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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・八部 ???? フィー編
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まだ涙が止まらない

 改めて、皆を俺は見回す。すると、また心の中から感動が湧き上がってきた。それは、俺の目から止めようのない涙となって、再度溢れ出た。


「「「「あっ」」」」 


取り敢えず、涙を抑えながら庭に移動する。めっちゃ嬉しい。嬉し泣きが止まらない。こんな経験、人生で初めてだ。皆が俺を心配しながら、優しく接してくれる。それに対して、俺は涙声でありがとうとしか言うことが出来なかった。本当にありがとう。ありがとう。


「……皆、俺のことは気にせず、訓練でもしててくれ。そして、ありがとう。皆、大好き……」


 辛うじて、噛まずに言えた。なんだか青春ドラマの主役みたいな台詞になってしまったが、そう言ってしまうのも仕方ない状況だろう。だって、それしか言えないだろうが!! 最高だろう、皆がよう!!!!


「分かりました。でも、いつでも呼んで下さい。そばにいつでも居ますから」

「あ、ありがちょう。……うっ、うう」


 やばい。泣き崩れそうになった。いかんいかん。静まれ涙よ。アリーに見られる訳にはいかない。例え感動の涙だとしても、かなり情けない状況に周りからは見えるかもしれないからな。おさまれ!! おさまれ、俺の涙よ!!!!


「ベイ。はい、ハンカチ」

「……ありがとう、アリー」


 駄目だった。アリーさんに見られる前に止められなかった。でも、アリーにハンカチをもらったことで冷静さを取り戻せてきた気がする。 ……いや、やっぱまだ皆を見るとちょっとまずいな。下を向いておこう。そういえば、アルティを抱えたままだった。アルティの髪でも見ておくか。


「どうしたの?」

「……皆が、俺と、一緒に人生を歩んでくれるって」


 やばい。その事実を再度認識したせいで、また泣きそうになってきた。やばい。感動がやばい。


「ああ~、なるほど。私にベイがしたみたいな告白を、皆にされたんだ」

「う、うん」

「それは、泣くわよね。よしよし」


 アリーさんが、俺の頭を撫でてくれる。優しい。大好き。


「……アリーは、何をしてたんだ?」


 唐突に俺は、話題を変える。この話題を続けると、いつまでも感動が終わらない。取り敢えず、俺は話題を変えることにした。


「私?私は、ローリィの改造計画を練り直してたわ」

「……アリー、やけに熱心にローリィの改造を考えてるよね。この前も、皆が居なかったのに一人だけ椅子に座って考え込んでたし」

「ああ~、だってそれわね、これが、私がベイに出来る最高の支援になるだろうからよ」

「えっ?」

「ベイは、召喚魔法使い。仲間の力を自身と一つにして、どんな強敵をも払いのける超英雄。そんなベイに、私がしてあげられる最高で最後の事。それって、ベイに仲間を提供することが最善なんじゃないかって思うの」

「いや、俺はアリーが居てくれるだけで、力が湧き上がってくるよ」

「ふふっ。それは嬉しいけど、やっぱり純粋な力では無いじゃない。私達の愛は何よりも不滅だけど、現実の創世級相手にどこまで通じるのか。それは、ちょっと力としては難しいわね。やっぱり、内部的な自力を上げたいじゃない。ベイが、創世級相手にも楽に勝てるほど強くなる。それが理想ね」

「そのために、ローリィの改造を?」

「ええ。残念だけど、これ以上新しい魔法をベイのために作ろうとしても、多分完成しない。それに、どんな魔法よりもすごい力を、ベイは持っている」

「俺が、持っている……」

「そう。それは、愛よ。しかも、こっちの愛は現実に力として作用する。それは、皆とベイとの絆。進化であり、一体化であり、お互いを思いやる気持ち。それが、一つとなって新しい力となる。それこそが、ベイの強さよ」

「……ああ、そうだな」

「だから、ベイを支える最強の魔物を作り出す!!それが、最高で最後の私の魔法になると思う。と言っても、最後って創世級を倒すまでの話だけどね。それを超えたら、また色々と便利な魔法を開発して、ベイと試したいなぁって、そう思うのよ」

「ああ。俺で良かったら、いつでも付き合うよ」

「……健やかなる時も、病める時も、貴方と共にあることを誓います。だから、私はベイの為に出来ることを全力でする。それが、私の愛だから」

「アリー……」

「辛い戦いになると思う。でも、私が出来るのはこんな事ぐらいしか無いの。ごめんなさい。ベイ」


 俺は、そういうアリーを抱き寄せた。とっさに身体が動いたが、アルティをアリーとの間に挟む体勢は避けられた。


「謝らなくていい。俺は、君が大好きだ。その気持が嬉しい。ありがとう、アリー。大好きだ」

「ふふっ、ベイったら。また涙声になってるわよ。はい、ハンカチ」

「ありがとう。本当に、ありがとう……」


 泣いても泣いても涙が溢れてくる。最高のお嫁さんたちだ。絶対に負けない。どんな敵が相手でも、今の俺は絶対に負けない。だって、俺の中の覚悟が今まで以上になっている。これで負けるほうがおかしい。ありえないだろ、これで負けるって。


「……私も、フィー姉さんの為に今までの情報をまとめておきます。皆さんの戦闘データ。相手の魔物の情報。そして、属性特化一体化の能力の解析結果。全てをまとめて、万全の体制を整えておきます。……創世級だろうがなんだろうが、勝ちましょう、マイマスター」

「ああ、アルティ。俺は勝つぞ。いや、俺達が勝つ!!」


 俺は、遥か遠くの創世級迷宮目掛けて、そう誓いを叫んだ。


「……ふむ。ベイはまだまだ強くなりそうじゃな。話をまとめると、仲間が強ければベイも強くなるわけじゃな。なら、理屈は簡単じゃ」

「はい!!」

「クァ~!!」

「わしがお前たちを鍛える。即ち、ベイを鍛えるのと同じということじゃな」

「はい!!」

「クァ~!!」

「よし!!気合いを入れて特訓じゃ!!」

「はい!!」

「クァ~!!」


 元気よく、ロロ&ジャルクとレーチェが組手を始めた。気合入ってるなぁ~。


「絶対、あいつ落ちてますよ。ねぇ、レム。あいつ、絶対落ちてますよ」

「黙っておきなさい、ミルク」


 レムが、何故かミルクの口をふさいでいた。


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