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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・八部 ???? フィー編
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究極<アルティメット>

「いえ、何をひるむことが有りましょうか、主人。創世級に進化した?取るに足らない状況です」

「そうだよね。だって、あたしらの能力も、少し変わってるんだからさ」


  そういうと、カザネが腕を動かして、妖精神に向かって手のひらを向ける。


「ディレイウインド・スロー」

「なに、……を」


 その瞬間、妖精神の動きが変わる。これは、遅くなったのか?


「今のお前は、私達について来れない。……シスラさん」

「おうっす!!パイルバンカー・セイントランス!!」


 右腕のガントレットから、小さな槍が飛び出す。それは、魔力を纏うと一瞬で巨大化した。


「出力アップ済みっすよ!!塵に帰れ、妖精神!!」


 そう言って、シスラが右腕を突き出した。その瞬間、槍に纏わり付いていた魔力が轟音を上げて射出される。それは、まるでビームのように光の閃光となって、妖精神を貫いた。その瞬間、周囲の空間をねじれさせ、飛んでいった魔力が爆発する。 ……あんなの受けて、無傷なやつが居たらビビるな。


「なるほど。確かに素晴らしいお力です。再現するには、少し時間がかかりそうですね」


 その声は、別の方角から聞こえた。さっきの妖精神は、幻覚か。


「分かってないようですね」

「お前に、この能力の再現は不可能だ」

「なんてったって、主様の固有能力を使ったパワーアップだもの。あんたじゃ無理よ」


 そうだな。この魔法の根本には、俺の持っている肉体の特性が使われている。皆が、俺と魔力で一体になったから使えるようになった能力だ。流石に、妖精神といえども、これらの魔法は使えないだろう。


「なるほど、そうですか。では、私は皆さんとは別の方法で皆さんと張り合うとしましょう」


 そういうと、妖精神は指を弾く。それを合図に、辺りの景色が変わった。それは、一面が光で包まれた空間だった。ミエルモードの力か。


「さて、受け切れますか?」


 何も構えず、妖精神はそういう。


「ま~た、私達の真似ですか!!」

「受けきれるかですって?誰の技だと思っているんですか!!」

「ええ、ミエルさん達の技です。ただし、改良前は、ですけどね」

「は?」


 その瞬間、光の空間の先から無数の光のレーザーが、俺達目掛けて飛んできた。

 

「なっ!?」

「避けるぞ!!」

「いえ、その必要はありません。お前の魔法は、私達が使う!!」


 ミルクがそういった瞬間、俺達に飛んできた空間を埋め尽くさんばかりのレーザーは、方向を変えて妖精神へと飛んでいった。


「ふふっ、その魔法は、私が使います」


 だが、妖精神に激突する前に、レーザーは再度反射して俺達目掛けて飛んできた。その魔法に、カザネがスローをかけて速度を落とす。


「なんですって!?」

「自身の魔法を、操作し返したのか!?」

「いえ、それは不可能のはず!!何故なら、制御権を私が先に奪ったのですから!!」

「そう、その通りです。ですが、私の魔法でなければ、私は制御権を奪う側です。もう、貴方達はこれを返せない」

「これは、奴の使った魔法ではない!?」

「だから何だって言うんですか!!迎え撃ちます!!」


 左腕から、装甲が可変して弓が出てくる。それは、魔力を纏って巨大化した。


「全部撃ち落とします!!」


 サエラが、周囲のレーザー全てを魔力で捉える。そして、弓に魔力を込めると、たった一つの弓から無数の光の矢を照射した。それらは、辺りのレーザーをこちら側から食い破り、周囲の光の空間へと激突する。すると、光の空間の先が一瞬光りが消えて、何かが見えた。それは、魔石のように見えた。無数の魔石が、この空間の外に浮いている。そして、その中には妖精が入っているように今の一瞬で見えた。


「流石です。この程度では死んでいただけないのですね」

「今のは、何だ?」

「魔石に、妖精が入っていました」

「つまり、魔法を使ったのは、今の妖精たち?他の妖精が、私達の魔法を?」

「そう。それが、私の得た力です。私のうちにいた妖精に、力を分け与える。素晴らしい能力だと思いませんか?皆さんの力を、妖精たちが各属性ごとに多重詠唱して使うのです。さて、いつまで耐えられるでしょうかね」

「多重詠唱だと」

「魔法の同時発動と、重ねがけですか」

「そうです。この空間は、ミエルさんと、シデンさん、カヤさんの魔法を重ねがけして作った堅牢な牢獄です。果たして、皆さんに破れるでしょうか?」

「破れるかですって?」

「あ、勿論先ほどと同じで魔法の制御権を奪っても私が奪い返しますよ。妖精たちの魔力波長までは貴方達でも変えられないようですからね。これなら、安心して奪い返すことが出来ます」

「……」

「そして、私の本体はその空間にはいません。ここを脱出できなければ、貴方達は死ぬだけです。さぁ、他に何を見せてくれますか?」


 そう言って、妖精神は笑みを浮かべる。多重詠唱。しかも、結界の重ねがけか。厄介だな。


「問題ありません」


 ミズキが、そういう。そして、結界を睨んだ。


「……ん?」

「無駄ですよ。結界を透過するつもりだったんでしょうけど、水の妖精にミズキさんの能力を使って膜をはってもらっています。この膜がある限り、同じ能力であるミズキさんの透過は膜の網に引っかかります。つまり、透過は出来ないというわけです」

「……」

「さて、以上で最後の別れの言葉とさせていただきます。この結界が今から狭まり、貴方達を押しつぶす。それではさようなら。哀れな皆さん」


 そういうと、妖精神の幻影が消えた。直後、結界が収束を始める。


「どう思う。破壊できるか?」

「出来ないわけがないですよ!!」

「ディレイウインド・スローで魔法自体の修復を遅くします。その間に、我々が殴り抜ければ可能でしょう」

「カヤの魔法を重ねがけしているということは、ここは、作られた多重空間の中にあるということだが、それでも行けるのか?」

「今の光景を見るに、重ねがけしてるって言っても使ってるのは妖精だし、あまり遠く離れた多次元には作ってないみたいだから、あたし自身が本来の能力で帰還出来るように道を作れば行けるんじゃないかなぁ?」

「よし。じゃあ、それで行くか」

「いえ」


 俺の動きに、アルティが待ったをかける。


「そのようなことをする必要はございません」

「アルティ?」

「少々お待ちを。少し最適化に時間がかかっています」

「最適化?」

「ええ。奴が進化したということは、進化の魔力エネルギー。それが、我々から発生していたということ。それも、神魔級から創世級になる進化です。それが、我々から出ていました」

「は?」

「考えれば当たり前ですね。全ての情報を取り終えて、全ての属性の創世級の情報を得て、一番進化しやすいのは誰なのか。この中で最も弱く、しかし大量の魔力を持ったマスターに扱われていたために、既にその限界に達していたのは誰なのか。まさか、全属性属性特化一体化の初期制御に集中しすぎて、気づかないとは思いませんでしたよ。ですが、今回はフィー姉さんがある程度安定化させてくれています。お陰で、その事実に気づくことが出来ました」

「アルティ、つまりお前」


 その瞬間、アルティが鎧を使って魔法を発動させる。


「ディレイウインド・スロー・ブースト」


 そして、辺りの収束が止まった。いや、極度に進みが遅くなったために、止まって見えるのか。


「はい。アルティ・アルフェルト、皆さんよりもお先になりますが、今、創世級へと進化いたしました」


 神魔級の魔石を使って作られ、俺と共に戦ってきた魔石剣・アルティ。それが今、究極(アルティメット)という境地に達する。



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