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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・七部 ???? レム編
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魔軍一体

 そいつらは、どこか虚ろな目でこっちを見ている。ベイル、ミゴール、フォート、スビア、ザルシュ、デイク、アビマ。そう呼ばれた彼らの特徴を一言ずつで上げるのならば、最早懐かしい黒甲冑。鉱物男、蝙蝠男、機械仕掛けの巨人、兎人間、柱男、そして竜だ。そして、蛇のようなバズラ。彼だけは、瞳に生気を宿している。しかし、他の連中はそう感じなかった。だが、連中からははっきりとした殺気を感じる。一応、生きてはいるようだ。しかし、何故生きている? 主に黒甲冑。それに、残りの連中もフィー達や、ライオルさん達が倒したはずだ。あと、よく見ると黒甲冑の姿が違う。もしかして、同じ特徴を持つ別人か何かなのだろうか?


「どこかで見た顔もいるな……」

「魔王様、お待ちしておりました」


 俺の呟きを遮り、バズラがクローリにお辞儀をする。そして、クローリの鎧に飛び乗ると、その中にスッとバズラは吸い込まれていった。


「そうか。君は、この中の誰かを知っているのか。ライオルならば、懐かしいと思うだろう。彼らは、既に死んだ私の仲間たちだ。だが、彼らのことは、私の中で強い力となって焼き付いている。故に、彼らは出現した。私のせいでな。死者の面影を、私が無意識に形作ってしまった」

「……」

「では、見せよう。ベイ・アルフェルト。これが、私達の一体化だ」


 クローリが、彼らを取り込んでいく。そして、幾重にも強大な闇を身に纏い、新たな姿へと変質した。それは魔王。いや、それすらも超えた存在。魔神。魔神・クローリ。魔物の世界を守らんとした、1人の英雄の姿だった。その姿は、恐怖すら抱くほどに威圧的でもある。だが、その中にクローリの意志の強さを示すかのような鋭さがあり、それが格好良くも思えた。魔神が、一歩俺に歩み寄る。それだけで、地面が黒く染まりあがり、その姿を変質させていた。


「お前、存在するだけで、物質を壊すのか?まるで、創世級のように」

「何を言っているんだ、ベイ・アルフェルト。私は創世級だ。そう。こちらが本来の姿なんだよ」


 クローリが、マントを翻す。そして、世界が闇に覆われた。


「今、世界の全ての土地から、私は魔力を吸収している。それは、どこであろうと関係ない。この星こそが、私の魔力そのものだ!!」

「!?」


 世界から、魔力がクローリ目掛けて降り注ぐ。まずい。こんな状況が続けば、創世級迷宮が壊れてしまう。


「クローリ、創世級迷宮を壊す気か!!そんなことはやめろ!!」

「心配するな、ベイ・アルフェルトよ。私とて、その程度分かっている。必要な分だけ、私は集めているのだ。迷宮には、影響は少ない。安心すると良い」


 いや、全く安心出来ないですわ。なんですか、この集まっている魔力の量。俺達の何倍なんですか? 意味が分からないんですけど。


「さぁ、これが、私達の本来の力だああああああああ!!!!」


 最早、止めることすら出来ない。クローリは、集まった魔力を吸収した。そして、有り得ない程の威圧感を放ち始める。それは、レーチェに次ぐほどの威圧感であった。というか、これでもレーチェに届かないのか。やっぱ格が違うわ。本物の破壊神わ。


「さて、これならどうかな?」


 クローリが、レムへと近寄る。しかし、俺達はその動作を見ることが出来ない。消えた。完全にクローリが消えたのだ。


「転移魔法か」

「その通り」


 転移魔法で、クローリは動作をカットしていた。剣を出し、クローリは剣を振るう。そして、その動作も見ることが出来ない。だが、レムはその剣技を盾でギリギリ防いだ。


「クッ!!」

「ほう。これでやっと君に届き始めるのか。恐ろしい。それほどとわな」

「……」


 クローリの腕が見えない。斬撃が、どのような速度で来るのか分からない。これは、かなりレムにとってやりづらい攻撃だ。しかし、それでもレムには見えている。直後に、転移して出現してきた刃が。だから、すんでのところで防ぐことが出来た。


「では、更に一段あげよう」


 クローリが、更に斬撃を放つ。今度は、その動作が見えている。だが、レムは斬撃を受けず。その場から飛び退いた。


「良い判断だ。これは、転移の魔力で作った空間を切り裂く斬撃。君であろうと、かすっただけであの世行きだ。そこまで見える。君の実力はおかしいな。だが、次はこれと先程の斬撃を組み合わせる。終わりだよ」


 クローリの腕が、そして消えた。レムは、目を閉じる。そして、右斜め前に飛んだ。その直後、レムの居た場所の空間が切り裂かれる。それを、レムは魔力を感じることで回避した。


「……見えなくはないな」

「一刀では駄目か。では、手数を増やそう」


 クローリの後ろの空間から、剣を持った無数の腕が出てくる。それらは、レム目掛けて剣をかざしていた。しかし、レムは焦らない。そして、俺に向かって手を差し出す。


「主、なかなかの強敵のようです。では、そろそろ共に戦っていただけますか?」

「ああ!!」


 俺は、レムにアルティを投げ渡した。そして、アルティの中に、俺は光となって収納される。


「アルティ!!」

「はい、レムさん」

「君たちも、本気を出すということか。そうならないように、本当は手を打つべきなのだろうが。私達は違う。正々堂々、君たちを倒し、私達が未来に進んでみせる。さぁ、見せてみたまえ。君たちの真の力を」


 アルティが、剣のまま光り輝く。その光は、強い闇色の光となって、レムの周りを渦巻き始めた。


「我が身体は、主のための剣。主のための技術。そして、仲間全てを包む鎧。答えろ魔力よ。我が鎧よ。全ての不可能を切り落とし、主の前に勝利を示せ!!」


 レムの鎧が、魔力の光を吸収して形を変えていく。それは、剣神。圧倒的な闇の力を纏った、技術力の化物。その鎧、その姿、魔神クローリにすらも引け劣らぬ威圧的圧かつ、精錬された姿をしていた。レムが、剣を出現させる。そして、剣を空中で振るうと、闇がさけ、光が走った。


「魔王。貴様を切る」

「……やってみたまえ」

 

 静かに、2つの鎧が向き合う。そして、両者の空間の中央で、無数の斬撃が見えないままに激突した。


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