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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
最終章・一部 真の救世主
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レーチェデカブラ ~封印から解き放たれた獣~後編

「ミルク」

「は、はい、ご主人様!!」


 ゆっくりと手を伸ばして、ミルクの肩に手を置く。ああ~、細いな。それでいて愛らしい。


「ご、ご主人様?」

「ミルク」

「は、はい」

「好きだ」

「は、はい!!私もで、んむむぅ!!!!」


 そのまま、俺はミルクの口を自分の口で塞いだ。ミルクの体温が、口を通して俺に流れ込んでくる。うまい。頭の中に甘い痺れが広がるのを感じる。だが、まだ満足できない。もっと、もっとだ。


「ご、ご主人様!!ちょっと、ちょっと待って!!んぶっ!!」


 俺は、ミルクを逃さない。本気になれば、ミルクは俺なんて余裕で振り払えるのだ。つまり、これは拒絶ではない。だから、俺はミルクを離さない。唇を絡め合いながら、俺はミルクの体を撫で回す。そうしていると、徐々にミルクの体から力が抜けていき、最終的に顔を赤く染めて全身から力を抜いたミルクが出来上がった。俺は、そんなミルクを肩に担ぐ。


「べ、ベイよ。お主……」

「レーチェ」


 俺は、ゆっくりとレーチェに向かって視線を移した。


「待て!!何をする気じゃ!!」

「……」


 一歩ずつ詰め寄る。俺が一歩踏み出すごとに、レーチェは壁際へと一歩下がった。しかし、それもすぐに壁へとぶつかる。そのまま、俺はレーチェへと近づいていった。


「レーチェ」

「な、なんじゃベイよ!!そう顔を近づけるな。近すぎるぞ!!」

「……駄目か?」

「駄目かじゃと!!お前とわしは、ただの仕事上の付き合いでしか無い!!駄目に決まっとるじゃろうが!!」

「そうか。じゃあ、駄目だったら押しのけてくれ」

「なっ!?」


 レーチェの顔に、俺は顔を近づけていく。レーチェが横を向いて逃れようとするが、俺を押し返そうとはしない。俺は、レーチェの顔に手を添えて、俺と向かい合うように、顔の向きを変えた。


「良いよな?」

「!?」


 レーチェの唇に、自分の唇を近づけていく。そして、ふたつの唇が触れ合った。


「んっ」


 俺は、レーチェを壁に押し付けながらキスをする。それと同時に、ミルクにしたようにレーチェの体も撫でさすった。


「ま、待て!!ベイ、お前にされると、ただの撫ででは済まな!!ああああ!!」


 言葉を、唇で塞ぐ。数分後、ミルクと同じように力なく顔を赤く染めたレーチェが出来上がった。


「……」


 そのまま、俺は2人を連れて寝室へと向かった。


~数分後~


「……アリー達は、研究用の部屋かな」


 寝室から一人出て、俺はアリーの居るだろう部屋を目指す。まだ、体から熱が消えない。熱に突き動かされるように、俺はアリーを求めて部屋へと移動した。


「アリー?」

「うん、どうしたのベイ?顔、ちょっと赤いわよ」

「本当だ。ベイくん、大丈夫?」

「回復魔法、使いましょうか?」

「ベイ様、お体は、大丈夫ですか?」


 そこには、アリー、ヒイラ、ニーナ、ロザリオが居た。俺は、全員を見回す。


「ありがとう。大丈夫だよ。一応ね」

「そう?無理はだめよ、ベイ。少し、休んだらどうかしら。今日ぐらい、休んでもバチは当たらないわよ」

「そうだね。今日は、休もうかな」

「じゃあ、何しましょうか。一緒に、読書でもする?」


 よく見ると、皆、魔導書を読んでいたようだ。良いお誘いだな。でも、今日はもっと別のことがしたいんだ。


「いや、アリー。ちょっとしたいことがあるんだ。手を貸してくれないか?」

「うん、何かしら、良いわよ」

「皆も、お願いできるかな」

「うん、良いよ」

「はい」

「勿論です!!」


 そう言って、俺は皆と寝室に移動した。数十分後、俺はまた一人で寝室から出てきた。


「フィー達は、訓練で中庭かな」


 何故だか分からないのだが、いつも以上に体に元気が漲っている気がする。それ故に、まだ俺の熱はひかない。頭がまだ、お風呂の中にいるみたいに熱く、満たされないのだ。だから俺は、庭に行って、そこにいた残り全員を寝室へと来てくれるように誘い。そっと、寝室の扉を締めた。


「い、いかん。何故、こんな事に……」


 力なく、寝室の扉を開けて、レーチェが出てきた。


「だから駄目なんじゃ。ベイの魔力は、周りの魔力に合わせる性質がある。つまり、他者の肉体にもよく浸透するんじゃ。本来なら、別の波長の魔力は、容易には他の生物の肉体に入ることがない。だが、ベイの魔力は別じゃ。それを無視して浸透し。そして、直接他者の神経をくすぐる。つまり、直接神経を撫でられるようなもんなんじゃぞ!!あんなの、誰が耐えられるんじゃ!!無理じゃろ!!常識的に考えて!!」


 そこまで言って、レーチェは力なく廊下に座った。


「早く、逃げねば。ベイが、満足しておるうちに」

「……レーチェ」


 俺は、廊下に居るレーチェに声をかけた。


「あ、あああ。ベイよ。待て、もう無理じゃ!!もう無理!!」

「大丈夫」


 そう言って、俺はレーチェを抱き上げた。


「大丈夫じゃない!!大丈夫じゃないぞ!!」

「大丈夫だから」


 そして、レーチェを連れて寝室に入ると俺は、ゆっくりと寝室の扉を締めた。その日、全員が明日の朝になるまで、寝室から出てくることはなかった。


*****


「本当に申し訳ない」


 男ベイ・アルフェルト。堂々たる土下座を決めた。朝になると、すっかり気分が落ち着いていて、申し訳なくなったためだ。 


「ベイ。いいのよ。その、嬉しかったし……」


 そう言って、アリーは顔を赤らめる。ありがとうございます、我が妻アリーよ。


「でもアリーちゃん、こんなこと初めてじゃない?何か、原因が……」

「……」


 ヒイラがそう言うと、ミルクがとある人物を見つめる。その視線に全員が気づき、レーチェを見つめた。


「……すまん。わしのミルクのせいじゃ」


 その後、何故か検証のために、レーチェと例の部屋に入ることになった。そして、問題の物質を持ち帰った。


「これがねぇ~」

「どうする?」

「飲むわけにはいかないし。どうやって調べようかしら?と言うか、状態異常ならミズキの能力で治るんじゃなかったの?」

「……つまり、これは媚薬のたぐいではないということです」

「うん?」

「要は、めちゃくちゃ栄養価の高い飲み物。と、言うことだと思います」

「つまり、興奮作用は体がめちゃくちゃ元気になったせいで出たもので、別に異常ではないと」

「だと、思います」


 そう言えば、体がめちゃくちゃ軽いな。それのせいか。


「つまり、ベイがああなったのは、欲求不満過ぎたからと?」

「……そうなりますね」

「……」


 取り敢えず、土下座をしておこう。土下座した。そして、深く反省した。


「ふむ。ライアさんが、実家に帰っているタイミングでよかったわね」

「そうだね」

「今度から、マスターの為に、もっとがんばります!!」

「フィー姉さん、私達もお供します」

「すみません、ご主人様。私がいながら、これほどとは」


 いや、君達は悪くない。ただ、美少女なだけだ。そこに、なんの悪いことがあろう。俺はそう思う。


「……取り敢えず、返してもらおうか。それは、わしのじゃからな」

「そうね。悪いものじゃないみたいだし、どうぞ」

「うむ。……とんでもない獣を解き放ってしまったようじゃな」

「それで、それはどうするんです?」

「……気が向いたらとしよう。ベイにな」

「……あんた、そろそろご主人様と契約しませんか?」

「せん。わしは、一個人に扱える力を持っておらんでな」

「……損な生き方してますねぇ」


 取り敢えず、俺はもうちょっと土下座を続けることにした。



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