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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・八部 ???? フィー編
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君の魔法

「最適化完了。さて、では行くとしましょうか、マイマスター」

「……ああ」


 両腕を前に出す。すると、魔法で出していた創破滅砕のガントレットが消えた。そして、元の鎧のガントレットの装甲が展開する。装甲が開き、その隙間から、圧倒的な密度の魔力が光となって溢れ始めた。それは、まるで光の炎。ゆらゆらと揺らめき、ガントレットを多くの色の光で輝かせている。


「お呼び下さい、マイマスター。さぁ、私を」


 その言葉を合図に、両手から漏れている光が腕の間で一つになっていく。そして、空間を歪ませて何かを作り始めた。


「来い!!魔晶石剣・アルティ・アルティメットブレイド!!!!」


 俺は、その光を両手で掴む。瞬間、光が一気に膨れ上がり、一つの剣を作り上げた。それは、まるで刀のような剣だ。しかし、刀身は長く、刃の裏側の棟にはギザギザとしたトゲが生えている。そして、その刃の波紋は、魔力で薄く輝いていた。持ち手には、白い布が巻かれているだけで一切の飾りがない。しかし、それでもこの剣の存在感が薄れることはなかった。


「さて、多重詠唱の解析は、最適化が済んだこともあり一瞬で終わりました。切り抜けるとしましょう。マイマスター」

「ああ!!」


 アルティに魔力を込める。すると、刀身が輝き、魔力を纏った。


「フッ!!」


 アルティを、結界目掛けて一閃する。すると、魔力で出来た斬撃が飛んでいき、一撃で結界を完全破壊した。


「「「うわああああああああぁぁぁぁ!!!!」」」


 外に居た、妖精たちが悲鳴をあげる。その中で、俺達は何もせずに佇んでいた。


「……すごい力だな」

「こちらの魔法です。多重詠唱しようとも、その特性の全てはこちらが把握済み。解析さえ出来れば、破壊は一瞬です」

「これが、創世級となったアルティの力か」

「はい。今までは、ただ固く、少し演算能力のある武器でした。しかし、今の私はそれが強化されている。それも、比べ物にならないほどに」


 その瞬間、俺には感じ取れた。姿を消して近づいてくる、妖精神の姿が。アルティを通して。俺は、妖精神を片腕でぶん殴った。


「がああああああっ!!!!馬鹿な!!見えるはずが!!」

「私達の能力ですよ。分からない訳が無いでしょう」


 そういうと、アルティが赤く輝く。


「鎧の方を、お願いしますフィー姉さん」

「うん!!」

「カヤさんの力は、こう使うんですよ。……マイマスター」

「ああ!!夢想顕現!!」


 俺が魔法を使うと、アルティと同じ刀身の刃が、空中に出現して妖精神を取り囲む。そして、その刀身を伸ばすと、妖精神を串刺しにした。


「あああああああ!!!!」

「それは幻影ですが、幻影ではありません。それが、本当の使い方ですよ」

「ふふふっ、素晴らしい!!素晴らしいですよ!!この力、この力も私のものに!!」

「いえ、それは不可能です。何故なら、既にフィー姉さんは妖精ではない」

「……何を、言って」

「えっ?」


 驚きのあまり、フィーが疑問符を浮かべる。


「最適化した際に、面倒くさいのでこいつとの繋がりを断っておきました。今のフィー姉さんは、妖精ではない。例えるなら、マスターと同じでしょうか。とすると、今のフィー姉さんは魔人と呼ぶのが相応しいかも知れません。総魔神人、フィー・アルフェルト。今のフィー姉さんは、このような感じでしょうか」

「私が、人に?」

「ええ。マスターの魔力体とは少し違いますが、概ね変わりありません。勝手に変えてしまいましたが、よろしかったですか?」

「う、うん!!大丈夫だよ!!」


 そういう、フィーの声は嬉しそうだ。しかし、種族を変えただと。簡単に言っているが、そんなのアルティが言うみたいに短時間で出来ることじゃない。これが、創世級の力か。


「さて、お覚悟はよろしいですか?」

「妖精達、私に力を!!」

「無駄です。既に妖精たちには、スローをかけている。私達の速度には、追いついてこられないでしょう。では、試し切りといきますか」

「(ちょっと待ったああああああ!!!!)」


 その時、とある声が脳内に響いた。この声は、ローリィか。


「(私も呼べ!!君と私も繋がったことで、今は身体が安定してすごく調子がいい!!さぁ、私と一体化しろ、ベイ・アルフェルト!!)」

「……だってさ」

「本当に、呼ばれても大丈夫そうですね。呼んであげては、如何ですか?」

「分かった。来い、ローリィ!!」


 俺は、自身の内側にローリィを召喚する。すると、鎧に変化が現れた。肩に、大きな大筒が形成されていく。これは、大砲か?


「これが、君達の一体化。なんと凄い力だ。これなら救える。世界を救えるぞ!!!!」


 ローリィが、胸の中ではしゃぐ。その時、妖精神が自身が傷つくのも構わずに無理やり我が身を引き裂いて刀身から脱出した。そして、すぐに神魔級回復魔法をかけて再生する。


「その余裕が、命取りですよ」


 そういうと、妖精神を風の魔力が包んだ。ディレイウインドの多重詠唱か。


「まだ、私のうちには妖精がいる。この魔法で、貴方達を消し去ってあげましょう!!!!」

「ディレイウインドの重ねがけなど、何の意味があるんだ?」

「恐らく、放つ魔法速度の強化でしょう。ディレイウインド自体で出せる速度は、最高速がもう決まっている。それで重ねがけで出来ることと言えば、残像を残すか、射出する魔法の速度を上げるかです。少しは早くなるでしょう」

「なるほど。撹乱が目的か」

「まぁ、少しは威力も上がりますよ。少しですけど」

「この魔法に、対応できますか!!」

「いや、その必要はない」


 その時、妖精神の動きが止まる。これは、アリーの時を止める魔法じゃないか。


「!!」

「アリーさんが私に仕込んだ魔法だ。君と一体になることで使えるようになっているが、どうやら正常に使えるようだな。素晴らしいな、彼女は」

「アリー、君の魔法が、俺の力に」

「ああ、彼女が君のために私に組み込んだ力だ。この魔法なら、相手への狙いを外すことがない!!さぁ、構えろベイ・アルフェルト!!私達の一体化記念だ!!祝砲といこう!!」

「ふっ、分かったよ。アルティ!!」

「はい!!」

「フィー、鎧の制御は任せた!!」

「はい、マスター!!」


 両肩の大砲と、アルティに魔力が集まっていく。そして、3つの魔力の光が、灯火となって辺りを照らした。


「さぁ、行くぞ!!トライデント!!」

「フュージョンマジック!!」

「ブラスタ────────!!!!」


 3つの閃光が、空中で融合して妖精神へと迫る。時間を止められている妖精神の肉体は、絶対的な空間固定によって破壊されない。しかし、既にその肉体が驚異的な魔力のレーザーに包まれている間に、その魔法が解除されれば話は別だ。避けられもしない。崩壊を待つしか無い。言葉すら発することが出来ないまま、妖精神は跡形もなく消えた。


「ま、こんなものでしょう」

「……良い。君と共に戦えて最高だ。ベイ・アルフェルト」

「マスター、終わりましたね」

「ああ」


 アルティを振って、魔力の残滓を払う。そして、腰に現れた鞘に、俺はゆっくりとアルティを収めた。



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