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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・七部 ???? レム編
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二勇共闘

「駄目です。あれは無理です。手加減を知らない。手加減をしない。すぐにバレます。あの頭の固い連中に」

「でもさぁ、全員死ぬよりは良いかなぁって」

「駄目です。あれは切り札でありながら、この星を破壊する爆弾です。使うのなら、最後にしないと。そう、まだ魔王よりも生易しくない物が、この世には残っているんですから。あれも含めて」

「……」


 そう。まだクローリは、易しい敵なのだ。創世級に比べれば。


「でもなぁ。それだともう、打つ手が無いんだよ」

「ありますよ。既にね」

「え?」


 アリーが、俺を見つめた。


「えっと、どういうお話なのでしょうか?」


 シアが、我慢できずに、会話内容を聞いてきた。


「私達は無理。でもね、行かせられるとするのなら、ベイだけよ。他は足手まとい。ベイだけでいい」

「そうそう。そういう話」

「ベイ君だけ、ですか?」


 シアが、不満そうにそういった。


「不満そうね」

「それは、だって、皆さんお強いですし」

「そうは言ってもね、一般人にしてはなのよ。前のように、一般人相手になら、私達でも何とか戦える。それも安全に。でもね、今回は違う。魔物の軍団。それも、ライアさん達が勝てるか怪しい相手。そんなの、足手まといよ。私達……」


 正直に言うと、アリーとヒイラはそこそこ無双できる気がする。クローリを相手にするかわ別にして。


「でもね、ベイは違う。ベイなら、十分な力を持っている。それだけは確かよ」

「なるほど」


 シアが、納得したように呟いた。


「正直、貴方もいかないほうが良いんじゃない、シア。ベイ達の邪魔よ」

「えっ」


 アリーにそう言われて、シアは動きを止めた。


「そうかもな」

「え」


 ライオルさんが、続けるようにそういった。


「無駄な犠牲を出すか。確かに、俺がそう感じたからな。有り得るぞシア。今回ばかりわ」

「……」


 シアが、ライオルさんの言葉に黙った。しかし、すぐに言葉を続けた。


「私は、国を守る兵士です。国民を守れるのなら、この命、惜しくありません」

「そうか」


 ライオルさんは、その言葉を聞くと黙った。


「いえ、俺とライオルさんで行きます。行くのなら」

「?」

「はっ?正気か?」


 俺の言葉に、ガンドロスがそう言った。


「はい。大人数で行く利点。それが、今回は薄いです。少人数での潜入、魔王の即時撃退。それが、一番いいと思います」

「なるほど。一理ある」


 俺の言葉に、ライオルさんが賛同した。


「ちょっと待てよ。そんな事出来るのか?魔王だぜ。護衛も、かなり居ると思うが」

「ええ、出来ます。ですが、少人数でないと無理です」

「確証があるんだな」

「はい」

「ふ~ん。じゃあ、私はベイ君を信じるよ」


 俺の言葉に、さらにライアさんが賛同してくれた。


「待てよ。内容も聞かずにそれはないだろ」

「いったい、具体的にはどうするんだ?」

「土魔法です。土魔法で、地面を掘り進みます」

「土魔法で?」


 シアが、疑問の声を上げた。


「ええ。地中から、魔王を強襲します」

「それ、ばれないの?」

「ばれたとしても、我々は地中。相手に、手は出せません」

「いや、そうとも限らないんじゃないか。相手は、魔王だぞ?」


 ガーノが、余計なことを言う。


「いえ、魔王でも同じです。すぐに移動し続ける我々に、魔王であろうとも、的確に攻撃魔法を当てることは不可能なはずです」

「なるほどな。それほど速く、移動するということか」

「はい。それに、我々はすぐに魔王の拠点の下に移動します。その状況で、拠点下の地面を魔王が高威力の魔法で攻撃できるでしょうか?いえ、出来ません。何故なら、拠点下の地面が吹き飛ぶからです」

「ふむ……」


 ガーノが、俺の言葉に黙った。


「でも、そんなに速く、どうやって移動するの?」

「俺とライオルさんなら、可能なはずです」

「そう、かもな」


 ジーンさんが、俺の答えに頷いた。


「ジーン、何か知ってるみたいだな。なら、作戦的には有りってことか」

「え、マジですか。2人でですよ?魔王討伐ですよ。駄目じゃないですか?それこそ、死にに行くようなものなんじゃ」

「シア、これが、一番討伐確率が高い作戦なのよ。本当に……」


 アリーが、シアにそう言い聞かせた。


「そう、ですか……」

「ですが、皆さんには、別のことをして頂きたいんです」

「別のこと?」

「はい。それは、この国を守ることです。魔王は、この国を攻撃してくる可能性があります。俺達を動揺させるために」

「なるほど」

「ですから、皆さんには守っていただきたい。俺達が戦っている間、この国を」

「……そうか。そうくるか」

「ああ、任せろ」


 俺の言葉に、ジーンさんが頼もしく答えてくれた。しかし、実際にはこの都市はどこよりも安全だ。レーチェが居るのだから。


「ライオルさん」

「ああ」

「それで宜しいですか?」

「俺は構わない」

「そうですか。では、明日の朝出発にしましょう」

「分かった」

「え、ええ~。本当に、それで行くの。これを、上に報告するの。なんて言われるか」

「シア、諦めろ。他の手立てを、今のうちに考えろと言っておけ」

「そ、そんなぁ~」


 シアは、ガクッとその場で前のめりに俯いた。


「はい。というわけで、解散解散。我が家は、これから食事なの。ほら出ていって、出ていって。あ、ライアさんは大丈夫です。残ってください」

「今日は何かなぁ~?」

「野菜スープです」

「あ、ちょっと!!」


 アリーに押されて、シア達は出ていった。


「さて、面倒になったわね」

「ライオルさんも一緒か」

「ま、そこは良しとしましょう。問題は、ベイが魔王を倒したと思われたくないこと」

「目立つの、嫌だしな」

「そうよ。だから、ライオルさんと口裏を当日は合わせて来て」

「というと?」

「ブラックアクセルでも何でも良いから、それが出てきて倒したか。ライオルさんが倒したことにすること。いい?そうしましょう」

「そうだな。もう今回みたいに、シアに皆を危険に晒すような頼まれごとをされたくないしな」

「そう。そこよ。あいつ、あんなことも分からないなんて、ほんと、困るわ」

「でも、実際に皆は強いよ。そこは、俺も同意する」

「……そうね。そういう意味では合ってるわね」


 アリーは、その俺の言葉に、苦笑いを浮かべた。





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