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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・八部 ???? フィー編
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進化できそう?

「うん、そうなんだよ。創世級……」

「……あれ?あまり驚いて無いみたいですね、ライアさんは」

「う~ん、なんていうかさぁ、言い方が曖昧なんだよねぇ。出るかも?みたいな」

「かも?」

「そう、かも。占いの人が言うには、一年後くらい?みたいな感じらしいんだけど、詳細は不明だね。ただ、かもってだけ」

「でも、実際にレーチェが出てきていますから。油断は出来ないんじゃあ」

「ああ~、そうかもね。でも、なんかそういう言い方じゃなかったよ。なんだっけ。誕生するだったかな?そんな言い方だった」

「創世級が」

「誕生するですか」


 どういうことだ。新たな迷宮でも、生まれるっていうのか? そう考えていると、玄関から誰かが勢いよくドアを開けて出てきた。


「ベイ、おかえり~!!」

「ああ、アリー。ただいま」

「おかえり、ベイ君」

「おかえり~!!」


 アリーだった。他の皆も、出てきて出迎えをしてくれる。ありがたいことだ。


「あ、アリーちゃんにも言っとこうかな。なんでも、一年以内に新しい創世級が誕生するかもって話らしいんだけど」

「……ああ~、なるほど。気にしなくて大丈夫ですよ。たいした事にはなりません。それよりも、皆は無事に神魔級に進化できた?」

「それよりもって」

「アリーさん、生まれたてかも知れないとは言え、創世級ですよ。出現する地域によっては、その土地が破壊されてしまうのでは?」

「……まぁ、大丈夫でしょ。大丈夫、大丈夫」


 アリーのその自信の根拠は、なんだろうか。アリーも、魔力の流れを見て未来を予測できるからな。だからそう言ってるんだろうけど、発言を聞く限り、ちょっとアリーも曖昧な感じかな? ……まぁ、アリーがそう言うんだし、今は信じるか。


「そう言えば、皆進化してないな。そのために、今まで戦ってきたのに」

「そうですね」

「アルティちゃん、どう?」

「結論から言いますと、皆さんが全属性特化一体化をし、マスターと魔力で繋がったことによって、かなりの量の問題がクリアされました」

「おっ、つまりもうすぐ出来ると?」

「……それは、ちょっとまだ先になるかも知れません」

「えっ?」


 どういうことだ。創世級になったアルティでも、クリアできない問題なのか?


「今の所、条件は満たされています。しかし、ある一点で足りていないものがあります」

「一点?」

「どんな問題?」

「単刀直入に申しますと、魔力です」

「はっ?」

「えっ、私達の魔力が足りていないんですか?」

「そうです」

「こんなに強くなった、私達でも?」

「……申し訳ございません。大変言いづらいのですが、属性特化一体化をしたせいです」

「ぬっ、なんでそうなるんだ、アルティ?」

「属性特化一体化は、はっきりと言えば新たな進化に似て非になるもの。つまり、次の進化の目安でもあるのですが。ある意味それは、不完全体という扱いになります」

「えっ、あれで不完全体?」

「そうです。実際には、マスター抜きであの形態を維持するということになるわけですから、今のままでは不完全です」

「ああ~、なるほど。私達のみでってことですか」

「そうです。つまり、皆さんが今の皆さんの力を合計した魔力量に一人ずつが達するまで、進化できないということです」

「……えっ。無理じゃないですか?」

「出来るの?」

「……望みはあります」


 俺達が、今の俺達の合計分の魔力を一人で持つかぁ。これは、あれをするしか無いな。


「外殻を作ります」

「ここに来て、魔法修行ですか!!」

「ええ。しかし、それさえ達成できれば、今度こそ皆さんは進化できます。これは、確実です」

「……なんともまぁ~。血の滲むような、訓練になりそうです」

「そうだね」

「……あれはきつい」


 レムさんが、きついと言っておられるぞ。かなりやばいって意味だ。 ……まぁ、やるけどね。


「ふっ、ベイはやる気じゃぞ。お主らが、弱気でどうするんじゃ」

「そ、そうですね。頑張りましょう!!」

「お~!!」

「お~!!」


 とは言っても、フィー、レム、ミルク以外は難しい顔をしている。あれは、やる気はあるが、どこまで出来るか不安がある表情だな。ミズキあたりは、コツを掴めば一発だろ。なんだかんだで、みんな俺よりも魔力コントロールで優れているところがあるからな。慣れれば一気に成長しそうだ。


「ふむ。私もやれるのか?」

「あっ。そう言えば、ローリィさんとロロさん、ジャルクさんは属性特化一体化していませんね」

「クァ~~」

「やってない」

「そうだな」


 その場合、どうなるんだ? 皆よりも、早く進化するんだろうか?


「う~む。安定したローリィさんを見るに、その身体は聖魔級でしょうか。つまり、皆さんと同じランクですね」

「なるほど。結構、力のある肉体であったか」

「ロロさん達も、聖魔級ですね。しか~し、お二人には、確認しておかなければいけないことがあります!!」


 アルティが、いきなり声を上げる。なんだ、いったい。


「マスター、ロロさん達に魔力を」

「……流せっていうのか」

「ええ、そうです」

「おお~」

「クァ~~」

「……吐くんじゃないか?」

「大丈夫です。たぶん」

「たぶん?」

「たぶん」

「……」


 俺は、手をロロとジャルクの頭の上に乗せた。


「良いか、二人とも?」

「うん」

「クァ~~!!」

 

 ロロは上を向き、ジャルクは下を向いた。ジャルクは、吐く気満々だな。備えている。


「よし。じゃあいくぞ」


 俺は、ロロとジャルクに魔力を流し入れた。どんどん、俺の魔力がロロとジャルクに流れていく。しかし、二人の気分が悪くなった様子はなかった。


「おっ、おお~~!!」

「クァ~~!!」


 暫くして、二人の体が光り始める。これは、魔力の入れ過ぎで細胞が活性化したのか? 二人は、その場で元気に動き出す。有り余る力を発散するために、二人はそこらじゅうを走り回った。暫くして、光が収まると二人はこちらに戻ってくる。そして、庭に大の字で寝転んだ。


「つ、疲れた」

「クァ~~」

「成功です。マスターとお二人も、魔力で一体となっています。これにより、魔力を受け入れる肉体内の器が安定しました。今なら、お二人を魔石に戻しても大丈夫です」

「つまり、ロロ達も属性特化一体化が出来ると?」

「はい。可能です」

「おお~~!!」

「クァ~~!!」


 そのアルティの発言に、ロロとジャルクは飛び起きた。


「しかし、その力を発現するだけの相手がいません。相手がいない状況で使うのは、属性特化一体化の意味が薄いです。せっかくの疑似進化なので、安易に使うのは避けたいですね」

「つまり、おあずけと」

「そうですね」

「……な~んだ」

「……クァ~」


 二人は、その場に再び寝そべった。



 

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