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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
最終章・一部 真の救世主
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ロロ&ジャルク ~新年・族長決定戦~後編

 妖精の迷宮攻略から数日間。俺達は、魔力を伸ばすために外殻を作る訓練を続けていた。ただ、それをやると俺を含めてみんな倒れてしまうので、外殻を作る訓練は主に寝る前などに行われる。それ以外は、戦闘訓練などが主流だ。


「ふんぬ!!」


 正直に言うと、ロロとジャルクは外殻を作れるレベルまで魔力コントロールの練度が高くはない。だが、俺と魔力で一体になったことにより、俺がその操作を手伝うことが出来る。アルティが進化して補助をこなしてくれているのもあって、今は今までよりも周りを手伝う余裕ができた。ただし、毎回倒れるように寝てしまうのは変わらない。ギリギリまで自分たちを追い込む訓練だからな。そこだけは、どうにも出来ないところだ。かなり辛いので、そりゃあロロも幼女らしからぬ掛け声で気合を入れるわな。


「……グッハアアアア!!!!今日は、ここまでにするか」


 俺は、目を見開いて辺りを見回す。全員、全身汗だくでその場に座り込んだ。勿論、俺もだ。アルティが、回復魔法を使って全員の体力を回復させる。そして重い体を引きずって俺達は風呂へと入り、そのままベッドに倒れ込んだ。それを、俺達は新年まで続けた。


「ふむ、ロロ達の魔力量も、そこそこ増えたようじゃな」

「おっす!!」

「クァ~~!!」


 レーチェの言葉に、ロロ達は答える。それを見るとレーチェは、俺を手招きした。


「どうした、レーチェ?」

「ベイよ、こやつらに教えてやってくれんか」

「何を?」

「お前達のような、鎧の作り方じゃ」


 その訓練が実って、2人は今に至る。俺が直接魔力で作り方を指導できるのが良かったのか、2人はあっという間に鎧を作れるようになった。ただし、魔力量が増えたと言っても2人の鎧を纏っての最大行動時間は二十分だ。それ以降は、魔力切れとなる。まさに、最後の切り札だ。


「いくぞ、ジャルク!!」

「クァ~~!!」


 ロロを乗せたジャルクが、族長に迫る。だが族長は、ニヤリと笑うとその体を輝かせた。


「クァ~~!!」


 ジャルクが、族長を踏みつける。だが、族長は潰れていない。代わりに、光り輝く鎧を纏った族長が、ジャルクを押し返した。


「クァ~~!?」


 ジャルクは、空を飛んで後ろに後退する。それを、族長はただ眺めていた。族長の鎧は、鉱物的な部分もあれば、炎のように揺らめいている部分もある。ライオルさんの鎧に近いような気がする鎧だ。まるで、魔法と気が合わさってできたような、そんな鎧だ。


「流石、族長」

「この程度かい、ロロ」


 ロロが、ジャルクの突進に合わせて族長に薙刀を振るう。だが、族長は強い。ロロ達の攻撃が、全て見切られている。ロロの攻撃も、ジャルクの魔法も当たる気配がない。流石、相棒を失おうとも未だに頂点に君臨する者だ。その技術、微塵もすきがない。


「その鎧、パワーはあるようだが。君達はまだ、扱いきれていないようだな。動きが大振りすぎる。そして、それほどのパワーだ。長くは維持できまい」

「……」


 流石すぎる。その読みは当たっている。今のロロとジャルクにとって、族長という試練の壁は高い。何故ならば、攻撃がかすりもしないのだから。残念だが、このままでは勝てない。このままでは。


「……やるしか、ないか」

「クァ~~!!」


 ロロは、攻撃する手を止める。そして、ジャルクが羽ばたいて族長から距離をとった。


「諦めたのか?」

「まさか。私達は勝つ。夫が待っている。だから、勝つために切り札を使う」

「切り札?」

「まだ、成功したことがない。だが、今使わなくていつ使う。だから使う。私とジャルク。ここに、真の力を示す」

「クァ~~!!」


 その瞬間、ジャルクの鎧が崩壊した。崩壊したジャルクの鎧は、ロロの鎧の周りをぐるぐると回っている。そして、その中でロロの鎧が光を放っていた。


「成してみせろ、ロロ。勝利を掴め」

「今の私達では足りなかった。今朝も出来なかった。だけど出来る。私達は勝たなくちゃいけない。夫のために、師匠のために、そして私達のために。今、この瞬間の魔法に全てを乗せて、私達は命すら賭けてここに勝機を顕現させる!!」

「クァ~~!!」

「何を、する気だ!!」

「命、燃やすぜ!!」

 

 光が、ロロとジャルクを包む。そして、その鎧を合体させていった。ロロの鎧に、ジャルクの鎧のパーツがくっついて行く。胸に竜の頭が、背中に竜の羽が、そして竜の尻尾がついた。肩には巨大な一本のドラゴンキャノンを背負い、ロロは地面に降り立つ。


「私達は、今こそ一体となった。2人で一人のドラゴンライダーだ。族長、この姿は、長くは維持できない。だから、すぐに決着を付けさせてもらう。最初から、クライマックスで行くぞ!!」

「ああ、行こうロロよ!!勝利を、私達の手に!!」

「?」

「?」


 聞いたことのない、女性の声が響く。えっ、これってまさか。


「ジャルク?」

「そうだけど」

「……わぁ~お」

「……ともかく、行くぞ!!」

「そ、そうだね。さぁ、ショウタイムだ!!」


 竜の羽を羽ばたかせ、ロロが飛び立つ。その飛行速度は、先ほどとは比べ物にもならないほど早い。わずか一度の突進で、ロロ達は族長を殴り飛ばした。


「グアアアアア!!!!」


 しかし、流石族長。攻撃をガードしてダメージを最小限に抑えている。しかも、空中で体を捻ってダメージを逃した。流石だな。


「決める!!」

「フィニッシュタイムだ!!」


 ロロは、新たな薙刀を出現させた。それに呼応して、腕についていた竜の爪が宙を舞う。それらが族長に向かって飛んでいき、逃げ場のない魔力の結界を形成した。


「これは!?」

「族長、素早い。でも、これで終わり」

「族長は攻撃力が低い。防御も脆い。その技術はすごいが、勝利は私達がもらう!!」

「必殺、シャインジャルクブレード」


 そうロロが言うと、ドラゴンキャノンから光が照射されて薙刀に纏わり付き、大きな刃を作り上げた。


「覚悟!!」

 

 刃を構えて、ロロが族長に迫る。そして、体を捻ると族長の目の前で一回転した。


「と、見せかけて、ジャルクドラゴンテイルアターック」

「グアアアアアアアアア!!!!」


 しっぽだ。しっぽでロロは、族長を吹き飛ばした。それは、族長の回避動作に合わせたカウンターだった。やるじゃないか、ロロ。


「えっと、こういう場合は、お前、遅かったな。だったっけ?」

「何はともあれ、私達の勝利だな」


 族長は、だいぶ先の地面にめり込んでいる。これは、勝利でいいだろう。


「勝者、ロロ&ジャルク!!」

「ブイ」


 ピースをして、ロロ達は鎧を解除する。そして、その場でロロは、ジャルクを抱き上げた。


「やったぞ、ジャルク」

「クァ~~」

「……どうしたジャルク!?喋れ!?」

「クァ~~?」


 どうやらジャルクは、合体しないと喋れないようだった。

 

 

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