疲労
「ふむ、しかしですね。自然に進化していただくというのも、それはそれで損な気がします」
「というと、私達はどうすれば良いんだ?」
「ローリィさんたちは、全属性属性特化一体化の力を感じておられたと思います。出来れば、あれを次の力の目安としていただきたいですね」
「……あれをか?」
「はい。ローリィさんは、一部分とは言え属性特化一体化に混ざられましたから。あの部分はああなると思います。ですが、他もあれ程のパワーをイメージしてください」
「中々、難しいことを言う」
「それが、最終的には強い力になるはずです。その方が、我々には良いでしょう」
「まぁ、そうだな。妥協するよりは良いか」
「そうです。ロロさん達も、大丈夫ですか?」
「了解」
「クァ~~」
どうやら、二人共理解できたようだ。
「となると、私達もその外殻を作るとやらをしたほうが良いわけだな」
「はい。そうなりますね」
「……死にそう」
「クァ~~」
「……お主らは、ベイにサポートしてもらえ」
レーチェが、そう言って目を瞑る。レーチェも、二人が死ぬかも知れないと思ったのか。……全力でサポートしよう。
「私も、出来る限りサポートさせていただきます。創世級になりましたからね。お任せください!!」
「そう言えば、今日はいつもより疲労が少ない気がしますね」
「私のサポートのお陰です。と、言いましても。いつもよりはというだけで、皆さん結構疲労してらっしゃいますから、そこは勘違いなさらないでください。今までよりマシ、ってだけです」
「……なるほど。大きな疲労に身体が身構えていた分、まだ大丈夫と身体が判断してるだけってことですか」
「そういうことです。すぐに眠くなってくると思います。何時も通り」
「そうか。なら、ベッドに行くか」
「……エロいですよご主人様。そのお言葉」
「……皆、添い寝してくれるかな?」
「「「「勿論です!!!!」」」」
皆が、元気よく返事をしてくれる。 ……言われた通り、ベッドを意識すると、とたんに眠くなって来た気がした。倒れる前に寝よう。そう思い、俺達は寝室へと歩いていった。
「おやすみ、ベイ。皆」
「創世級かぁ」
「レーチェさんは、どう思う?」
「ふむ。それが正しいとすればじゃが、まず新しい迷宮が生まれることはなかろう。そんな力を感じん」
「じゃあ、創世級迷宮から出てくるって方は?」
「それもなかろう。わしみたいに、頭がいいやつはおらん。連中は、協力なんぞもせんじゃろうしな。迷宮が壊れるまでは、出てこれまい」
「じゃあ、ただの勘違いかな?」
「どうじゃろうな。ただ、まだ可能性はある」
「可能性?」
「意図的に創世級迷宮を作る方法じゃ。これは、人類が過去にやっておる。しかし、それは檻を作っただけ。創世級を生み出すとなれば、もうひと手間居るじゃろうな」
「なるほど。それは、阻止しないとだね」
「もう一つある。それは、元から居るものが、創世級並みの力を身につけることじゃ」
「元からいる人が?」
「なぁ、そうじゃろう、アリーよ」
「……さぁ、どうかしらね」
そう言うと、アリーは笑みを浮かべた。
「ふっ、そうなる可能性が高いということか」
「えっと、つまりベイ君達が?」
「そうじゃな。さて、どうなるか……」
時の流れは過ぎていく。滅亡の日は、迫りつつある。しかし、未だ敵に抗う力を、ベイ達は持っていると言えない。レーチェは、ベイ達が休んでいる寝室に目を向ける。そして、目を瞑ると少し微笑んだ。
「……お前たちも、寝てきたらどうじゃ?」
「おお~~」
「クァ~~」
大の字で寝転んだまま、ロロとジャルクが返事をする。
「私が連れて行こう」
その二人を、何かの黒いアームがわしづかんだ。そして、浮いている胴体部分に二人を乗せる。
「……なんじゃそれは」
「これか?これは、移動式浮遊砲台だ。アーム付きのな」
そこには、謎の黒い円盤に乗ったローリィが居た。その円盤の両端には、黒い大きな砲銃が付いている。そして、その先に黒いアームが付いていた。
「あれ、出来るようになったんだ。それと、私のデザインと違わない、それ」
「アリーさん、私は、ベイ・アルフェルトと一体になったのだ。その時、この大砲を手に入れた。それが、この円盤に力として作用しているのだ。ゆえに、これに合わせてデザインも変える必要がある。よって、こうなったんだ」
「……まぁ、強そうだし良いわ」
「感謝する」
そう言うと、ローリィは二人を連れて、器用に円盤で家の中に入っていった。
「……家のドア、大きくて助かったわね」
「ほぼ垂直になっておったがな。入れるもんじゃ」
「……さて、ご飯の支度でもしましょうか」
「ベイ達のために、今から作っておくのか?」
「そうよ」
「……手伝おう」
「あんたが?料理できるの?」
「ふっ、これでも創作料理を研究したこともあったんじゃぞ。任せい」
「あら、頼もしい。それじゃあ、お願いするわ」
「ふふふ、見せてやろう。わしの、玉ねぎの蒸し焼きを」
「……美味しいのかしら?」
そう言うと、アリーとレーチェ達は、台所へと移動した。




