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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・八部 ???? フィー編
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みんな一緒

「じゃあ、レム。最後に……」

「はい。分かっています」


 そういうと、レムは庭へと出ていく。そして、代わりにベイがやってきた。


「最後に俺か」

「はい。アルティちゃんも、一緒にお願いします」

「私もですか」


 俺は、椅子を引いて座る。すると、俺の膝の上にアルティは出てきて座った。なんとなく俺は、出てきたアルティの頭を撫でる。


「で、どうだった?決心はついたか?」

「はい。だいぶ、戦いに向かう心構えは出来ました」

「そうか」


 それを聞くと俺は、アルティの頭の撫でを移動させて喉元を撫で始めた。すべすべだな。気持ちよさそうに、アルティは目をつむって俺の撫でに身を任せている。可愛い。


「ですが、最後に確認したいことがあります」

「確認したいこと?」


 真剣な目で、フィーはテーブルに腕を付いて身を乗り出すと、俺の目を真っ直ぐに見てきた。


「マスターは、どうなりたいですか?」

「俺が、どうなりたいか?」

「ほぅ、そう来ましたか。流石フィー姉さん。我らの姉さん」


 アルティが、おもむろにフィーに向かって拍手する。俺は、唐突にそんな話題を振られたので、一瞬目をつむって直感的に考えた。


「……大雑把な言い方になるが、俺は、皆と一緒に強くなりたい。フィーも、アルティも、皆が力を合わせて未来を切り開く。そういう力を俺は持ちたい。俺一人では、絶対にこの世界は救えない。アリーの為にできるだけのことはするが、やはり人を超えた怪物を相手にするなんて俺一人じゃ無理だ。だから、皆と共に強く戦える力が欲しい。俺のわがままに付き合わせるようで皆には悪いが、俺は守りたいんだ。アリーを、皆を。勿論、フィーたちもだ。だから負けられない。だから信用できる皆と共に戦って、未来を勝ち取りたい。だから俺は、そういう力が欲しい」

「……分かりました」


 そういうと、フィーは椅子に座り直した。


「アルティちゃん、皆を集めて」

「今まで呼んだ皆さん、ということでいいんですよね?」

「うん。あ、ロロちゃんと、ジャルクちゃんも呼んで」

「了解いたしました」


 アルティが、念話を送る。すると、レム達が部屋に入ってきた。


「どうしたんですか、姉さん?」


 レムが、代表してそういう。すると、フィーは皆を見つめて口を開いた。


「ミズキ、カヤ、ミエル、シスラ、サエラ、シゼル、シデン、カザネ、ロロ、ジャルク。皆には、レムや、ミルクと同じになって貰います」

「え?」

「つまり」

「マスターと一体になってもらいます。異論のある方はいますか?その時は、出来るだけ考慮してみます」


 フィーの言葉に、全員が沈黙する。しかし、それも一瞬。すぐに、皆から歓声が上がった。


「うおおおおお!!私達も、主人と魔力で一体になれるんですか!!やったあああああ!!!!」

「最高!!フィー姉さん最高!!」

「こん!!流石、姉さんです!!」

「……私、よく分からない。説明して下さい」

「クァ~?」


 ロロとジャルクだけ、首を傾げていた。


「マスターと一体になると、マスターの能力の恩恵を受けます。その力を得て、能力がパワーアップします」

「つまり、強くなる?」

「うん」

「……良いことしか無いじゃん!!」

「クァ~!!」

「でも、一応言っておくと制約が付きます。一体ということは、マスターの寿命と我々の寿命も同じになります。マスターが死ねば、私達も死にます。そして一体ということは、マスターから一生離れないということでもあります。……それでも、皆良いですか?」


 フィーのその質問に、古参組は速攻で首を縦に振った。覚悟は決まっている。皆、そんな顔をしていた。俺、その光景を見て泣きそうになった。俺と人生を共に歩んでくれるって言ってるんだぞ。墓場まで。最高のプロポーズじゃないか。やばい。涙出てきた。ちょっと止められそうにない。


「それ、デメリットですか?」

「人によっては、そうかも知れない」

「ジャルク、デメリット?」

「クァ~?」


 ジャルクは、首を捻っている。そう思っていないということだろうか。


「……夫と墓場まで一緒。最高!!」

「クァ~!!」


 ロロは、そういうと親指を立てて覚悟を示した。ジャルクも、しっぽを振って賛成を示している。ありがとう、皆。本当に、ありがとう。今喋ったら、涙でまともに喋れそうにない。だから、口には出せないけど、ありがとうな、皆。……俺の嫁達、最高~~~~!!!!


「……皆、良いみたいだね。後は、ローリィちゃんだけか」

「(おっと、私も賛成する。この命、ベイ・アルフェルトに預けると誓っている。その上、運命を共同できるだと。気に入った!!最高の絆じゃないか!!ということで、私も大いに賛成する。寿命が一緒など、デメリットにもならん。それよりも、私の夢は激しく輝く!!君と一体になれるのだからな!!なっはははは!!!!……うぐっ、ゲホッ、ゴホッ!!)」


 念話でそういうと、ローリィの声は消えた。最後らへん咳き込んでたけど、大丈夫かよあいつ。やっぱり、今はあまり無理できない身体なんだな。あいつを呼ぶのは、当分控えておこう。


「決まったね。なら、そうするよ」

「フィー……」


 涙をなんとか抑えながら、俺はそう呟く。


「マスター、私達は貴方と共にある。だから負けない。……覚悟は決まりました。明日、迷宮を攻略しましょう!!」

「……分かった」


 俺は、アルティを抱えて立ち上がる。皆を見渡すと、全員が俺を見て微笑んでくれていた。きっと、ローリィの奴も笑っていることだろう。 ……ありがたいことだ。俺は、涙を拭いた。そして、目の前に手を突き出す。すると、皆が俺の手の上に自身の手のひらを重ねてきた。ロロとジャルクは、わざわざテーブルの上によじ登って手を乗せている。ありがとう、二人共。わざわざ登らせたみたいで済まない。


「……同じ能力を使えるからってなんだ。俺達は、絶対に勝つぞ!!!!」

「「「「おお~~!!!!」」」」


 腕を振り上げながら、全員で勝利を誓う。その時、えっ、私抜きでそういう事をするのか? やめてくれ!! 一緒にやらせて!! というローリィの声が聞こえた気がするが、幻聴だろう。そういうことにしておく。だって、今呼べないんだもん。しょうがないじゃん。


「アルティちゃん」

「うん、なんですか、フィー姉さん?」

「私、出来るよね?」

「……勿論です。あなたがそう望むのですから。それも、心からね」


 そうアルティが答えると、フィーは微笑んだ。



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