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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・八部 ???? フィー編
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また会ったね

「さて、まだやることがありますね」

「うん?何をするんだ、アルティ」

「どうやら、この迷宮自体に変更が必要なようです。管理者が消えたと認識した瞬間、新たな管理者を探し始めました。今は、魔力を使い切っている状態なので何もしていませんが、全く同じ力を次の管理者には与えるつもりのようです。つまり、この迷宮自体が私達の魔法を覚えているということですね。許せません」

「そ、そうなのか」

「ですので、若干構造を変えます。マスター、私を迷宮の地面に突き刺して下さい」

「ああ」


 俺は、地面に降りてアルティを抜き放つと、地面に突き刺す。 ……やばいな。まるで、地面が豆腐か何かのようだ。一切の抵抗なく、アルティが地面に突き刺さる。まぁ、程々に突き刺す程度でやめておこう。下手したら、何の抵抗もなくアルティが全部地面に埋まる。


「……これでよし。構造を変えました。私達の魔法の記憶も消しましたし、管理者も自身で作り出すように変えました。ついでに、魔力をある程度奪っておきました。これで、少しは消費魔力を補えたでしょう。さっきの魔法は、それなりに魔力を使いましたからね」

「……にしても、まだ他の妖精たちが生き残っているが。あの子達も俺達の魔法を使っていたが、その記憶は消さなくて大丈夫なのか?」


 俺達を怖がるように、妖精たちは木の陰に隠れてこちらを見ている。その姿は、もう魔石には包まれていない。普通の妖精のものだ。


「ええ、大丈夫です。あの能力は、実際には妖精神が魔法自体を管理していて、あの子達を魔法発動の擬似的な自身の分身として使っていただけです。つまり、あの子達自身が魔法を使えるわけでも、覚えているわけでもありません。なので、構造を変える必要はないでしょう」

「なるほど、分かった」


 俺は、そういうとアルティを引き抜いて、鞘にしまい直した。


「……何もしないよ。怖がらせて悪かったね」

「……」


 俺がそう言うと、妖精たちはおずおずと木の陰から出てきた。そして、ゆっくりとこちらに近づいてくる。ある程度近づいて、一人が俺達の鎧にタッチすると、俺達を見つめた。そして、それでも何もしないことを確認すると、一回お辞儀をしてそのまま辺りに散らばり遊び始めた。 ……切り替えが早いな。


「さて、私達も帰りましょう。あの子達は、この迷宮が面倒を見るはずです」

「そうだな。帰ろう」


 俺達は、転移魔法を使って家に帰ることにした。


「ぬっ」

「おかえり~!!」

「クァ~~!!」


 庭につくと、レーチェ、ロロとジャルクが居た。俺達は、その場で一体化を解除する。


「ただいま」

「……ほう、中々良い力を得たようじゃな、ベイよ」

「はい。皆のお陰です」

「何言ってるんですか」

「マスターのお陰でもあります!!」

「そうですよ、ご主人様」

「うんうん」

「あはは、そうかな」


 そうフィーとミルクに言われながら、俺は辺りを見回す。すると、そこには何時も通りの幼女姿のアルティが居た。こっちの見た目は、変わらないんだな。


「ほう、それは創世級になったのか。さしずめ。最弱の創世級と言ったところじゃな」

「そうですね。私は、実力的には創世級で最弱でしょう。しかし、私のマスターは、この世最強の召喚王。その武器である私が、弱いとでも?」

「どうかのう。試してみるか?」

「いや、やめて下さいよ。俺の大切な剣の一本なんですから」

「召王創剣、アルティ・アルフェルト。私は、マスターが居て初めて実力を発揮できます。私の実力は、マスターの実力。それを、今しがた褒めた貴方が、私を軽んじるのですか?それは、少しおかしいのでは?」

「……ああ~、なるほどのう。それもそうじゃな。そう考えるのならば、最弱では無い。許せ。思い違いをしておった」

「分かっていただければ、嬉しいです」


 そういうと、アルティは俺の腰に抱きついた。


「……むっ。誰か来るみたいじゃぞ」

「えっ?」


 その瞬間、庭先に転移魔法で2人の人物が現れる。片方は、ライアさん。そして、もう一人はライオルさんだった。そう言えば、朝ライアさん居なかったな。


「やぁ、ベイ君。ただいま」

「おかえりなさい、ライアさん。そして、ライオルさん。ご回復なされたみたいで、嬉しいです」

「ああ、ありがとう。君達のお陰だ。多分な……」

「……」


 アリーが、何かやったのは知っているのか。しかし、良かった。ライオルさんが実際に目の前に立っているのを見て、改めてホッとする。あんな状態だったからな。アリーの言葉を信じてはいたが、やはり実際にその姿を見ると安心する。どうやら、調子も良さそうだ。


「で、まだ安静にしているべきだけど確かめたいことがあるって言うんで、ここに連れてきてあげた訳。お城に呼ばれたついでにね」

「確かめたいこと?」

「……アイツのことだ。もう居るんだろ。行動は、早いやつだからな」

「……」


 俺は、チラッと目線を移す。するとそこには、私、ただの可愛らしい少女です。みたいな感じで、何食わぬ顔をしていたローリィ。つまり、クローリの姿が目に入った。


「……」


 俺の視線を、ライオルさんは追う。そして、奴を見た。しかし、ローリィはニコッと笑顔で微笑んで知らない風を通す。


「……始めましてかな、お嬢さん?」

「ええ、始めましてどこかの叔父様。先日からここにおります、ローリィと申します。以後、お見知りおきを」

「……」

「……」


 2人とも無言だ。無言で睨み合っている。顔は、微笑んでいるが。


「それで、自身を隠せたつもりか?」

「……おかしいな。君のアドバイス通りに言い方を変えたはずだ。それで分かるのか?」

「ああ、そうだとも。お前と何回本気で戦ったと思っているんだ。分かるんだよ、お前の気迫が」

「やれやれ、嬉しいような困ったような。不思議な気分だよ。まぁ、なにはともあれ、帰還おめでとうライオル。戻ってきてくれて嬉しいよ、勇者よ」

「……俺は、悪夢を見ている気分だ」


 ローリィが、ライオルさんに手を差し出す。ライオルさんは、その手を見て少し考えると、渋々と言った感じで握手をした。握手すると、ローリィは嬉しそうに腕をぶんぶんと振る。そして、ゆっくりと離した。


「君と私は仲間だ。もう、同じ世界を救う志を持つ者。これほど嬉しいことはない」

「……夢じゃねぇのかよ、この現実は」


 そういうと、ライオルさんは手で目を押さえて、空を見上げた。


「……悪い、今日のところは帰らしてくれ。意外と、ショックがでかすぎた」

「大丈夫、ライオルさん?」

「ライアちゃん、すまない。送り届けだけでいいから、転移させてくれないか。もう、今日は帰って寝る」

「はいはい。それじゃあ、お元気でね」

「おう」

「また会おう、ライオル」

「……ああ。そうだな」


 そういうと、ライオルさんは転移して消えた。


「やれやれ、まだ本調子で無いと見える。この程度の現実で、ねをあげるとは」

「で、どういうこと?」

「あ~、ライアさんには、いずれお話しますよ」


 俺がそういうと、ライアさんはふ~んと、適当に相槌を打つ。まぁ、すでに創世級がここに居るし、元魔王が居るぐらいなんてことも無いかも知れない。


「で、ライアさんは、何をしにお城に行っていたんですか?」

「ああ、色々あってね。まず、各国の迷宮の騒動が全部知らないうちに片付いてたんで、消えた創世級迷宮の階層の話題に議題が絞られててね。それを、延々と聞いてきたよ。朝からね。答えは、目の前にいるっていうのにさ」

「ああ、そうですね」


 レーチェ居るからな。既にここに。


「それで、これは最新情報なんだけど」

「ほうほう」

「どうも、近々別の何かが現れるみたい」

「別の何か?」

「そう。しかも、多分創世級」

「創世級!?」


 俺達は、そのライアさんの言葉にざわついた。




 

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