっていた。怪物、化物、神。どのように客席に居た彼らには見えていたのかは分からない。だが、全員の怯えがその場にいる俺達には分かった。


「ほ、本物なのか?」

「あれで偽物だと言われても、俺は認めないがな」

「お祖父様、あれは、ここに居て良いものなのですか?」

「それを決めるのは、俺達じゃない。レーチェさんだ。しかし、俺もまだまだ若かったな。まるで赤子に戻ったかのような空間だった。ここまで、この年になって実力の差を感じることがあるとはな」

「なに、気にするな。お前よりも長生きしとるからの」

「そいつは、嬉しいお言葉だ。俺より若かったら、歯を食いしばって血反吐吐いてるところだぜ」


 ライオルさんは、そう言って拳を力強く握りしめている。色々と、ライオルさんの中で心がざわついているのだろう。なんだかごめんなさいライオルさん。代わりに、心で謝っておきます。


「クッ……」

「ありえん」


 ガンドロスとジーンは、震えている自身の手先を見ているな。でも、そこで笑っているところがあの二人らしい。ほんと、お二人とも強さを追い求めることが好きですね。


「さて、これで分かって頂けたでしょうか。レーチェデカブラは、創世級迷宮の魔物です。その中で、土の力を持っていた。しかし、彼女が居なくなったことで土の迷宮部分は崩壊。そして、そこを私達の夫のベイが確保しました」

「うむ。捕まったぞ」


 サンドイッチあげただけだけどな。


「さて、そのレーチェさんが言うには、我が夫ベイ・アルフェルト達は、創世級迷宮を攻略できるということなのですが」

「うむ。出来るじゃろうな。勿論、リスクは有るが」

「そのリスクとは?」

「創世級というのはな、ある意味で魔法の到達点に立っている者のことでもある」

「つまり」

「決して確実に倒せるという相手ではないということじゃな。死ぬ可能性もある。当たり前じゃがな」

「でも、勝てると判断したのよね?」

「ああ、したとも。ベイを見てな」


 そう言って、レーチェが俺に視線を向ける。観客の視線も、俺に集まった気がした。


「さて、ではその前に、創世級迷宮の攻略法を説明いたしましょう。今、中央に立っているベイ以外の仲間の彼女たち。その彼女たちの中で、選ばれた者のみが、創世級の魔物と一対一であの迷宮内部で戦います」

「は?」

「その中に、ベイ達も入ります。そうすると、二対一で戦える戦場が出てきます。その戦場からベイ達が創世級を倒していき、最後に全員が合流。残った最後の一体を倒して、創世級迷宮の完全攻略となります」

「ちょ、ちょっと待て。眼の前にいる女性たちが、単独で創世級の魔物を相手にすると言ったのか?それも、残っている属性ごとに」

「ええ、そうです。彼女たちが創世級の魔物を殺します。勿論、ベイと協力して」

「ば、馬鹿な。そんな人間が、こんなにいるはずが!!」

「ええ、そうですね」


 アリーは、それ以上言葉を続けなかった。そこで言葉を区切り、会場中央に目を向ける。


「だが、彼女たちはいる。レーチェが居ない今、残る属性は火・水・風・雷・聖・闇の6種類!!その創世級の魔物を相手にするのが、カヤ、ミズキ、カザネ、シデン、ミエル達、そしてレム。彼女たちが、創世級の相手をします。そして、創世級を討ち滅ぼす!!」

「……一部、複数いるようですが?」

「それは後で見せるから、その時に分かるわよ。一対一ってことの意味がね」


 アリーは、シアにそう言って話を続ける。


「じゃあ、そろそろいいでしょう。皆、その力を見せてもらえるかしら。ここにいる全員に」


 そのアリーの言葉に、フィー達は待ってましたとばかりに位置を移動して身構えた。



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